ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

レイテの反転で生き残った伯父

2011年02月21日 | つれづれなるままに
また、亡き伯父のマンションの後片付けに行って来ました。

遅々として進まない作業です。伯父の手書きのメモがあれば、手が止まり、残そうか、捨てようか、と迷う作業です。

医師であった伯父の残した書籍は、医学書以外は少ないのですが、レイテ沖海戦や昭和史などの本がたくさんあります。太平洋戦争中に戦艦長門に乗り、九死に一生を得たことが、伯父の人生、一生を通して忘れられないことであったのだと深く思いました。

犬死してしまった仲間を水葬にした若き軍医の伯父。まだ、20歳そこそこだったと思います。「人間は、亡くなると、簡単に爪が剥がれるのだよ」と、生前、語ってくれたことがありました。甲板で爆撃を受け亡くなった方の遺髪を切り、爪を剥がして、封筒に入れ、お名前を書いて、故郷に送ったそうです。

何故、自分が生き残り、彼らは死んでゆかなければならなかったのか・・・伯父は、ずっと考え続けていたに違いありません。「俺の人生はあそこで終わったんだよ。後は、おまけなんだ」、と伯父は何度も電話で話してくれました。随分と長いおまけです。22歳くらいで終戦を迎え、その後65年がおまけなのですから。

終戦後は、東大に戻って医学博士号を取りましたが、本当に、質素に暮らして来た様が、残ったマンションの一室からうかがえます。

もっと、伯父にいろいろなことを聞いておきたかったと思います。家主のいなくなったマンションを訪れるのは、実に寂しいです。今もマンションに電話をすると、力強い声で「はい」と出てくれそうな気がします。伯父が伯母を失って以来の、この10年以上、頻繁に電話をし、手紙を書き続けた私ですが、もっと伯父にしてあげられることはなかったのか、と自問自答しています。


ユラーナ
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