自分のことだけで精一杯になっていたら
どこからか髪の毛がボサボサになったヤツがやって来た。
眠そうに目をこすりながら
そいつはこう聞いた。
「世界は、どうなってる?」
ボクは応えた。
「とても複雑で面倒くさく発展してしまったけど
少数の人たちの善意で、何とか機能してるよ」
そいつは、どうでもいいことを聞かされたみたいな顔で
「じゃあ、いいか」
と独りごちた。
ボクはそいつに向かって
「でも理不尽な目に遭った人たちは、アンタを恨んでるよ」
するとそいつは驚いたような顔で
こう言うと立ち去ってしまった。
「同情しすぎて死んだヤツのことなんか
当てにする方が悪いのさ。
オレは、もう一眠りするよ」
こうしてまた、新しい日が始まる。
それをボクは知っている』