林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

英作文対策(1)ーー日栄社の太田千義の『自習和文英訳演習基本編』

2012年11月11日 | 教養英語
自分で添削できる 自修 和文英訳演習 基本編
クリエーター情報なし
日栄社


東海大学医学部受験生がいるので今過去問演習を行っている。この大学の記号問題はかなり簡単なので確実に世界史95%以上正解する必要がある。受験生間で差がつくとしたら、おそらく英作文である。英作文の問題としては決して難しいわけではないが、受験生の多くは自信がないはずなので、決め手となるはずだ。幸いにして当塾に通っているに通っている受験生は、過去問の英作文が最初から不思議なほどよくできている。『シリウス発展編』の例文暗唱の成果であろう。

英作文というのは、新しい英語教育では最重要課題の一つになるべきものなのだと私は考えている。日本に居ながらにしてどうやって英語を書けるようになるのか、そういうことを英語教育界の人はもう少し考えてもらいたい。私達、東大式個別ゼミが『シリウス発展編』の例文の音読暗唱を重視するのも、将来英語を書ける人を育てたいからなのである。(余談だが、ほとんど音読暗唱と筆写を怠っていたと思われる難関大学受験生を秋口に体験授業をしてみた事がある。どうやら英作文が必要なようなのだが、非常に簡単な英作文すらもほとんど全くできず、私は途方に暮れてしまった。音読トレーニングはもう少し早めに準備しておかなければいけないのである。基礎トレーニングなしに英作文はありえないんだが、基礎トレーニングは時間がかかってしまうのである)。

そんな私だから、これを好機としてアマゾンで評判が良さそうな英作文の参考書をいくつか買い集めることにした。英文解釈の参考書とは違い、英作文の参考書は1人の著者がシリーズ化して何冊も書いている場合が多いようだ。それぞれ個性的であって面白い。

たとえばケリー伊藤のイングリッシュ・ライティングのシリーズ。残念ながらこれは大学受験生向けではない。しかし、英語教師にとっては必読書だろう。教えられるところが多い。(批判すべきところも、ないわけではない)。『入門』を見ると、主語、冠詞、形容詞.不定詞といった基礎的英文法が英作文(英語を書く立場)の観点から語られている。主体的に書く立場、発信する立場になってみて、初めて分かることがいろいろあると思い知らされる。このシリーズについては、またあとで詳しく書きたい。

生徒にはどんな教材を良いのか。大矢のものも定評があるし、宮崎のも悪くはなさそうだ。だがウチの生徒には、あまり有名ではないかもしれないが、太田のシリーズの中から『基本編』を選んでみた。大学入試よく出そうな和文が選ばれ、米人講師を含め三つの訳例が書かれている。学習者は自己採点がしやすいし、また好みに合った例文を音読暗唱すれば良いので、使いやすい。1冊600円あまりとお安いのも魅力的だし、薄く、簡潔な造りであるのも、好感を覚える。(東海大医学部対策として考えれば、このシリーズの「完成編」や「自由英作文編」は不要であろう)。ただし、この問題に出てくる簡単な和文をすぐに英訳できない学習者は、もっと根本的なテキストに戻るべきであろう。『基本編』と言っても、英作文の場合は学習者を選ぶのである。