林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

理系英語長文集として最高!(1) (『医歯薬系英単語600』という英語長文集)

2012年11月08日 | 英語学習
受験英語を教えるというのは、多くの場合ジェネラリストになると言うことではないか、そんなふうに思っている。初心者には英文法のようなものをしっかりと教えていれば良いのだが、あるレベル以上になってくると、英文法的な知識だけでは対応できなくなってくるからだ。難関大学受験準備のために長文英語テキストを読むようになると、一つ一つの英文の背景となっている様々な知識や教養が問われてくるのだ。

よく教科書「で」学ぶのかそれとも教科書「を」学ぶのかという議論がある。教科書から「形式的論理」を学ぼうとするのか、それとも教科書に書かれてある「内容」を理解するのかということだ。国語や外国語教師の最大の務めは、やはり前者の「形式的論理」を教授する事かもしれない。しかし、「形式的論理」のためだけに人は長文を読むことができない。「内容」が面白いからこそ、言葉を学びたい、本を読みたいと思うようになるからだ。結論的に言えば、教科書「で」学び教科書「を」学ぶようにしたいものだ。

そう考えると、英語や国語を教える者は、ジェネラリストにならざるを得ないと思う。要するに何でも屋だ。あまり尊敬される仕事ではないかもしれないが、必要不可欠な役割であろう。

理系大学受験生に受験英語を教えるならば、仮に文系出身だったとしてもやはり理系的教養と理系的英語に馴染んでおくべきだろう。たとえば非常に良く取り上げられるのが、進化論や脳科学のテーマだ。

また、なぜか私大医学部で非常に良く取り上げられているのが、ハチだ。これもぜひ勉強しておきたい。というのも、私の調べた限り少なくとも東京女子医科大学、東海大学(2009年)聖マリアンナ医科大学(2011年)で英文が出たからだ。(以前ブログでよく取り上げた「松島&町山のみ公開映画をみる」で放映された「コロニー」[このブログを参照してください]はぜひ見ておきた作品だ。 )

私は、そんな風に思いながら、いつも何かよい本を探している。最近では Oliver SacksのMusicophilia: Tales of Music and the Brain  という CD 本を注文してみた。残念ながらサンディー暴風雨のせいか CD がまだアメリカから届かない。

しかし、これらの諸テーマの文章を受験生に読ませることができるかというと、多くの場合ちょっと厳しい。文書が長すぎるというのも普通の受験生にとって辛いだろう。何よりも注釈や和訳がないと、読み進められないだろう。

ところが、最近良い本を町田の久美堂で見つけた。駿台予備校の船岡先生が編集した『最新 医歯薬系英単語600(入試によく出る)』という本である。一見すると単語集のようであるが、実のところ医学系の英語長文(長文と言っても、本当の長文ではなく、普通の受験生でも読めないことはないくらいの長文である、念のため)のアンソロジーとなのである。蜂の話は載っていないが、進化論からも脳科学もオリバー・サックスもジョン・レイティも話題に取り上げられている。

惜しむべきは『医歯薬系英単語600』というタイトルである。これでは医学部受験生くらいしか、この本を手に取らないのではないだろうか。理工系の生徒、あるいは文系の生徒であっても、ぜひ薦めたいような英文集なのだ。どんな風に素晴らしいのかということにしては、次回もう少し詳しく書いてみたい。