林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

NHK基礎英語1のユニークさ

2010年05月07日 | 英語学習
前にも書いたけれども、今年は小学生の英語講座を特別に設けているのだが、今のところ「NHK基礎英語1」をテキストに使っている。今のところと但し書きしたのは、なかなか難しく英語のスピードも速いので、普通の小学生(や中学生)がついて来れるのかどうなのかちょっと危ういからである。

さて、「NHK基礎英語」がありがたい教材だというのは、音源が既に紹介したように自由に入手できること、生の英語は毎日きちんと聴くことができることであろう。だが、どんなふうにユニー^区なのかすごいのかという点は、あんまり紹介されていないように思われる。そこで基礎英語について簡単な紹介しておきたい。

ネイティブスピーカーの生の速い英語を聴けるということについては、誰もが期待していることだ。だが特徴はそれだけではない。おもに二つの特徴があるように思われる。一つは語彙の多さ、もう一つは英文法の学習カリキュラムの特殊性である。

1)語彙の豊富さ

基礎英語は4月の一番最初の段階から、いきなり毎日20単語ずつを覚えさせる。部屋の中にあるもの、リビングや台所、食べ物、動物と植物、学校の中にあるもの、街の中の建物、乗り物、スポーツ、宇宙、顔と骨格の名称などを毎日20単語づつ覚えるのだ。もちろんその後には普通に(普通といっても、今なおこれが非常に貴重なのであるが)発音を勉強し、アルファベットを学ぶのだ。

言葉を学ぶということは、やはり単語力だということは、勉強したことがあるものならば誰もが知っているだろう。それを基礎英語はしっかりとやってしまうのである。4月だけで200ー300語くらい学んでしまうのではないか。ある意味で理想的ではないか。

単語だけではない。文章表現についてもさまざまな表現方法を学ぶことになる。たとえば、「クラブに入っています」というのであっても、二通りの表現を覚え区別させるのだ。

I am on the ---team. (スポーツ系クラブ)
I am in the --- club. (文化系クラブ)

普通に中学高校大学と英語を勉強したものでも知らない表現も沢山出てきて驚かされるというわけだ。


2)英文法のカリキュラム

英文法の学び方も普通とはちょっと違っている。まず4月5月の段階であるが、be動詞しか勉強しない。かなり複雑な英語表現も学習するわけだが、すべてbe動詞のみ。しかも、疑問文や否定文すらなかなか出てこないので、私もちょっと驚いた。その代わり、「太郎と私は」といったようなちょっと難しいモノまで平気ですぐにてくるの興味深い。

さすがに5月半ばになると疑問文もてくるが、いきなり否定疑問文(!)も登場したりする。5月12日の"Isn't that your sports bag over there?"だ。しかし、まだ一般動詞はでてこない段階である。

6月になるとさすがに一般動詞が登場する。だが、これも非常に面白いのだが三人称単数現在は10月になるまで出てこないのである。文法的にはある意味でゆっくりとしているといういわけだ。

文法的骨組みかを優先するというよりは、単語を覚えていくように、語彙を増やしていくように、英語力を拡張させていくものでといいう考え方だ。言い換えれば、まずは骨組みを作り上げそれから英単語という肉付けをしていくというではなく、日常生活を表現できるような語彙をガンガンた叩き込むことから始め、ついで文法的規則をその中から発見させて身につけさせていくという方法論である。なるほど、とも思う。(なお、講師の木村松雄先生の英語学習法については、別に述べておきたい。5月号128-129頁参照のこと)。

できる子にはよい教材かもしれないが、あまり出来ない子にはちょっとつらいのではないかとも思える。しかし、文法的にはシンプルなbe動詞や一般動詞だけなのだから、しっかりと音読学習してさえいれば、あんがいなんとかなるのかもしれない。仮に全部覚えられなくても、英語のセンスが身に付くのではないかとも思えるのだ。

現小学校6年生がどこまでやってついていけるものかとなのか、私には分からない。英語を一から勉強しているのだが、最初から個人差が出てしまうのだ。今までの日本語等の言語的知能的な蓄積が大きくものを言ってしまうのが現実だからだ。だが、すなくとも6月までは基礎英語に挑戦させるつもりだ。