十月二日は旧暦の九月九日。
そこで、重陽の節句を寿ぐことにしてみた。
この日行う「後の雛祭り」は、春に飾った雛人形を、
再び秋に愛でることで長寿を願う、
江戸初期からの風習である。
人形の寿命をも延ばす、
秋の虫干しを兼ねてのことだという。
重陽の花、菊の上には
昨夜から被綿(きせわた)が載っている。
花にかぶせて香りと夜露を移し、
本日はその綿で、顔や体を拭うことで
長寿を願うそうだ。
しかしながら、菊の大輪を眺めていると、
東籬の下で、菊を採りたくなり、
悠然として、南山を眺めたくなって、
ついには菊の花びらを浮かべた酒が飲みたくなる。
ということで、今宵に備えて、杯と瓶も飾る。
折角の長寿の習いを
台無しにせぬかと案じている。
飲酒 陶淵明
結廬在人境 いおりを結んでじんきょうにあり
而無車馬喧 しかも 車馬の かまびすしきなし
問君何能爾 君に問う 何ぞ よく しかるや と
心遠地自偏 心遠ければ 地 おのずから へんなり
采菊東籬下 菊をとる とうりのもと
悠然見南山 ゆうぜんとして南山を見る
山気日夕佳 さんき にっせきに よく
飛鳥相与還 ひちょう あいともに かえる
此中有真意 このうちに真意あり
欲弁已忘言 べんぜんと欲すれば すでに げんをわする
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