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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや原っぱカウンセリングなどをやっています

松木邦裕ほか編『抑うつの精神分析的アプローチ-病理の理解と心理療法による援助の実際』2007・金剛出版

2024年10月15日 | 心理療法に学ぶ

 たぶん2017年のブログです

     * 

 松木邦裕さんほか編集の『抑うつの精神分析的アプローチ-病理の理解と心理療法による援助の実際』(2007・金剛出版)を再読しました。

 この本もかなりの久しぶりで、抑うつの患者さんが多い世の中なのに、まったくの勉強不足だなと反省しきりです。

 本書は松木さんらのていねいで正確な全体的な論文と、豊かで深みのあるいくつかの事例論文からなっており、そのいずれもがのそれぞれに読み応えがあり、勉強になります。

 アンダーラインや付箋が賑やかな中で、今回、特に印象に残ったのは、松木さんの総説と鈴木智美さんの事例。

 松木さんの論文は初心者にもわかるようなていねいな論文で、しかも、内容は深く、何度も読む必要がありそうです。

 じーじは、この中でも、悲しみをこころに抱えることの大切さを論じたところに感動をしました。さらに読み深めたいと思います。

 鈴木さんの事例は、精神科医の抱える環境としての働きかけを、いくつかの事例を挙げて論じていますが、どの事例もすばらしい治療で感心させられます。

 そして、鈴木さんが、生まれ出たそのときから、死に向かっていく人生そのものが、悲哀を受け容れていく過程であり、同時に成熟していく過程ともいえる、と書かれているところに本当に感動をしました。

 同じようなことはなんども聞いていますが、今回ほどこころに迫ってきたのは初めてでした。

 それだけじーじが年を取り、死に近づいているせいもあるでしょうが、深く響く言葉でした。

 精神分析らしい言葉といえば、そうでしょうし、しかし、ここには、人生の深さと喜び、美しさが現れているように思えます。

 諦め、の深い理解とそれにまつわる生きることの深さや喜び、美しさ、そして、成熟が示されているように思います。

 まだまだうまくご紹介できませんが、さらに、勉強と努力を続けていきたいなと思いました。              (2017?記)

     *

 2020年12月の追記です

 こころの成熟とは悲哀を受け容れていく過程である、との言葉はやはり深いです。           (2020. 12 記)

     *

 2024年1月の追記です

 唐突ですが、(たぶん)高校の倫理社会で習った、仏教でいうところの、四苦、生老病死、という言葉を思い出しました。

 諦める、という言葉には、夏目漱石さんもおっしゃるように、仏教の、明らかに見る、という意味も含まれるのだそうですが、そうだとすると、上記のような悲哀の受容ということも含まれているのだろうな、と思ったりします。         (2024.1 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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瀬尾まいこ『あと少し、もう少し』2015・新潮文庫-中学男子の生きにくさと友情と希望を描く

2024年10月15日 | 小説を読む

 たぶん2015年のブログです

     *   

 瀬尾さんの中学男子を描いた小説、『あと少し、もう少し』(2015・新潮文庫)を読みました。

 またまた、泣いてしまいました。

 年のせいか、涙もろくなってきているようですが、いい小説です。

 中学男子の駅伝をめぐるひと夏の小説。

 スポーツ根性小説ですから、涙は必見でしょうが、予想を裏切りません。

 しかし、単なるお涙ちょうだい小説とは違います。

 まずはそれぞれの登場人物の抱えている「生きにくさ」。

 瀬尾さんの小説の登場人物にはこういう人たちが多く出てきますが、今回も、みんな等身大に悩み、苦しみ、もがいている中学生と、その周囲にいるおとなたちが描かれます。

 そういう「生きにくさ」を抱えている登場人物が、お互いの不器用な優しさや心配りで、傷つけあいながらも少しずつ変わっていきます。

 部活の顧問をまかされてしまった、ひ弱でちょっと場違いな美術女子教師も、それはおんなじです。

 また、中学生の母親やおばあちゃんなど、大人の人たちの姿もおんなじです。

 解説を書いている三浦しおんさんが、走ることを描いた小説は、なぜ、ひとの本質に迫るのだろう、と述べておられますが、まったく同感です。

 走ることを通じて、ひとが変わる姿が描かれます。

 みんなで走ること、それだけで人は変われるようです。

 走ることは生きることに繋がってくるようです。

 そして、走ることにその人の生きざまが現れるようです。

 友情、思いやり、がんばり、などなど…。

 久しぶりにこころが、すがすがしくなったような感じがします。

 いいですね、中学男子。

 そして、周囲のおとなたち。

 そういう人たちと一緒に生きていきたいなと思います。       (2015?記)

     *

 2019年4月の追記です

 瀬尾さんが本屋大賞を受賞されました。おめでとうございます。       (2019.4 記)

     *

 2024年10月の追記です

 上の孫娘が中学2年生になりました(じーじのブログのプロフィール欄の写真の中でおしりを向けているのが10年前の孫娘です)。

 瀬尾さんの描く中学女子の世界もなかなかいいですね。

 孫娘に勧めるかどうか、迷っているところです。        (2024.10 記)

 

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藤山直樹さんのすごさと温かさに感動し,帰りの京葉線で北山修さんに遭遇する-2015年精神分析学会

2024年10月14日 | 精神分析に学ぶ

 2015年のブログです

     *

 10月中旬,幕張で開催された精神分析学会に行ってきました。

 1日目午前は臨床ケースセミナー。

 じーじは助言者が藤山直樹さんのセミナーに参加しました。

 司会者が森さち子さん。

 大胆な藤山さんと繊細な森さんというたいへんに豪華な顔合わせで,とても深い勉強ができました。

 クライエントを具体的に理解することの大切さを学びました。

 夜は教育研修セミナー。

 やはり藤山さんの企画のセミナーに参加しました。

 分析と開業がテーマ。

 開業で保険診療をしている奥寺崇さんのお話に感動しました。

 また,フロアーにいた古賀靖彦さんが辛口のコメントをされて内容が深まりました。

 いつか,藤山さんと古賀さんの共同企画のセミナーが実現するといいなと思いました。

 2日目は一般演題と指定討論演題。

 指定討論演題では飛谷渉さんの難しいお話を指定討論の藤山さんが大胆にも要約をされてわかりやすくなりました。

 3日目午前は狩野力八郎さんの追悼の会。

 相田信男さんと藤山さんの思い出話を聞いているうちに涙が止まらなくなって困りました。

 午後はシンポジウム。久しぶりに帰りの飛行機の時間を気にしなくていい,十分に時間の取れたシンポジウムで活発な議論を堪能しました。

 自由な議論が可能なところが分析学会のよさだと改めて感じました。

 おまけのびっくりは帰りの京葉線。

 北山修さんの斜め前の席に座れて,とても幸せな気分でした。

 やはりたまに学会や研究会に行くと本当に刺激になります。

 やや風邪気味で疲れましたが,とてもよい三日間でした。           (2015.10 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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道下俊一『霧多布人(きりたっぷじん)になった医者-津波の村で命守って』2004・北海道新聞社

2024年10月14日 | 北海道を読む

 2017年のブログです

     *   

 道下俊一さんの『霧多布人(きりたっぷじん)になった医者-津波の村で命守って』(2004・北海道新聞社)を読みました。

 いい本です。涙が出ました。

 道下さんは道東の霧多布の診療所で長くお医者さんを続けたかた。

 元々、北大医学部から1年交代の約束で霧多布に赴任したものの、1年後に北大に戻ろうとすると、地元の人たちに引き留められ、とうとう47年も診療所のお医者さんを続けられたという人です。

 その熱意と責任感と頑張りには本当に頭が下がります。

 道下さんはもともとは内科が専門ですが、田舎の診療所ではなんでもできなければ一人前とは言えませんし、住民の方々に信頼してもらうこともできません。

 命が懸かっている緊急を要することの場合には、できないなどと言わずに果敢に挑戦されます。

 もちろん、どうしても無理な病気や怪我の時には釧路の病院を勧める柔軟さもお持ちですが、いかんせん、47年前の貧しい漁村では、病院代や交通費もままならなくて、診療所を頼りにする人が多かったようです。

 そんな中で、夜中も休日もなしに、住民の健康を守るために、一所懸命に医療に従事する姿が描かれます。

 また、子どものために剣道を教えたりもして大活躍です。

 後輩の心配をするようになった頃、村の出身で東大医学部に進んだある若者が、僻地医療への情熱を燃やして研修先の北大から霧多布の診療所に赴任してくれることになり、道下さんの熱意は受け継がれていくことになります。

 それも道下さんの頑張りの結果なのでしょう。

 この本をじーじは旅先の旭川の本屋さんで見つけました。

 2004年の本ですから、ずいぶん気づかないで過ごしてしまいました。

 しかし、今になってでも読めたことは幸せです。

 どさんこの素晴らしい先輩の活躍を読んで、自分も少しでも頑張ろうと思いました。       (2017.7 記)

    * 

 同年秋の追記です

 7月にこのブログを書いたところ、後日、ある読者さんから、ブログを読んで、この本を注文しました、というメールをいただきました。

 びっくりしていましたら、さらに後日、その読者さんのブログに、この本を丁寧にご紹介いただきました。

 とてもうれしかったです。どうもありがとうございました。        (2017.  9 記)

 

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松木邦裕ほか編『パーソナリティ-障害の精神分析的アプローチ-病理の理解と分析的対応の実際』2009・金剛出版

2024年10月13日 | 心理療法に学ぶ

 たぶん2017年のブログです

     *  

 精神分析家の松木邦裕さんと福井敏さん編集の『パーソナリティ-障害の精神分析的アプローチ-病理の理解と分析的対応の実際』(2009・金剛出版)を再読しました。

 この本も久しぶりです。 

 家庭裁判所にいた時、パーソナリティ障害の人との対応で苦労した時には、関連した本をよく読んで、勉強会などでも一所懸命に勉強をしていたものですが、定年後はあまりそういう人に出合うこともなくなり、しばらくは統合失調症の勉強に中心が移っていた感じでした。

 しかし、パーソナリティ障害の患者さんとの対応や援助はやはり難しい仕事であり、本書を再読しても、その感を強めました。

 印象に残ったことをいくつか。

 福井さんは、パーソナリティ障害治療の歴史を概観し、パーソナリティ障害の人は人生早期に他者に合わせ、自己感覚を失っているのではないかと述べます。

 紹介されている多数の事例はいずれも丁寧な治療ですごいですし、成人後、他者に迷惑をかけるパーソナリティ障害の人の病態の底に、表面とは違う悲しみを帯びたような傾向があることを指摘されるのはすごいと思います。

 また、松木さんは、パーソナリティ障害の人は悲哀の過程を維持できずに、行動化している病いではないかと述べます。

 ここでも、悲哀の体験の重要さが出てきましたが、悲哀をいかに体験するかは人生の大きな課題のようです。

 さらに、鈴木智美さんの事例では、治療者が生き残ることの大切さ、岩倉拓さんの事例では、治療者が患者と「共狂い」することの大切さや逆転移の大切さについて語っています。

 あるいは、日下紀子さんや早川すみ江さん、その他のかたがたの事例もすばらしくて、とても勉強になります。

 今後、さらにいい援助ができるよう、勉強と経験を積み重ねたいと思いました。              (2017?記)

     *

 2020年11月の追記です

 人生において悲哀は避けることができないことです。

 別れ、死など、いくつもの悲哀を経て、ひとはおとなになります。

 その悲哀を何らかの事情でこころからかなしめない時、ひとのこころは成熟することができずに変調をきたす、と精神分析では考えます。

 かなしい時にこころからかなしむことの大切さを改めて思います。           (2020. 11 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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田部重治『わが山旅五十年』1996・平凡社ライブラリー-明治から昭和にかけての自伝的山歩きの記録です

2024年10月13日 | 随筆を読む

 2023年10月のブログです

     *

 田部重治さんの『わが山旅五十年』(1996・平凡社ライブラリー)を読む。

 もう何回も読んでいるが、読むたびに明治時代から大正、昭和の日本の山歩きを楽しめる本だ。

 田部さんは、ご存じの人も多いかもしれないが、漱石門下の英文学者で、大学で英文学を教え、ワーズワースさんの詩などを研究されたかた。 

 そのかたわら、山の仲間と秩父の山歩きから始めて、日本アルプスなどを踏破し、日本山岳会の草創期のメンバーのお一人だったかたでもある。

 秩父の山歩きや日本アルプスの山登りなどの記録を記した田部さんの『山と渓谷』(新編・1993・岩波文庫)は日本の山の古典として有名だ。

 本書は、その田部さんの、自伝を含めての山歩きの記録で、興味深い。

 田部さんの文章は、英文学者なので当然かもしれないが、単なる山登りの記録ではなく、山歩きの美しさに読者をいざなってくださるところがすばらしい。

 文章が快活で、しかし、潤いがあって美しく、読んでいて、こころが落ちつくような感じがする。

 50年にわたる山歩きは多岐にわたるので、どこを読んでも十二分に楽しめるが、じーじの個人的には、笛吹川の沢登りや薬師岳の高原での思い出が大好きだ。

 リュックサックやテントがまだなかった時代に、ござや油紙を体に巻いて寝たりするところにはびっくりする。

 そういう時代の山登りや山歩きの記録がとても貴重で、楽しい。

 そして、こころ休まる。

 たまには、こういう山歩きを追体験してみるのもいいかもしれない。       (2023.10 記)

     *

 同日の追記です

 岩波文庫の田部重治『山と渓谷』(新編・1993)の編者である近藤信行さんの解説を読んでいたら、田部さんの東大英文科の卒業論文がなんと、キーツさん、らしい。

 まったくの偶然だが、自然の美しさを謳い、人生を考える田部さんの文章に、キーツさんやワーズワースさんが影響を与えているのかもしれない。

 

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フロイト(藤山直樹編・監訳)『フロイト技法論集』2014・岩崎学術出版社-フロイトさんを正確な日本語で読む

2024年10月12日 | 精神分析に学ぶ

 たぶん2016年のブログです

     *  

 フロイト(藤山直樹編・監訳)『フロイト技法論集』(2014・岩崎学術出版社)を読みました。

 2014年秋の精神分析学会の書籍売り場で買った本です。

 買った当時に何回か読んだあと、しばらくしてから再び、何回か読んでいます。

 何回読んでも学ぶところがあり、中身の深い本だと思います。

 初心者にも中級者にも学ぶところの多い本だと思います。

 本当に勉強になります。

 日本語訳も適切で、かつ、翻訳をしたかたがたの読みが奥深いのだろうと思います。

 いろいろ学ぶことが多い本ですが、今回、学んだのはやはり夢のところ。

 大切な夢は何回も見れるので焦る必要はない、というところは、のんびり屋のじーじにはいい勉強と励みになりました。

 最近、夢を何回かじっくり味わっているうちに、夢の内容や表現が少しずつ変化をする体験をして、フロイトさんの考えは本当だな、と思いました。

 あと、もう一つ学んだのは転移についての考え。

 放送大学大学院の修士論文でも触れたのですが、フロイトさんのいう、転移を反復強迫のためのひとつの遊び場とする、そこを中間領域とする、というところです。

 ここはほぼウィニコットさんの考えと重なっており、ふたりの偉大な精神分析家の考えの深さとすばらしさが感じられると思います。

 すごい人たちは本当にすごいところまで考え、実践し、それを表現し、伝達しているのだなと思いました。

 じーじの初学者はまだまだ学ばなければなりません。          (2016?記)

     *  

 2017年の追記です

 最近、フロイト(藤山直樹編・監訳)『フロイト症例論集2-ラットマンとウルフマン』(2017・岩崎学術出版社)を読みました。

 二つとも有名な論文ですが、なかなか難しく、今のじーじにはどこまで理解できているのか心もとない感じです。

 いずれ感想を書けたらいいなと思っています。         (2017 記)

     *

 2024年10月の追記です

 フロイトさんもウィニコットさんも、心理療法の場で遊べることの大切さを述べています。

 遊びは創造につながること、心理療法の場でのクライエントさんと治療者の双方の遊びとゆとりが両者の人間関係を変え、クライエントさんの社会での人間関係をも変えると述べているように思います。         (2024.10 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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野田知佑『風になれ波になれ-野田知佑カヌー対談集』1991・山と渓谷社-野田さんの素敵な対談集です

2024年10月12日 | 随筆を読む

 2022年10月のブログです

     *

 本棚を眺めていたら、すみっこのほうに、野田知佑さんの『風になれ波になれ-野田知佑カヌー対談集』(1991・山と渓谷社)を見つける。

 かなり久しぶりで、中身は当然忘れている。

 1991年の本だから、なんと31年ぶり(野田さん、ごめんなさい)。

 雑誌『山と渓谷』に連載された野田さんの対談シリーズをまとめた本だが、対談相手がすごい。

 椎名誠さんと椎名さんの奥さんの渡辺一枝さんは当然としても(?)、立松和平さん、倉本聰さん、C・W・ニコルさん、遠藤ケイさんなどなど、そうそうたるメンバー。

 じーじの大好きな人たちばかりで、じーじはそれぞれの人たちの本を何冊ずつかは持っているが、野田さんとの対談は、椎名夫婦を除いては初めてで、すごく面白い。

 毎回、野田さんと対談相手のみなさんが、全国各地の川でカヌーをして、お話をしているので、必然的に日本の川や自然や暮らしについてのお話になっていて、一種の文明批評にもなっている。

 倉本聰さんやニコルさん、遠藤ケイさんなどは、その田舎暮らしの経験からそれぞれに鋭い発言をされていて、刺激的だ。

 野田さんもいつになく(?)、インタヴュアーに徹していて、おもしろい(野田さん、再びごめんなさい)。

 また、渡辺一枝さんのお話は、なにか一編の詩を読んでいるようで、なかなかいい。

 とても素敵な本で、読後感がよく、気持ちがよくなる。

 都会暮らしで疲れた時には、また読みたいと思う本だ。        (2022.10 記)

 

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中井久夫『最終講義-分裂病私見』1998・みすず書房-精神科臨床の深い理論と実践に学ぶ

2024年10月11日 | 精神科臨床に学ぶ

 たぶん2014年ころのブログです

     *

 精神科医の中井久夫さんの『最終講義-分裂病私見』(1998・みすず書房)を久しぶりに読みました(統合失調症と名称変更がされる前に書かれた本です)。

 購入したのが2003年で、その後、何回かは読んでいるはずですが、それにしても久しぶりです。

 ところどころにアンダーラインがあるのですが、やはりかなり新鮮な感じで(?)読んでしまいました。

 精神科デイケアのボランティアでの経験をふまえて読むと、うなずけるところが多々あり、勉強になりました。

 エヴィデンスとケーススタディの関係、妄想のプラス面、妄想へのつきあい方、患者さんの提案を3週間待ってみること、などなど、ていねいで細やかな配慮が参考になります。

 中でも、今回、もっとも、勉強になったこと、それは、現実の姿を大切にすることの重要性、ということです。

 中井さんは、事象を区別したり、分類をせずに、事象そのものを素朴に見ることの大切さを説きます。

 その理由は、事象を区別したり、分類をすると、事象は概念に近づくから、と言います。

 エヴィデンス重視の中で、概念化が盛んで、それがあたかも科学的と誤解をされますが、臨床にあっては、概念より事象そのもの、現実そのものが重要だ、ということになるのではないかと思います。 

 いま、ここでの現象を、いかにありのままとらえ、感じ、考えていくのかが、より重要、ということではないかと思います。

 信ずるに足る先輩がいることに感謝をして、さらに勉強を続けていきたいと思います。        (2014?記)

     *

 2022年12月の追記です

 今月のEテレ「100分 de 名著」は中井久夫さんの特集。

 第一回目はこの『最終講義』でした。

 講師は精神科医の斎藤環さん。中井さんのすごさをていねいに解説されています。

 じーじも初心にかえって勉強させてもらっています。         (2022.12 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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南木佳士『落葉小僧』1996・文春文庫-おとなが味わう生きる痛みと哀しさの物語たち

2024年10月11日 | 小説を読む

 2020年10月のブログです

     *

 南木佳士さんの短編集『落葉小僧』(1996・文春文庫)を再読しました。

 この本も本棚を眺めていたら、読んで、読んで、という感じで並んでいて、つい読んでしまいました。

 おそらく20数年ぶりです。

 当然(?)、中身は忘れていて、またまた新鮮な気持ちで(?)、読めました。

 南木さんはじーじの大好きな作家さんのお一人で、芥川賞を受賞した『ダイヤモンドダスト』以来、ずっと追いかけてきている小説家です。

 『阿弥陀堂だより』『冬物語』『医学生』その他もろもろ、いい小説だね、うまいなあ、とうなる小説が多いです。

 本書もすてきな短編小説が並んでいますが、じーじが今回、気に入ったのが、表題にもなっている「落葉小僧」とその続編の「金印」。

 いずれも信州の田舎の村で開業医をしている男性が主人公ですが、なかなかいい味を出しています。

 こんないい小説を長く再読しなかったのは、若い時にはわからなかったところがあったのかもしれませんが、それにしてもおそまつな読者です(南木さん、ごめんなさい)。

 二作とも、あるいは、他の小説も、決して明るい小説ではなく、おとなの生きることの辛さや痛み、哀しみなどが描かれていますが、淡々とある種の諦観とともに書かれていて、後味は悪くありません。

 おとなの小説なので、若い人には少しわかりにくいところがあるかもしれませんが、中年以降の読者にはわかるのではないでしょうか。

 たぶん、長く生きるとは、そういうことなのかもしれません。

 しかし、何度読んでも色あせない深さがあります。

 今度は早めにまた再読をしたいと思います。       (2020. 10 記)

 

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松木邦裕『精神病というこころ-どのようにして起こりいかに対応するか』2000・新曜社

2024年10月10日 | 精神科臨床に学ぶ

 たぶん2015年ころのブログです

     *

 精神科医で精神分析家の松木邦裕さんの『精神病というこころ-どのようにして起こりいかに対応するか』(2000・新曜社)を再読しました。

 ずいぶん久しぶりの再読ということで(松木さん、ごめんなさい)、ところどころにアンダーラインや付箋があるのですが、例によって(?)、ほとんど覚えておらず、おかげさまでとても新鮮に読みました。

 このところ、精神科デイケアで勉強をさせていただきながら、精神病患者さんの不安や迫害妄想、処罰妄想などと罪悪感、後ろめたさの投影といったことなどを少し考えているのですが、ちょうど参考になりそうな記述があったりして、とても勉強になりました。

 特に、精神病の患者さんが破滅不安から逃れるために不安を周りに投影し、迫害妄想を形成するという説明は、とてもよくわかるような気がしました。

 また、この本では、病理の理解だけでなく、それらへの対応もとても具体的で、裏づけがあって、参考になります。

 いずれも、精神分析のクライン派の妄想・分裂ポジションの考え方や精神分析家のビオンさんのもの想いの考え方などが基本になっているようですが、とても難しいのでさらに勉強の必要性を感じました。

 今後ももう少し精神科デイケアでお世話になりながら、勉強と経験を積み重ねていきたいと思います。         (2015?記)

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 2019年夏の追記です

 ボランティアでおじゃまをしている精神科デイケアでの最近の議論は、妄想のあるメンバーさんにいかに対応するかという点。

 精神科医の中井久夫さんなどの本を読むと、否定も肯定もせず、不思議がることがいい、とあるのですが、興奮気味にやや早口でしゃべるメンバーさんにうまく対応するのはなかなかむずかしいことです。

 しかし、妄想を無理になくすことの危なさも述べられていますので、ゆっくりとつきあっていければと思います。

 さらに勉強が必要です。         (2019.7 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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だいすきな(?)マラソンたいかいがあるようですね-じいじからのおてがみ・セレクト

2024年10月10日 | じいじの手紙を書く

2021年9月、小5と小2の孫娘たちへのお手紙です

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さーちゃん・あーちゃん、げんきですか。

じいじはげんきです。

ばあばはすごくげんきです。

がっこうのホームページをみていると、マラソンたいかいがあるようですね。

さーちゃんとあーちゃんがだいすきな(?)マラソンたいかい!

でも、じゅんいはきにしなくてもいいとおもいますよ。

それよりもたいせつなのは、タイム。

きょねんよりどれくらいはやくなるかな?たのしみですね。

そして、もっとたいせつなのは、げんきにマラソンたいかいではしれること。

じいじくらいになるとマラソンをはしるのもむずかしくなります。

げんきに、たのしんで、からだをきたえてね。

にいがたのじいじより

(2021.9 記)

 

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松木邦裕『精神科臨床での日常的冒険-限られた風景の中で』2001・金剛出版

2024年10月09日 | 精神科臨床に学ぶ

 たぶん2015年ころのブログです

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 精神科医で精神分析家の松木邦裕さんの『精神科臨床での日常的冒険-限られた風景の中で』(2001・金剛出版)を久しぶりに再読しました。

 何回目になるでしょうか。

 読みやすい本なので、家裁調査官の頃から精神科臨床のことを勉強するために読ませてもらっている本です。

 本は付箋でいっぱいですが、今回も勉強になったところが多くありました。

 一つめは、臨床家が生き残ることについて。

 松木さんは、とにかく、なんでも、持ちこたえなさい、といいます。

 まずはそれが大切なことのようです。

 二つめは、患者さんをおとな扱いすることの大切さ。

 さんづけで、患者さんの調子が悪い時でも、患者さんのおとなの部分と会話をすることの重要性を説きます。

 三つめは、患者さんも精神科臨床も10年以上のスパンで見ていくことの大切さ。

 ともすると、目の前のできごとに一喜一憂してしまいますが、患者さんも臨床も10年単位で見ていく大切さを述べています。

 その他にも、学ぶところが多くあって、やはりいい本です。

 読みやすい本ですが、中身は深く、経験を積めば積むほど、勉強になることが増えてくる本だと思います。

 さらに謙虚に経験を積み、学びを深めていきたいなと思いました。         (2015?記)

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 2022年5月の追記です

 10年以上のスパンで見ていくことの大切さ、ということは重要だと思います。

 統合失調症の患者さんに限らず、たとえば、パーソナリティ障害の患者さんなどもその治療は時間が必要なことが多いです。

 難しいことだとは思いますが、焦らないことが大切です。

 かりに一時的に症状が悪化しても、落胆する必要はありません。

 そして、症状が軽くなれば、その後は、治療とともに社会生活の中での成長が大切になると思います。         (2022.5 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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庄司薫『さよなら怪傑黒頭巾』1973・中公文庫-名作『赤頭巾ちゃん気をつけて』の続編です

2024年10月09日 | 小説を読む

 2022年9月のブログです

     *

 庄司薫さんの『さよなら怪傑黒頭巾』(1973・中公文庫)をすごく久しぶりに再読した。

 先日、庄司さんの『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1973・中公文庫)の感想文を読んでいたら、その続編もとても面白そうに思えてしまい、つい読んでしまった。

 1973年、じーじが大学に入った年だ。

 当時は結構、流行った本だが、今、読む人はあまりいないのかもしれない。

 しかし、読み返してみると、なかなか面白い小説だ。

 大学1年生だったじーじが熱中したのもわからないわけでもない。

 『赤頭巾ちゃん』同様、ところどころに赤鉛筆で横線が引かれていて、今読むと、きゃあ、だ。

 主人公の兄ちゃんの口癖でいえば、まいった、まいった、というところだろう。

 このあたり、村上春樹さんの若いころの小説にも少し雰囲気が似ている感じもする。

 あらすじは例によってあえて書かないが、東大受験が中止になって浪人中の若者が主人公。

 今回は、兄の友人の結婚式をめぐって、いろいろなできごとがあり、当時の世相であった学生運動の後遺症(?)などが描かれる。

 そして、年齢相応に知り合いの女の子たちとの青春物語。なかなかたいへんだ。

 びっくりしたのは、今ごろ気がついたが、主人公が、ハムレットさんとホレイショさんの、この天地の間には、われわれの哲学ではとうてい考えおよばぬことが沢山あるものだよ、という言葉を引用していること。

 この言葉は、精神科医の中井久夫さんが、ホレイショの原則と名づけた、わからないことにすぐに結論を出さずに耐えて考え続けることの大切さに触れた部分だが、大学1年生のじーじは気にもとめずに素通りしてしまっていた。

 ようやく、この年になって、この言葉の重みに気づいた。

 ひょっとすると、すごい小説かもしれない。

 読後感はとてもいい。

 青春のほろ苦さがいっぱいだが、軽妙なわりにはいい小説だと思う。        (2022.9 記)

 

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谷川俊太郎・徳永進『詩と死をむすぶもの-詩人と医師の往復書簡』2015・朝日新聞文庫

2024年10月08日 | 随筆を読む

 2015年のブログです

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 谷川さんと徳永さんの『詩と死をむすぶもの-詩人と医師の往復書簡』(2015・朝日新聞文庫)を読みました。

 お二人の往復書簡と対談の本です。

 感動しました。

 徳永さんはホスピスのお医者さんで,お二人のテーマは,死と詩。

 ただでさえ重いテーマですが,お二人の深い哀しみをふまえた真摯さと少しのユーモアで,生きているのもいいな,と思える本です。

 この時期,谷川さんの大親友である河合隼雄さんが脳梗塞で意識不明の時であり,大親友の容態を心配している谷川さんの発言は,読んでいても辛いものがありますが,しかし,大詩人の谷川さん,ある時には子どものように,ある時には老賢者のように,鋭い発言をされています。

 谷川さん自薦の詩もすてきなものばかり,久しぶりに谷川ワールドを堪能しました。           (2015.6 記)

     *

 2022年9月の追記です

 死というのは,、とても大きな、そして、難しい事実ですね。

 じーじも年をとって、周りには亡くなった人も多くなってきましたが、死を考えることはなかなか難しいです。

 しかし、死を恐れても仕方ないですし、まずは目の前の人生を精一杯、時には怠けながら、時には遊びながらも、生きていくことが大切なのかな、と思ったりしています。          (2022.9 記)

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 2024年1月の追記です

 河合隼雄さんと谷川俊太郎さんの対談『魂にメスはいらない-ユング心理学講義』(1993・講談社α文庫)を読むと、お二人の予断のない、真摯な対話の様子に感激します。

 すごい人たちは、分野を超えても、本当にすごいんだな、と感動します。         (2024.1 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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