ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談、研究しています

田中康裕『心理療法の未来-その自己展開と終焉について』2017・創元社-個別から普遍へ

2024年12月21日 | ユング心理学に学ぶ

 2018年のブログです

     *     

 田中康裕さんの『心理療法の未来-その自己展開と終焉について』(2017・創元社)を読みました。

 田中さんはユング派の分析家ですが、じっくりと読むのは初めて。

 かなり刺激的でいい本でした。

 田中さんは、心理療法はその対象によって常に改定される、といいます。

 神経症が対象だったフロイトさんの時代は精神分析、その後、精神分析は統合失調症や境界例にも適応されて発展しますが、解離性障害ではなかなか難しくなった、と指摘されます。

 それは、解離性障害では、それまで当然とされた「人格」の存在があやうくなった(?)ため、といいます(雑な要約で、間違っていなければいいのですが…)。

 そのために、それまでの、意識と無意識からなる「人格」を当然のものとしていたそれまでの心理療法では手に負えなくなったのではないか、と考察されます。

 そして、その後に出てきた発達障碍。

 ここでは、「心的未成」という状態が考えられ、まずは「心的誕生」が必要と考えられ、これまでの神経症、境界例、統合失調症という病態水準ではなく、それとは別の発達スペクトラムの視点での関わりが必要になる、と述べられます。

 当然、そのために必要な心理療法の技法も違ったものとなるようで、本書では、これまで常識とされていた中立性などの概念の再検討がていねいになされていて、とても参考になります。 

 そして、なにより刺激的だったのは、やはり、心理療法家は眼前のものへの個別性を大切にしたコミットメントが重要との指摘で、事例検討を重視し、個別から普遍へと進むことで事例研究に至るという考え方を徹底されています。

 ここらへんは、先日の遊戯療法学会のシンポジウムでも取り上げられていた点であり、真のエヴィデンスとは何か、を考えるうえで大切な視点になると思います。

 とても面白く、刺激的な本で、さらに読み込んでいきたいと思いました。           (2018.7 記)

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 2021年9月の追記です

 このブログを改めて読んでいると、精神分析のビオンさんの、記憶なく、欲望なく、理解なく、というフレーズがふと浮かびました。

 毎回毎回のカウンセリングが新鮮なことの大切さを強く感じますし、そこでしかカウンセリングの真の勝負はないのかな、と思ったりします。        (2021.9 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通う。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事する。

 1995年頃、調査官でも落ちこぼれ、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  


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