たぶん2016年ころのブログです
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先日、吉本ばななさんの『キッチン』を再読してとても面白く読めましたので、こんどは河合隼雄さんと吉本ばななさんの対談『なるほどの対話』(2005・新潮文庫)を再読しました。
この本もかなり久しぶりで、中身はかなり忘れてしまっていたのですが、予想どおりにとても面白く読めました。
河合さんがカウンセリングの時に「はあ、なるほど」というあいづちを打つことからこの本の題名がついていますが、まさにその雰囲気で対談は続きます。
内容は多岐にわたりますが、いずれもなかなか深く、読み応えがあります。
生き方や人生については現代日本のあり方に警鐘を鳴らす内容が多いですが、堅苦しくはなく、肩の力を抜いて読むことができます。
そして、むしろ、そういう本の読み方や生き方がいいのかもしれないなと思わされます。
面白かったのは吉本さんの小説の書き方で、小説は生き物だから制御できない、何かが生まれてくるのを待つ、などと述べており、これは村上春樹さんの発言と重なって、とても興味深く感じました。
深い内容の小説は、やはりこころや魂の深い部分に耳をすまさなければならないようですし、これはたいへんな作業だなと思われました。
河合さんはこれらを受けて、カウンセリングも頭で考えて受けても駄目で、もっと深いところからの動きに従わなければならない、といった趣旨のことを話されます。
じーじなどにはまだまだよくわかっていないとても深い世界なのだろうなと感じさせられました。
しかし、そうはいっても、生きていかなければなりません。
時代に流されずに、なにが大切かを吟味しつつ、ひとりひとりのつながりに生かされつつ、生かしつつ、誠実に、しかし、楽しみながら生きていきたいなと思いました。 (2016?記)
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2020年11月の追記です
小説やカウンセリングで、頭だけではなく、もっと深いところからの動きを大切にしなければならない、という指摘には、今もさらに深く頷けます。
そういうことを大切にできる人間になりたいなと思います。 (2020. 11 記)
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2023年12月の追記です
深いところからの動きを大切にしなければならない、ということは本当に大切なことだと思います。
精神分析のフロイトさんやビオンさんは、そのための貴重な工夫をたくさん述べているのだなあ、と改めて思います。 (2023.12 記)
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ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介
経歴
1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。
1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。
1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。
1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。
1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。
2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。
2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。
仕事 心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています。
所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会
論文 「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか
住所 新潟市西区
mail yuwa0421family@gmail.com
ゆりと申します。
『幻滅と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方』をこちらで知り購入しました。
数日中に記事書く予定です。
ご本の紹介ありがとう存じました。
北山さんは昨年秋の札幌での精神分析学会でもお元気そうでした。
最近の本では、前田重治さんとの共著『良い加減に生きる-歌いながら考える深層心理』(2019、講談社現代新書)も面白かったですよ。