goo blog サービス終了のお知らせ 

ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリングなどを研究しています

大平健『食の精神病理』2003・光文社新書-拒食、過食、孤食と「二人の自分」を考える

2025年02月03日 | 精神療法に学ぶ

 2024年2月のブログです

     *

 精神科医である大平健さんの『食の精神病理』(2003・光文社新書)を再読する。

 先日の能登半島地震で崩れた本棚の本の中から発掘した(?)一冊。

 ずっと読みたかったが、出版社品切れで、古本屋さんでも見つからなかった本。

 その本を、実は20年前のじーじが購入して、読んでいたらしい(?)。

 じーじ、すごい(!)。すっかり忘れていた(!)。

 購入していたことを忘れていたくらいだから、中身も当然、忘れていた(!)。

 新鮮に読ませてもらう。じーじの特権だ(!)。

 「食」に関する大平さんのさまざまな考察が、童話や昔話を例に挙げて並ぶ。

 すごく刺激的だ。

 あの童話がこう読めるのか、あの昔話はこんな意味があるのか、とびっくりさせられる。

 そこから、現代の拒食や過食の考察につながり、孤食という社会現象の理解に至る。

 大平さんの著書『豊かさの精神病理』や『顔をなくした女』などとの関連も明示されて、わかりやすい。

 大平さんはさらに、これらの先に、「本当の自分」と「身体の自分」に別れてしまっているらしい「二人の自分」について考える。

 そして、それらと新型うつとのつながりも考察する。

 その治療の一端が、早寝早起きというありふれたことであるという指摘は、楽しい。

 楽しく読めて、いろいろと考えさせられる良書だと思う。         (2024.2 記)  

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com   

コメント

成田善弘『精神療法面接の多面性-学ぶこと、伝えること』2010・金剛出版-真摯な精神療法家に学ぶ

2025年02月02日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです

     *

 精神科医で精神療法家の成田善弘さんの『精神療法面接の多面性-学ぶこと、伝えること』(2010・金剛出版)を再読しました。

 この本も何回目かの再読で、付箋とアンダーラインが賑やかです。

 しかも、忘れっぽさには自信のあるじーじが、めずらしくところどころ読んだ記憶が残っていてうれしくなりました(?)(自慢になりませんね)。

 例によって、印象に残ったところを一つ、二つ。

 一つめは、精神分析について語っているところ。

 成田さんは、治療が簡易な精神療法で済むならそれでいいし、患者さんのためにもそうすべきとしながらも、精神分析の魅力について、当初、予想もしなかったことを患者と治療者の双方が知ることになる点にある、と述べます。

 精神分析をすることで、患者さんがより深く、自己と他者の関係を知ることになる、と説明されていらっしゃいますが、本当にそう感じます。

 じーじの行なっている精神分析的心理療法では、それほど深い展開にはならないのかもしれませんが、それに近い貴重な体験を積んでいきたいと思いました。

 もう一つは、治療から援助関係への変化ということについて。

 成田さんはいろいろな精神療法を行なっているうちに、治療をするというより、患者さんが一所懸命に努力していることを援助するという姿勢に自身が変わってきた、と述べます。

 上から目線の治療ではなく、患者さんとの協働関係、患者さんの頑張りを援助するという感じがいいようです。

 成田さんの患者さんにより添う姿勢が伝わってきました。

 また、本書では書評も取り上げられていて、じーじがブログでご紹介した精神科医で精神療法家の下坂幸三さんの『フロイト再考』や精神科医で遊戯療法家の山中康裕さんの『深奥なる心理臨床のために』なども紹介されています。 

 成田さんはこう読むのかと、大家の読み方が学べて、勉強になります。

 さらに勉強をしていこうと思いました。        (2019.6 記)

     *

 2022年5月の追記です

 改めて思うのは、心理療法はクライエントさんの自己理解、対人関係の理解の作業に根気強くつきあうことではないかということ。

 カウンセラーができることは、どんな事態が生じようとも、そういうクライエントさんの努力につきあい続けることなのかなあ、と思います。      (2022.5 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事  心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文  「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所  新潟市西区

 mail   yuwa0421family@gmail.com  

コメント

土居健郎『精神療法の臨床と指導』1967・医学書院-精神療法のすごさを学ぶ

2025年01月02日 | 精神療法に学ぶ

 たぶん2015年ころのブログです

     *   

 土居健郎さんの『精神療法の臨床と指導』(1967・医学書院)を相当久しぶりに再読しました。

 じーじがこの本を購入したのが1981年、家裁調査官研修所を修了する頃。

 その後、何回か読んで感動し、付箋やアンダーラインもいっぱいですが、ここしばらくはご無沙汰でした(土居さん、ごめんなさい)。

 久しぶりに読んだ本書はやはり刺激的でした。

 今はもう大家になっている人たちの若いころのケースを土居さんが指導しているのですが、その「きれ」がすごいです。

 そういえば、土居さんは調査官研修所にも指導に来てくださり、同期生のケースを午後半日かけて指導してもらったことがありました。

 こわい先生だとお聞きしていたので(土居さん、再びごめんなさい)、ケース提供者だけでなく、周りのじーじたちも緊張をしていたことを思い出します。

 土居さんの指導を読んでいると、同じケース資料を聞きながら、どうしてこんなに仮説が浮かび、それを確認する方法を思いつくのだろう?と本当に驚嘆します。

 アメリカの精神分析の本場で修業をしてきたからといえばそれまでですが、人間に対する熱意と愛情と研究心が半端ではありません。

 人間への尊厳が研究心を深めていくのでしょうか。

 少しでも見習えたらと思います。

 今回も、付箋やアンダーラインのなかったところで、感動する箇所が何か所もありました。

 まだまだケースの読みが浅いなと痛感させられます。

 有名な、わかるということは、わからないところがわかることだ、という文章も、すでに本書で出てきています。

 ケースにおける転移関係を自覚する重要さもわかりやすく指摘されています。

 いまさらながら、よくわかりました。

 今後もさらに読み込んでいきたい本だなと思いました。         (2015?記)

     *

 2020年2月の追記です   

 久しぶりに再読をしました。

 デイケアでボランティアをしながら読んでいましたが、土居さんのケースの読みの鋭さがすごい、と思いました。

 まるで外科医がメスで切開をするような感じです。

 同じケースを読みながら、わかる人にはわかるんだな、と改めて感心させられました。

 じーじの古びた小刀もいつの日か、切れ味が良くなるのでしょうか。

 まだまだ勉強不足です。        (2020.2 記)

     *

 2021年秋の追記です

 1年半ぶりに再読をしました。じーじにしては異例の早さ(えらい!えらい!)。

 やはりすごい本です。まるで推理小説を読んでいるかのようです。

 政治家にもこういう読みの深い人がいるといいのですが…。         (2021.10 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com   

コメント

成田善弘『精神療法家のひとりごと』2019・金剛出版-じーじのひとりごととはだいぶ違います

2024年12月15日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです 

        *      

 成田善弘さんの『精神療法家のひとりごと』(2019・金剛出版)を読みました。

 新刊です。すごいですね(!)。

 しかも、じーじのひとりごととは違って、中身が充実しています。

 本書は雑誌「精神療法」に連載されたエッセイなどをまとめたもので、精神療法についてのお話が読みやすい形で書かれています。

 読みやすいのですが、内容はかなり深いので、読んだ後にも余韻が残って、いろんなことを考えさせられます。

 印象に残ったことを一つ、二つ。

 まずは、患者さんの問題行動を病理の現われとして見るのではなく、患者さんなりの現実への対処と見るという視点。

 患者さんの努力はぎこちなく、不適切で、逆効果になりやすいですが、彼らなりの努力であると見ることで、問題行動を捉える見方が違ってくると述べます。

 鋭いですし、一方で、温かい理解だと思います。

 次に、先日の神田橋さんの本にも出てきましたが、患者さんの近未来の動きを予想することの大切さ。

 そのことで治療者の仮説が検証でき、また、一方で、予想が当たらない時には患者さんなりの努力が見えると述べられます。

 当たらないことで、今まで治療者に見えていなかった患者さんの一面が見えて、理解が深まるようです。

 さらに、治療者の質問は、なぜなんだろう、とひとりごとのように言うのがいいということ。

 自然に生じてきたような質問がいいと思う、と述べられていて、参考になります。

 そして、患者さんがそれまで考えてこなかったようなこと、思ってもみなかったようなことに出合うこと、患者さんにとって新しい発見になるような面接が望ましいと述べられています。

 やさしい言葉で、深いことが述べられていて、すぐにでも実践にいかしていきたいと思うことがらが多くありました。

 さらに勉強と努力を積み重ねていこうと思いました。            (2019.4 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント

成田善弘『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』2003・金剛出版-成田善弘さんのていねいな精神療法に学ぶ

2024年12月13日 | 精神療法に学ぶ

 たぶん2017年のブログです

     *

 精神科医で精神療法家の成田善弘さんの『セラピストのための面接技法-精神療法の基本と応用』(2003・金剛出版)を久しぶりに再読しました。

 この本も、とてもいい本なのに、じーじの怠慢ゆえに、かなり久しぶりになってしまいました(成田さん、ごめんなさい)。

 四十台後半、じーじが家族療法学会や思春期青年期精神医学会、さらには、精神分析学会などで学びはじめた頃に読み、以後、参考にさせていただいてきている基本的な本です。

 内容はとても深く、今でも学ぶところがいっぱいありますし、今回も勉強になったところがたくさんありました。

 いい本というのは、こちらの経験が深まるにつれて、学べるところも多くある本のようです。

 懐かしかったのは、成田さんが編者のお一人だった『転移/逆転移』(1997・人文書院)と『共感と解釈』(1999・人文書院)に載った二つの論文。 

 じーじはこの頃、共感や逆転移のことで悩んでいたこともあって、とても勉強になった記憶があります。

 また、この二つの論文集には、当時はまだ大家になる前の藤山直樹さんと松木邦裕さんがすばらしく切れのいい論文を書かれています。

 以来、じーじはお二人の本を読んだり、精神分析学会でじっくりとお話をお聞きするようになったという、じーじにとってはとても大切な本でもあります。

 もう一つ、今回、勉強になったのが事例検討についての論文。

 特に、参加をする際の心構えが丁寧に論じられていて、参考になりました。

 事例提供者にも、参加者にも、両方に役立つあり方が述べられていて、優しく、温かい、成田さんらしい心配りに感心させられます。

 じーじも新潟で事例検討会に参加させてもらっていますが、事例提供者のかたに少しでも役に立ち、かつ、自分でも勉強になるような参加の仕方をさらに考えながら、続けていきたいなと思いました。

 まだまだ、勉強を深めていかねばならないなと思わせられるいい本でした。         (2017?記)

     *

 2024年4月の追記です

 逆転移は今もじーじの大きな課題。

 患者さんに陰性の感情を抱く時や患者さんに陰性感情を向けられた時はなかなか大変です。

 ただ、精神分析では、治療者が患者さんに陰性の逆転移を抱く時、患者さんも同じような感情になっていることが多いので、その時の患者さんの陰性感情についてさまざまに考えることが大切になると述べられます(これで合っていると思うのですが…)。

 実際にはなかなか難しいことだと思いますが、逆転移からの少しの心的な距離が、新しい展開に繋がることもあるのかな、と思ったりします。        (2024.4 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント

広瀬徹也編『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』2004・星和書店

2024年12月11日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです

     *

 広瀬徹也さん編集の『精神療法の実践的学習-下坂幸三のグループスーパービジョン』(2004・星和書店)を再読しました。

 この本は広瀬さんが帝京大学精神科の教授をされていた時に、下坂幸三さんから若手精神科医がグループスーパーヴィジョンを受けた時の記録で、下坂さんの前には土居健郎さんが同じようにスーパーヴィジョンをされていたようで、夢のように贅沢な研究会の記録です。 

 実際、今回、再読をしてみて、改めて勉強になるところが多々あり、いい本だな、と今さらながら感心をしました。

 2004年の本で、じーじが購入したのはいつだったかはっきりしませんが、それにしてもずいぶんのご無沙汰で、もったいないことをしてしまいました。

 しかも、前回は、アンダーラインがあまり引かれておらず、当時のじーじは何をしていたのでしょうか、やや不明です。

 今回は、アンダーラインも付箋もすぐにいっぱいになりました、エッヘン!(もっとも、どれだけ内容を正確に理解できたかどうかはなぞですが…)。

 今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、患者さんにマイナス感情を抱いた時には、少し冷静に学問的に両者の関係を捉えるようにすると、マイナス感情が薄まることがあるということ。頷けます。

 二つめは、最近、よく出てきますが、治療者が早わかりをしないで、患者さんの言葉を、一つ一つ細かく聞いていくことの大切さ。耳が痛いです。

 特に、世間的にも常識になっているような言葉、たとえば、共感とか、過保護とか、過干渉とか、そういうなんとなくわかる言葉を勝手に早合点することなく、患者さんにとってのその言葉の意味するところを再確認していくことが大切になるようです。

 三つめは、問題行動の中にポジティヴな要素を見出すこと。

 しばしば患者さんの回復の兆しが問題行動の中に潜んでいることをスーパーヴィジョンの中で下坂さんは指摘されます。

 すごいな、と思いますし、本当に患者さんのことを考えているんだな、ということがわかります。

 ひとつだけびっくりしたのは、下坂さんでも仕事が大変で抗うつ剤を飲んだ時期があったということ。

 そういうことを正直に話される下坂さんは信用できます。

 まだまだ他にも有益な箇所がたくさん出てきます。

 こんどは早めにまた、再読をしたいと思います。          (2019.4 記)

     *

 2022年9月の追記です

 患者さんにマイナス感情を抱いた時の対応が参考になります。

 じーじは未熟者ですので、そういうことはよくありますが(?)、下坂さんが、学問的に、とおっしゃっていますが、少し距離を取って、第三者的な目で見ると、やや冷静になれることもあるようです。

 むずかしい実践ですが、頑張りたいと思います。          (2022.9 記)

     *

 2024年12月の追記です

 同じ言葉でも人によってその意味する内容が全然違うということはとても大事なことですが、ひょっとすると同じ光景を見ていても、人によってそのその意味する内容が全然違うのではないのかな、と最近、思ったりします。

 夫の妻への言葉が、夫は何気ないつもりが、妻には暴言に聞こえる、妻には暴力に体験される、ということはありそうです。

 同じように、親の子どもへの言葉が、親はしつけのつもりが、子どもには虐待に聞こえる、虐待をされているように思う、ということもありそうです。

 言葉だけでなく、ある人の行動が、他の人には違った意味合いを帯びて体験されるということが、人間関係の争いやこころの傷つきなどには多くあるのかもしれません。

 そして、そういうことが、離婚の裁判での主張の違いや、虐待の裁判での主張の食い違いなどに現われているのかもしれないなあ、などと考えたりしています。         (2024.12 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント

小林隆児『あまのじゃくと精神療法』2015・弘文堂-本の帯に、甘えられない子どもが危ない!とあります

2024年12月04日 | 精神療法に学ぶ

 2022年12月のブログです

     *

 児童精神科医の小林隆児さんの『あまのじゃくと精神療法』(2015・弘文堂)を数年ぶりに再読する。

 本棚を見るたびに気になっていた本だが、なかなか読めずにいた。

 じーじもかなり「あまのじゃく」なほうだと思う(?)が、そういうところがじゃまをしていたのかもしれない。

 本書は、土居健郎さんの「甘え」理論を下敷きに、主に子どもの心理やこころの病気を論じたもの。

 「甘え」理論で重視されるアンビヴァレントなこころの状態をさらに展開し、「あまのじゃく」という概念に結びつけていて、なかなか興味深い。

 とはいえ、けっこう難しい本でもあって、じーじなどは何割理解できたのかあやしい。

 もっとも、数多くの症例が示されていて、それを読むだけでも勉強になる。

 不安性障碍、不登校、摂食障碍、抜毛症、パニック障碍、その他もろもろ。

 子どものこころのいろいろな症状の底に、甘えたいのに甘えられない、という「あまのじゃく」の状態を見て取るのがすごい。

 難しい症例が多いが、小林さんはほんの少しの精神療法でもって、ほんの少しだけの改善をめざしている、ように見える。

 そこには、少しの改善がやがて大きな改善に繋がるような人間への信頼がある、ように見える。

 精神療法におけるエヴィデンスの問題にも触れられていて、言語化やそれへの共有化を進めることがエヴィデンスに繋がると明快に述べる。

 それへの一例が「あまのじゃく」という概念なのだろう。

 まだまだ理解不足で、誤解もあろうかと思うが、さらに勉強を深めたいと思う。          (2022.12 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント

黒田章史『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』2014・岩崎学術出版社

2024年11月22日 | 精神療法に学ぶ

 2015年のブログです

     *

 精神科医の黒田章史さんの『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』(2014・岩崎学術出版社)を読みました。

 いい本です。

 境界例の治療に詳しい黒田さんの丁寧な実践が紹介されていて,とても参考になります。

 こまやかで温かく,かつ冷静な黒田さんの面接はすごいと思います。

 実は,じーじの記憶に間違いがなければ,黒田さんがだいぶ以前に家族療法学会にデビューされた時に,たまたまその発表の場に私もいました。

 黒田さんが哲学者のヴィトゲンシュタインさんの考えをもとに境界例の患者さんの治療について発表をされ,その丁寧で刺激的な内容にずいぶん感心させられました。

 そしてその会場にいらっしゃった下坂幸三さんが,いつもは厳しくてとても怖い先生なのですが(下坂さん,ごめんなさい),黒田さんの発表を大絶賛をされたことをとても印象深く覚えています。

 その後,黒田さんは下坂さんらと一緒に勉強をされ,その成果が本書につながっているのだろうと思います。

 今後も時間をかけて学んでいきたい本だと思いました。        (2015.5 記) 

     *

 2021年冬の追記です

 今、考えると、境界性パーソナリティ障害のかたも、白か黒かにはっきりさせないと落ち着かないかたがたで、あいまいさに耐えることが苦手なかたがたなんだな、と思い当たります。

 ビオンさんのいうあいまいさに耐える能力、消極的能力の大切さが理解できるような気がします。         (2021.2 記)

     *

 2023年秋の追記です

 ヴィトゲンシュタインさんにはその後も何度かチャレンジしているのですが、やはりなかなか難解です。

 ただ、なにか大切なことを書かれているらしいことは感じられます。

 今後も勉強していこうと思います。         (2023.9 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント (2)

土居健郎『精神療法と精神分析』1961・金子書房-精神療法を精神分析の立場から述べる

2024年11月01日 | 精神療法に学ぶ

 2021年11月のブログです

     *

 土居健郎さんの『精神療法と精神分析』(1961・金子書房)をかなり久しぶりに読む。

 なかなか難しい本なので、つい再読が遅くなった(土居さん、ごめんなさい)。

 土居さんが精神療法について精神分析の立場から述べた本で、じーじのような初学者にはなかなか理解するのに苦労するところが多い。

 しかし、詳しい症例がたくさん提示されているので、精神療法の実際を学ぶにはすごく参考になる。

 また、治療者の面接場面を執筆の時点でさらにコメントというか、スーパーヴィジョンしているところがすごいと思う。

 こんなことをするのは、他には小倉清さんくらいだ。

 その謙虚さと探求心に脱帽する。

 そのおかげで、精神療法や精神分析の概念が、身近に理解できるし、面接技法についてもていねいに学ぶことができる。

 とはいっても、じーじのような未熟者にはやはりなかなか難しい。

 理解できたのは2割(?)くらいか。

 さらに、読み込んでいこうと思う。          (2021.11 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント

成田善弘『治療関係と面接-他者と出会うということ』2005・金剛出版-ていねいな精神療法に学ぶ

2024年10月24日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです

     *

 成田善弘さんの『治療関係と面接-他者と出会うということ』(2005・金剛出版)を再読しました。

 こちらも久しぶりで、なぜか付箋もアンダーラインもなくて、前回、どんなふうに読んだのか、やや不明です。

 白いページにアンダーラインを引いたり、付箋を貼ったりすると、いかにも、読んだ、という感じで、何か達成感がありますが、これは幻想ですね。

 感じたことを二つ、三つ。

 まずは、最近の(といっても2005年当時ですが)青年の病像が、「恥ずかしい」から「怖い」に変わってきている、という指摘。

 内面が脆弱で、傷つきやすく、内省型より行動型で、むかつく、きれる、という形になりやすい、と述べられます。頷けます。

 二つめは、心的外傷の問題。

 大切な視点だが、一方で、その過剰な流行は他罰傾向を強める危険性があるかもしれないと危惧されます。

 特に、心理療法においては、自分の内なる悪に気づいて、それを引き受け、それらの上で不幸を克服することが大切になる、と述べられ、精神分析の事後性という概念を説明されて、心理療法で物語を書き換えられる可能性を示唆されています。大事な点だと思われます。

 三つめは、面接において、簡単に納得をせずに、よりきくことの大切さ。

 丁寧にきくことで、わからないことがわかり、理解と共感が進む、と述べられます。

 ここはすぐ早わかりをしてしまうじーじの欠点を指摘されているかのようで、反省させられます。

 最後に、山中康裕さんの著作集にふれ、山中さんの心理療法のいろいろな技法がクライエントを理解するための「たましいの窓」になっている、と述べられています。

 「窓」論はいろいろ聞いてきましたが、「たましい」の窓というのはなかなかの表現で、でもよく考えると、すごいな、と思いました。

 いい本を読めて、明日からさらに丁寧な面接を実践しようと思いました。            (2019.1 記)

     *

 2022年秋の追記です

 「たましいの窓」という表現は、やはりすごいですね。

 それも、山中さんがおっしゃるのは当然(!)という気がしますが(山中さん、ごめんなさい)、精神分析の成田さんがおしゃっているところがとても面白いと思います。         (2022.9 記)

    *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント

成田善弘『精神療法家の本棚』2014・みすず書房-じーじの本棚とはえらい違いです

2024年10月07日 | 精神療法に学ぶ

 2014年のブログです

     *

 精神科医で精神療法家の成田善弘さんの本に関するエッセイ集です。

 フロイトさん,土居健郎さん,藤山直樹さん,神田橋條治さん,山中康裕さん,夏目漱石さん,藤沢周平さん等々,臨床から小説まで多彩な人々の本とそれにまつわるお話が読んでいてとても楽しく読めました。

 成田さんの読みの深さや正直さに感心させられました。

 中でもじーじのおすすめは村上春樹さんの『小澤征爾さんと,音楽について話をする』(2011・新潮社)についてのエッセイです。

 この本はとても面白く,じーじもご紹介しようかなと思っていたくらいの本で,しかし,さすがに成田さんの読みは深く,ぜひご一読をおすすめします。

 よきインタヴュアーは相手の深い思いを引き出すということ,それが心理療法と共通していることなどが述べられていると思います。

 本の読み方をさらに考えさせられた一冊でした。           (2014.6 記)

     *

 2021年4月の追記です

 久しぶりに再読をしました。たぶん7年ぶりです(成田さん、ごめんなさい)。いい本なのにもったいないことをしました。

 今回もいろいろと考えることがありました。

 一つめは、やはり村上春樹さんの小澤征爾さんへのインタヴュー。

 小澤さんが村上さんに、あなたに話していて、気がついたんだけど、と話す箇所を挙げて、よきインタヴュアーの条件について述べているところは臨床家にも勉強になります。

 二つめは、藤沢周平さんについて述べたところ。

 『三屋清左衛門残日録』についての文章などはやはりとてもすばらしいのですが、今回、気づいたのは、『用心棒日月抄』の四部作。

 偶然にも、今春、じーじも『用心棒日月抄』を読んでとまらなくなり、本棚のあちこちから探して四部作全部を読んでいたので、その魅力がよくわかりました。

 じぶんの好きなもの、こころ魅かれるものを、成田さんにわかりやすく教えてもらえることは、贅沢な経験です。

 さらに、読み込んでいきたいと思いました。         (2021.4 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

コメント (2)

ニナ・コルタート(舘直彦監訳)『精神療法家として生き残ること-精神分析的精神療法の実践』2007・岩崎学術出版社

2024年07月29日 | 精神療法に学ぶ

 たぶん2015年ころのブログです

     *  

 イギリスの精神療法家ニナ・コルタートさんの『精神療法家として生き残ること-精神分析的精神療法の実践』(2007・岩崎学術出版社)を再読しました。

 2010年ころに初めて読んで、今回が2回目。

 いい本なのに、しばらく間が空いてしまいました。

 精神療法家が生き残ること、は最近のじーじの勉強のテーマの一つですが、コルタートさんのこの本がきっかけとなっています。

 生き残ることの大切さは、小児科医で精神分析家だったウィニコットさんが、赤ちゃんに乱暴をされても報復をしないで世話をするお母さんの姿を述べたものですが、その際、ほどよい母親、が重要と説かれています。

 お母さんといえども、完璧な人間はいないわけで、ほどよいお母さん、で十分であり、むしろ、そのことが、赤ちゃんの万能感を壊して、母子関係、二者関係に導くというものです。

 ここで、決して完ぺきではないお母さんは、赤ちゃんから攻撃をされますが、その際に、報復をせずに、生き残ることが大切で、生き残ることで、赤ちゃんがのちに罪悪感を育てることができることになります。

 こういった一連の母子関係が、治療関係でも起こることをウィニコットさんやそれ以降の精神分析家が指摘し、コルタートさんもこの線に沿って、ご自身のケースを丁寧に検討しながら論述をしています。

 また、今回、気づいたのは、フロイトさんと宗教の関係についての指摘で、フロイトさんの宗教、なかんづく、キリスト教への理解の不十分さを指摘し、精神分析がきちんとした宗教とは対立をしないのではないかと述べていて、なかなか刺激的です。

 今後もさらに深く読み込んで、思索と実践を深めていきたいと思いました。          (2015?記)

     *

 2020年12月の追記です

 攻撃をされても、報復をしないで耐えて生き残ることは親子関係だけでなく、心理療法においても重要なことですが、しかし、なかなか難しいことでもあります。

 じーじなどは未熟なので、すぐ顔に出てしまって、反省をすることが多いです。

 心理療法の大家のみなさんは、そんな時でも、その時のクライエントさんの心情を想像されたり、心的現実を理解をされたりして、生き残るようです。

 じーじはまだまだ修行不足、もっともっと勉強を続けなければなりません。           (2020. 12 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事  心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文 「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所  新潟市西区

 mail     yuwa0421family@gmail.com  

コメント

下坂幸三『精神療法の条件』1988・金剛出版-ていねいでこまやかな精神分析的面接に学ぶ

2024年07月19日 | 精神療法に学ぶ

 たぶん2017年のブログです

     *  

 下坂幸三さんの『精神療法の条件』(1988・金剛出版)を再読しました。

 この本もずいぶんひさしぶりの再読になってしまいました(ブログを振りかえってみると、2011年に一度、読んだようです)。

 まったくの勉強不足です。

 たくさんの付箋やアンダーラインの上に、今回、さらに新しいしるしをいくつかつけました。

 下坂さんの本は、じーじが40歳後半から50歳台にかけて、ずいぶん集中的に読ませていただいて、勉強をさせていただきました。 

 下坂さんの精神分析的な面接や家族療法的な面接の報告は、本当にていねいで、こまやかで、こういう面接をできるようになりたいと、真剣に取り組んだ記憶があります。

 当時、非行少年の保護者同席面接や離婚調停での夫婦同席面接などを工夫してみて、驚くような経験もありました。

 また、家族療法学会での下坂さんの講演の内容に感動し、さらには、シンポジウムや分科会での下坂さんのフロアーからの質問の仕方などにも本当に感心させられ、参考になりました。

 怖そうなところもある先生でしたが(下坂さん、ごめんなさい)、温かく、優しい一面も垣間見ることができました。

 今回、本書を読み返してみて、また、学ぶ箇所がありました。

 こちらの経験が深まると、学べる箇所も増えるようで、うれしいことです。

 さらに、学びと実践を深めていきたいと思いました。        (2017?記)

     *

 2020年11月の追記です

 じーじの得意技(?)のひとつの子どもさんも一緒の面接は、遊戯療法の田中千穂子さんに学んだと思っていましたが、よく考えると、その前に下坂さんから学んでいたのでした。ありがたいことです。         (2020. 11 記)

     *

 2022年4月の追記です

 親子同席面接や夫婦同席面接は、下手をすると喧嘩の再現になってしまいますが、一人が話している時には、話し終わるまで黙って聞いていることというルールを導入すると、それだけで比較的冷静な話し合いができるようになります。

 それで、すべてが解決するというわけにはいきませんが、どのメンバーさんも、言いたいことを最後まで言えた、という満足感が、次へのステップになることが多いように思います。         (2022.4 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事  心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文 「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所  新潟市西区

 mail     yuwa0421family@gmail.com  

コメント

成田善弘「書くことをめぐって」2015・『精神分析研究』59巻3号-精神分析を学ぶ

2015年08月26日 | 精神療法に学ぶ

 2015年のブログです

     *

 成田善弘さんの「書くことをめぐって」(2015・『精神分析研究』59巻3号)を読みました。

 成田さんの昨年の精神分析学会での講演です。

 とても感動的です。

 じーじは昨年の精神分析学会は宿の関係で2日目までの参加で,3日目の成田さんの講演や藤山直樹さんの会長講演,さらにはシンポジウムが聞けず,今回の雑誌でようやく読むことができました。

 いずれもすばらしい内容で,やはりライブで聞きたかったと思いました。

 特に,成田さんの講演と松木邦裕さんの講演に感動しました。

 成田さんは,精神分析において書くことをめぐって,いつものように率直に素直に,飾ることなく,たんたんと大切なことがらをお話しています。

 また,松木さんは,シンポジウムの中で,「心的現実」について,とても重要な問題提起をされたように思います。

 今年10月の学会がまた楽しみになりました。     (2015.8 記)

 

コメント