2019年のブログです
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成田善弘さんの『精神療法面接の多面性-学ぶこと、伝えること』(2010・金剛出版)を再読しました。
この本も何回目かの再読で、付箋とアンダーラインが賑やかです。
しかも、忘れっぽさには自信のあるじーじが、めずらしくところどころ読んだ記憶が残っていてうれしくなりました(?)(自慢になりませんね)。
例によって、印象に残ったところを一つ、二つ。
一つめは、精神分析について語っているところ。
成田さんは、治療が簡易な精神療法で済むならそれでいいし、患者さんのためにもそうすべきとしながらも、精神分析の魅力について、当初、予想もしなかったことを患者と治療者の双方が知ることになる点にある、と述べます。
精神分析をすることで、患者さんがより深く、自己と他者の関係を知ることになる、と説明されていらっしゃいますが、本当にそう感じます。
じーじの行なっている精神分析的心理療法では、それほど深い展開にはならないのかもしれませんが、それに近い貴重な体験を積んでいきたいと思いました。
もう一つは、治療から援助関係への変化ということについて。
成田さんはいろいろな精神療法を行なっているうちに、治療をするというより、患者さんが一所懸命に努力していることを援助するという姿勢に自身が変わってきた、と述べます。
上から目線の治療ではなく、患者さんとの協働関係、患者さんの頑張りを援助するという感じがいいようです。
成田さんの患者さんにより添う姿勢が伝わってきました。
また、本書では書評も取り上げられていて、じーじがブログでご紹介した下坂幸三さんの『フロイト再考』や山中康裕さんの『深奥なる心理臨床のために』なども紹介されています。
成田さんはこう読むのかと、大家の読み方が学べて、勉強になります。
さらに勉強をしていこうと思いました。 (2019.6 記)
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2022年5月の追記です
改めて思うのは、心理療法はクライエントさんの自己理解、対人関係の理解の作業に根気強くつきあうことではないかということ。
カウンセラーができることは、どんな事態が生じようとも、そういうクライエントさんの努力につきあい続けることなのかなあ、と思います。 (2022.5 記)