われわれは今後もさらに西欧化していこうとしているが
世界から尊敬を得るには
われわれ自身の理想に
忠実であることを忘れてはならない
岡倉天心
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岡倉天心/おかくら てんしん(1863-1913)
美術行政家、思想家。文部官僚として、10年間で仏像などの文化財・21万点を調査。文化財保護の法律制定など、日本美術の保護と発展に功績を残した。東京美術学校の校長として、横山大観、下村観山など気鋭の作家を育てる。のち日本美術院を創立し、文化財保護運動や新しい日本画の創造に尽くした。
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1903(明治36)年5月1日
「現状維持修理法」にて 東大寺仏像の修理、成功
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明治初期、仏教排斥運動「廃仏毀釈」により多くの仏像が破壊される。日本の伝統美である仏教文化を救おうと考えた岡倉天心は、仏像が美術品だけでなく、信仰の対象であり、その保護は日本人の精神を守ることだと悟る。西欧化が進み、日本の伝統を否定する風潮に警鐘を鳴らすべく、天心は仏像の修理に取り組む。欠けた仏像は信仰対象にならないが、闇雲な修理では美術的価値を損なうと悩み抜き、本体を傷つけずに欠損を補う修理法に辿り着く。信仰と美術、双方の価値を満足させる「現状維持修理」は、今日の文化財修理の原点となった。天心の情熱により、日本の伝統は時代を越えて守られてゆく。
新日本カレンダー株式会社(
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