【週刊・上杉隆】
◆五輪招致落選で改めて感じた
石原都知事の環境問題への“本気”
羽田空港からの特別便でコペンハーゲンに飛んだ。一部、応援弾丸ツアーに同行してのIOC総会の取材がその目的だ。今回の取材旅行の唯一の目的である石原慎太郎都知事へのある質問を携えて、会見場に向かった。
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記者クラブ制度のある日本と違って、海外取材の公平さは実に気持ちがよい。IOC総会も他の国際会議と同様、インターネットで申し込めばちゃんと取材許可が下りる。ブラジル、スペイン、米国の代表団への取材も自由だ。制限されているのは日本の首相だけというのは日本人としてなんという皮肉だろう。そろそろ日本の国民もフリープレスの原則に気づいてほしいものだ。
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・落選したら責任を取ると明言した2年前の会見
正式な記者会見で政治家が発言したことは「公約」になる。これは日本の記者クラブ主催の記者会見を装う「懇談会見」を除いて、世界で共通のルールだ。
一方で、質問をした記者にも責任が及ぶはずだ。誰かが質問をしてくれればいいのだが、なにしろ2年半以上も前のことだ。誰一人覚えていないかもしれない。よって、自らが行った質問の責任を回収しに行くしかない。ということで筆者はコペンハーゲンまで行ったのだ。
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帰国便を待つコペンハーゲン空港のラウンジ、石原知事は応援団にお詫びのあいさつ回りをしていた。それを終え、ソファに座る直前、筆者の姿を認めると近づき、こう話しかけてきた。
「上杉君、今回の東京招致で本当に大事なことがわかったよ。環境問題は人類にとって急務なんだ。同じ認識を持つ鳩山首相の演説にも本当に感謝している。頼むよ、ぎりぎりのところまで来ている。人類共通の問題だ。君も自分のやり方で都民・国民に知らせてやってくれよ」
12月には同じコペンハーゲンでCOP15が開かれる。石原知事はこうも漏らした。
「たぶん、それには来なくてはならないな」
25%削減を打ち出した鳩山内閣。10年前東京で戦った鳩山家と石原家が、コペンハーゲンで手を結んだのだ。
「さぁ、これからがスタートだな」
これは搭乗前に漏らした言葉だ。日本のメディアは五輪招致失敗の批判一色だが、たまには石原慎太郎という政治家の環境政策に真剣に耳を傾けてみてもいいのではないか。
ダイヤモンド・オンライン