ココロの居場所

平穏な居場所を求めるべく、日々、感じた事を掲載していきます。

季節はずれの黄砂が降った日を、思い出して。

2010-02-03 22:33:40 | ショートショート
ぶらぶら、歩いていると、茶の木という小さな喫茶店があった。すでにお昼の時間もかなり過ぎていて、おなかもすいていたため、あたるもはずれるも、たまたま目の前にあったその喫茶店に入ることにした。薄暗い店内に、低めの天井、手作りのような机とイス。そして、インド系のワールドミュージックがBGMとして流れていた。せっかちな君に合わせて、メニューを見るのもそこそこに、早くできてきそうなプレートランチとデザートつきのコーヒーを注文した。君は、言葉少なく、バッグから単行本をとりだして読みはじめた。ぼくは、寝不足だったのか、なにをすることもなく、ぼんやりとその場の雰囲気に浸っていた。だから、プレートランチの中身や味を思う出すことができない。でも、コーヒーのカップが、取っ手のない陶磁器でできていたことを覚えている。そして、ぼくは、今でも忘れることができない。向かって斜め後方の窓から、この季節には珍しい黄砂が降りとてもゆるやかになった冬の日差しが、君の髪から肩にふりそそいだ、その情景を。

(このショートショートは、60%フィクションです。)

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