臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

今週の「朝日歌壇」から(12月19日掲載分・其のⅢ)書き込み中

2016年12月28日 | 今週の朝日歌壇から
[高野公彦選]
○ 成り立ちを知れば恐ろし民の上に网をかぶせて罠と読ませる (大和郡山市)四方 護

○ 青森より花咲く房総に越してきて冬に働く蜜蜂一億 (松戸市)猪野富子

○ 生きてるか死んでいるかも分からずに年賀状書く季節となれり (筑紫野市)二宮正博

○ パジャマ売場もう着る母はいないのにまた立ち止まる新柄を見て (宝塚市)河内香苗

○ 撒く塩が土俵の上に交叉して力士たたかう時近づけり (高松市)菰渕 昭

○ ガラス窓孫の手形の鮮やかに置きみやげとて拭かずそのまま (豊中市)佐々木綾子

○ 点滴のみ一0日間で七キロのダイエットになり罪もながせり (ホームレス)坪内政夫

○ 順繰りに鉢植えを覗き込んでゆく起き抜けの母はミツバチのよう (長野市)小山美由紀

○ 来て困る三日続けて来なければ案じる不思議猪の身のうえ (久留米市)塩山雅之

○ 朝を急ぐ快速列車 通過駅に警笛ふぉんと零してゆけり (熊本市)垣野俊一郎

○ 医者にしか行けぬ自分にぬくぬくの安価な赤いシャツ買いてみる (飯田市)草田礼子

○ 友や子にみかんを送る宛名書き今年も我の字が行く幸せ (磐田市)海山綾子

○ 駐車場が広く取れると過疎の地に移転を決める市立図書館 (上尾市)清水昇一