(じゃこ)
○ おばさまはだし昆布とか玉子とか幻をすぐお取り寄せする
(西中眞二郎)
○ 正月はいつもと違う日なるとの幻想未だ持ちて過ごしぬ
(髭彦)
○ 幻想に終らぬことを祈りつつ遥かな民の起つを喜ぶ
(帯一鐘信)
○ 幻の便座と呼べるあたたかさいつも知らないうちにはじまる
(野州)
○ カーテンを閉めれば暑き講堂の幻灯でみたエスキモーの暮らし
(増田静)
〇 読みさしを伏せると「人」の形かな文庫しなやか幻冬舎文庫
(くろかわさらさ)
〇 幻のようだったねと薄荷水舌をすべれば夏はおしまい
(矢野理々座)
○ 「幻滅をした」と言うけど現実を見た方がよい時もあるはず...
(藤田美香)
○ 幻がわたしのもとにやってきて幻だけど信じろという
(津野)
○ 鬼となり百まで数えて振り向けばきみもあの子も消えて幻
(行方祐美)
○ ゆめ幻のやうな匂ひに包まれよ朝の五時の霞む浴室
(砺波湊)
○ オアシスの幻に似て灰色の校舎のなかでひらく祭りは
(さくらこ)
○ ひと時の逢瀬にたぶん必要な夢幻の愛が落ちてるホテル
(牛 隆佑)
○ ここにいたかもしれなかった僕たちが幻になり消えゆくところ
(A.I)
○ 夕暮れの幻灯そしてチェンマイのゲストハウスに積もる静けさ
(不動哲平)
○ 幻は幻らしく四〇分四〇〇〇円の夜にまた病む
(砂乃)
○ リアルには耐えられないと逃げ込んで幻想世界を生きる少年
(酒井景二朗)
○ 幻のごとき命か日だまりにしづまる墓に酒を注ぎつ
(原田 町)
○ 八幡山より見わたす安土城址は夢幻か湖水の光る
(ひじり純子)
○ 幻の指令を受ける男たちコスモクリーナー不確かなもの
(葵の助)
○ 「夢幻」というハンドルネームでケータイのブログやってたこともまぼろし
(湯山昌樹)
○ 幻であってほしいと願えども冷たく地震(ない)の跡は残れり
(芳立) 「白骨の御文」に
○ ゆく水によしやあしやと幻のひとよながれてうき草のあと
(梳田碧)
○ 蟻の曳く荷物は骸ばかりなりキャラバンサライも遠い幻
(牧童)
○ 幻術の根を侍らせてヒヤシンス水栽培のドラマは続く
(萱野芙蓉)
○ 月もひとりおぼろに傾ぎ灰色を帯ぶる四十一帖幻
(穂ノ木芽央)
○ あの娘の名知るためだけに小走りで真夏の森の幻燈会へ
(るいぼす)
○ 暗闇に響く足音とまらない夜が明けるまで続く幻聴
(小夜こなた)
○ 生むあてを絶ちし吾が子が花影に「元気ですか」と揺れる幻
(五十嵐きよみ)
○ 幻想が崩れるように溶けてゆくコーヒーカップの上のクリーム
(南葦太)
○ 在り得ない背中に触れたはずの手に時折襲いくる幻肢痛
(伊倉ほたる)
○ 口づけをせがむグロスをかわしつつ幻覚めいて花びらは散る
(雑食)
○ あの人の幻はまだ必要で留守電の声まだ消せなくて
(紗都子)
○ ひたむきな顎のラインをとがらせて君が見上げる空は幻
(水絵)
○ この惨事幻であれ夢であれ 祈るすべしか無き身口惜し
(やまみん)
○ 幻を愛していたのは どっちなの?愛する事に 疲れ果てたの?...
(おおみはじめ)
○ 幻をかたる金融詩人らがあまた集へるニューヨークかな
(佐田やよい)
○ 曖昧な記憶のような明るさが幻灯機から零れれば冬
(久哲)
○ 小規模な幻想帯を持ったまま時間につぶされている喫茶店
(那緒)
〇 幻覚と言い聞かせては凝視する地獄絵図あり画面の向こう
(史緒)
〇 桜舞う朧月夜の夢幻能うたかたの恋影も残さじ
(冥亭)
〇 きのうまたあすも幻さもあらばきょうのこの日を現(うつつ)と思うな
(中村成志)
〇 月光は空き屋にも降り幻と見紛うごとくすずらんの房
(我妻俊樹)
〇 幻灯をはずして壁にあてながらただ真っ白になるだけなのよ
(希)
〇 幻でいいわけがない明日からの天気をしきりに気にするあなた
(理阿弥)
〇 幻なき一生を急ぐ男の子らにジサツウキンのホームぞ暗き
(藻上旅人)
〇 幻をみると時は少しだけ歪んじまうので 意味は消え去る
(晴流奏)
〇 幻想に胸を焦がして堕ちてゆく一夜の夢と笑わば笑え
(ぱぴこ)
〇 幻の君が好きです居酒屋で再会なんていらないのです
(黒崎聡美)
〇 一年をたしかに過ごしたはずなのに幻のように咲く沈丁花
(花夢)
〇 (ほうしゃのう)見えないものが見えるとしたらそれは幻(ほうしゃのう)
(志歩)
〇 17の孤独の味が沈んでる今は幻カルピスの底
(天国ななお)
〇 二十年前なら夢と笑っても昨晩ならば幻でしょう
(松木秀)
〇 現実に軸足移す「幻想は現実である」と話す人いて...
(新藤ゆゆ)
〇 約束が守れなくても明け方に幻滅したとしてもおかえり
(藤野唯)
〇 強いんじゃなくてどうでもいいんだね 愛されたのは夏の幻
(東 徹也)
〇 幻想や仮想でないと気付くまでこの口づけを繰り返すだけ...
(伏木田遊戯)
〇 幻のかげろうの身であればこそ手鎖の恋秘して滅べよ
(北爪沙苗)
〇 喜びを病巣として幻を乗せた列車を見送る真夏
(千葉けい)
〇 目覚めれば肩の形も浮かぶのに紅さす指は幻と言う
(今泉洋子)
〇 幻の迦陵頻伽を一目見ん格天井を飛び立つ姿を
(北爪沙苗)
〇 喜びを病巣として幻を乗せた列車を見送る真夏
(なぎ)
〇 かたくなに三角座り 幻灯機いじる横顔照らされている
(遥遥)
〇 これは幻ですかこれは幻ですかこれが現実ですか
(ひぐらしひなつ)
〇 幻想曲弾き終えてのちゆるやかに波打ちながらあなたが戻る
(豆野ふく)
〇 旅先の赤提灯は幻想の灯り 今夜は夢まで飲もう
(山階基)
〇 幻の水棲獣の抜け殻を現地の人は揚げ物にする
(夏嶋真子)
〇 真夏日の水曜午後二時新宿に西瓜畑と祖父の幻影
(粉粧楼)
〇 幻の帝国滅ぶ予感抱き君に抱かれる夜は終らず
(鳥羽省三)
〇 幻想のたまゆら醒めしマニフェスト粉砕しませシュレッダーもて
○ おばさまはだし昆布とか玉子とか幻をすぐお取り寄せする
(西中眞二郎)
○ 正月はいつもと違う日なるとの幻想未だ持ちて過ごしぬ
(髭彦)
○ 幻想に終らぬことを祈りつつ遥かな民の起つを喜ぶ
(帯一鐘信)
○ 幻の便座と呼べるあたたかさいつも知らないうちにはじまる
(野州)
○ カーテンを閉めれば暑き講堂の幻灯でみたエスキモーの暮らし
(増田静)
〇 読みさしを伏せると「人」の形かな文庫しなやか幻冬舎文庫
(くろかわさらさ)
〇 幻のようだったねと薄荷水舌をすべれば夏はおしまい
(矢野理々座)
○ 「幻滅をした」と言うけど現実を見た方がよい時もあるはず...
(藤田美香)
○ 幻がわたしのもとにやってきて幻だけど信じろという
(津野)
○ 鬼となり百まで数えて振り向けばきみもあの子も消えて幻
(行方祐美)
○ ゆめ幻のやうな匂ひに包まれよ朝の五時の霞む浴室
(砺波湊)
○ オアシスの幻に似て灰色の校舎のなかでひらく祭りは
(さくらこ)
○ ひと時の逢瀬にたぶん必要な夢幻の愛が落ちてるホテル
(牛 隆佑)
○ ここにいたかもしれなかった僕たちが幻になり消えゆくところ
(A.I)
○ 夕暮れの幻灯そしてチェンマイのゲストハウスに積もる静けさ
(不動哲平)
○ 幻は幻らしく四〇分四〇〇〇円の夜にまた病む
(砂乃)
○ リアルには耐えられないと逃げ込んで幻想世界を生きる少年
(酒井景二朗)
○ 幻のごとき命か日だまりにしづまる墓に酒を注ぎつ
(原田 町)
○ 八幡山より見わたす安土城址は夢幻か湖水の光る
(ひじり純子)
○ 幻の指令を受ける男たちコスモクリーナー不確かなもの
(葵の助)
○ 「夢幻」というハンドルネームでケータイのブログやってたこともまぼろし
(湯山昌樹)
○ 幻であってほしいと願えども冷たく地震(ない)の跡は残れり
(芳立) 「白骨の御文」に
○ ゆく水によしやあしやと幻のひとよながれてうき草のあと
(梳田碧)
○ 蟻の曳く荷物は骸ばかりなりキャラバンサライも遠い幻
(牧童)
○ 幻術の根を侍らせてヒヤシンス水栽培のドラマは続く
(萱野芙蓉)
○ 月もひとりおぼろに傾ぎ灰色を帯ぶる四十一帖幻
(穂ノ木芽央)
○ あの娘の名知るためだけに小走りで真夏の森の幻燈会へ
(るいぼす)
○ 暗闇に響く足音とまらない夜が明けるまで続く幻聴
(小夜こなた)
○ 生むあてを絶ちし吾が子が花影に「元気ですか」と揺れる幻
(五十嵐きよみ)
○ 幻想が崩れるように溶けてゆくコーヒーカップの上のクリーム
(南葦太)
○ 在り得ない背中に触れたはずの手に時折襲いくる幻肢痛
(伊倉ほたる)
○ 口づけをせがむグロスをかわしつつ幻覚めいて花びらは散る
(雑食)
○ あの人の幻はまだ必要で留守電の声まだ消せなくて
(紗都子)
○ ひたむきな顎のラインをとがらせて君が見上げる空は幻
(水絵)
○ この惨事幻であれ夢であれ 祈るすべしか無き身口惜し
(やまみん)
○ 幻を愛していたのは どっちなの?愛する事に 疲れ果てたの?...
(おおみはじめ)
○ 幻をかたる金融詩人らがあまた集へるニューヨークかな
(佐田やよい)
○ 曖昧な記憶のような明るさが幻灯機から零れれば冬
(久哲)
○ 小規模な幻想帯を持ったまま時間につぶされている喫茶店
(那緒)
〇 幻覚と言い聞かせては凝視する地獄絵図あり画面の向こう
(史緒)
〇 桜舞う朧月夜の夢幻能うたかたの恋影も残さじ
(冥亭)
〇 きのうまたあすも幻さもあらばきょうのこの日を現(うつつ)と思うな
(中村成志)
〇 月光は空き屋にも降り幻と見紛うごとくすずらんの房
(我妻俊樹)
〇 幻灯をはずして壁にあてながらただ真っ白になるだけなのよ
(希)
〇 幻でいいわけがない明日からの天気をしきりに気にするあなた
(理阿弥)
〇 幻なき一生を急ぐ男の子らにジサツウキンのホームぞ暗き
(藻上旅人)
〇 幻をみると時は少しだけ歪んじまうので 意味は消え去る
(晴流奏)
〇 幻想に胸を焦がして堕ちてゆく一夜の夢と笑わば笑え
(ぱぴこ)
〇 幻の君が好きです居酒屋で再会なんていらないのです
(黒崎聡美)
〇 一年をたしかに過ごしたはずなのに幻のように咲く沈丁花
(花夢)
〇 (ほうしゃのう)見えないものが見えるとしたらそれは幻(ほうしゃのう)
(志歩)
〇 17の孤独の味が沈んでる今は幻カルピスの底
(天国ななお)
〇 二十年前なら夢と笑っても昨晩ならば幻でしょう
(松木秀)
〇 現実に軸足移す「幻想は現実である」と話す人いて...
(新藤ゆゆ)
〇 約束が守れなくても明け方に幻滅したとしてもおかえり
(藤野唯)
〇 強いんじゃなくてどうでもいいんだね 愛されたのは夏の幻
(東 徹也)
〇 幻想や仮想でないと気付くまでこの口づけを繰り返すだけ...
(伏木田遊戯)
〇 幻のかげろうの身であればこそ手鎖の恋秘して滅べよ
(北爪沙苗)
〇 喜びを病巣として幻を乗せた列車を見送る真夏
(千葉けい)
〇 目覚めれば肩の形も浮かぶのに紅さす指は幻と言う
(今泉洋子)
〇 幻の迦陵頻伽を一目見ん格天井を飛び立つ姿を
(北爪沙苗)
〇 喜びを病巣として幻を乗せた列車を見送る真夏
(なぎ)
〇 かたくなに三角座り 幻灯機いじる横顔照らされている
(遥遥)
〇 これは幻ですかこれは幻ですかこれが現実ですか
(ひぐらしひなつ)
〇 幻想曲弾き終えてのちゆるやかに波打ちながらあなたが戻る
(豆野ふく)
〇 旅先の赤提灯は幻想の灯り 今夜は夢まで飲もう
(山階基)
〇 幻の水棲獣の抜け殻を現地の人は揚げ物にする
(夏嶋真子)
〇 真夏日の水曜午後二時新宿に西瓜畑と祖父の幻影
(粉粧楼)
〇 幻の帝国滅ぶ予感抱き君に抱かれる夜は終らず
(鳥羽省三)
〇 幻想のたまゆら醒めしマニフェスト粉砕しませシュレッダーもて