西川美和監督
吊り橋の上から幼馴染みの女性を転落死させてしまった兄・香川照之と
その兄と、法廷で、面会室で向き合う弟・オダギリジョーの物語
兄弟って、一番理解し合える存在かもしれなくて、
でも、背負って歩かなければいけない重い十字架かもしれなくて、
一番近くて遠い存在
なのかしら~と思ったり
「ゆれる」吊り橋の上で、兄は智恵子を突き落としたのか。
智恵子は誤って落ちてしまったのか。
そして、弟はそれを見ていたのか。見ていな かったのか。
吊り橋はゆれて、兄と弟の関係もゆれて、真実もゆれる。
サスペンスの体裁もとりながら、やはり焦点が当てられ るのは兄と弟の関係
閉塞した田舎と退屈な家業を捨てて上京し、カメラマンという洒落た仕事と
金と女に不自由しない生活を手に入れた弟の猛。
対照的に、田舎に 留まり、家業であるガソリンスタンドで老いた父と働き、
女にもモテず、ガソリンスタンドで働いて家に帰ると炊事と洗濯という兄の稔。
事件 が起きた後は、猛の目から見た兄が、
温厚な兄から、皮一枚剥いだら不安定にゆれる兄が現れ、猛は困惑する。
裁判に勝つ見通しがついたにも 関わらず、猛は、皆の想像を超えた行動をする。
裁判の行方は・・
猛が兄を、田舎で家業を継いで頑張っている姿を格好いいと言う
本心なんだろうなぁ
常に兄に対して引け目を感じていて、
田舎で根を張ることも必要なことなんだということは充分に分かってい て、
猛は兄を慕っている。
兄は、自分でも気づかなかったのかもしれない、
弟に対する気持ちを少しづつ暴いていく
弟は兄から奪い続け、兄は奪われ続ける。
兄も弟も、糸が切れるのを、つなぎ止めようともせずにただ眺めていただけだった。
弟は兄から奪い、兄を損なってきた。
兄は奪われ続け、 損なわれた。
それでも、切れたはずの細い糸を手繰り寄せようと弟は走り、叫び、
そして兄は少しだけ微笑んだ。
兄弟の絆・・・怖いほど狂おしい愛憎
香川サン。
ヤッパリ素敵な俳優でした