ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、善(よ)く生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

歩きながら考える──ルソー

2016-06-28 18:38:27 | 知恵の情報
ひとり徒歩で旅したときほど、ゆたかに考え、ゆたかに存在し、ゆたかに生き、
あえていうならば、ゆたかに私自身であったことはない。徒歩は私の思想を
活気づけ、生き生きさせる何ものかをもっている。

じっと止まっていると、私はほとんどのものが考えられない。私の精神を
動かすためには、私の肉体は動いていなければならないのだ。

田園の眺め、快い景色の連続、大気、旺盛な食欲、歩いてえられるすぐれた
健康、田舎の料亭の自由さ、私の隷属を思い起こさせる一切のものから
遠ざかることが、私の魂を解放し、思想にいっそうの大胆さを与える。
(『告白』)


ルソー(1712~1778):6月28日、この日、ジュネーヴに生まれた
フランスの思想家、文学者。政治、経済、文学、などあらゆる方面において近代の
父といわれる。『社会契約論』『エミール』『告白』

─『一日一言 -人類の知恵ー』桑原武夫編 岩波新書から

ベートーベンもよく散歩をしていた。ゲーテも朝が待ち遠しく、夜が明けると
部屋の向こうからこちらへ歩きながら思索にふけっている。
歩くことは、なにか自分以外の大きな発想がえられるような気がする。
芭蕉もよく歩いた。水戸黄門も歩いたのは、歩く効用を知っていたの
かもしれない。
無目的に歩いてみると自分の脳の枠が解き放たれるような自由な気分に
なる。セレンディピティが得られるかもしれない。




(エル・レグシェリル─ソクラテス─ルソー─中江兆民)