水泳選手も逆らえない 海水浴に潜む”離岸流”の危険
小学生たちはもうすぐ夏休み!
海水浴は子どもたちにとって楽しいイベントである反面、2017年に全国で発生した水難事故の発生件数は1341件、水難者数は1614人。そのうち、およそ半数の679人が亡くなるか、行方不明となっています(警察庁調べ)。
他人事とは思えない数字ですよね。
みなさんは、海で泳いでいて、知らぬ間に沖に流されてしまった経験はありませんか。
これは「離岸流」と呼ばれる、目では見えにくい潮の流れが原因なんです。
離岸流とは、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れのこと。波は沖から海岸へ打ち寄せますが、海水はどんどん岸に貯まるので、どこかから沖に戻ろうとします。この時、岸から沖の方へ向かって一方的に流れる速い流れのことを離岸流(リップカレント)と呼びます。
・速さ
最大で1秒間に2mほど。人の早歩きと同じ位の速さですが、水中だと速く感じられ水泳選手でも逆らっては泳げないとされています。
・長さ
通常数10m~数100m程度。岸から離れると流速は弱まります。
・幅は、10~30m程度どあまり広くはありません。
・発生期間
一旦発生した後、1ケ月近く同じ場所で発生し続けることもある一方、発生から2時間後には位置を変えることもあります。
離岸流に流されると、知らず知らずのうちに沖まで流されてしまうことがあるので、注意が必要です。
では、実際に流されてしまったら、どうしたらよいのでしょうか。
【1】慌てず落ち着く。可能であれば、まわりの人に流されていることを知らせる。
【2】無理に岸に戻ろうとせず、岸と平行に泳ぐ
【3】沖向きの流れを感じなくなったら、岸に向かって泳ぐ。泳ぎに自信のない方は、無理に泳ごうとせず浮くことに専念する。
流されてしまうと岸に向かって泳ごうとしてしまいますが、離岸流の場合は戻る事は困難で、かつ体力を消耗してしまいます。まずは落ち着いて、岸と平行に泳ぐか、難しい場合は浮くことに専念して周りに助けを求めるようにしてください。
離岸流は、決して珍しいものではなく、毎年どこにでも発生する流れです。日本の海水浴場で人が溺れる事故のうち、半数以上が離岸流によるものだといいます。離岸流の特性を正しく理解し、安全な海水浴をお楽しみください。