米長邦雄と言う将棋の名人をご存知でしょうか。
兄弟はみんな東大に入った優秀な家庭に育ったが、彼は「兄達は頭が悪いから東大へ行った。自分は頭が良いから将棋指しになった」と言ったそうです。
彼の子供の頃のエピソードとして、将棋の先生から「君、僕のような将棋をやりなさい。」と指導されたところ、「先生と同じ癖がついたらいけないのでお断りします。」と答えたそうです。
この米長邦雄は「将棋は独学」という哲学の持ち主で、後に4つのタイトルを総なめにして四冠王となった超伝説の棋士なんだそうです。
つい最近の話ですが、とある強いベンチプレスの選手に、基本は誰らから教わったんですか?そのスタイルのベースはどなたですか?と聞いたところ、やはり「独学ですよ。」と応えが返ってきましたことを思い出しました。
ある程度自分のスタイルがないと、大きなに壁にぶつかった時にかえって遠回りになるような気がします。
しかし、そんな連勝を重ね勝ち続けた達人でも急に勝てなくなった時期があったそうです。
そこでスランプから抜け出すために彼がしたこととは、なんだと思いますか?
それはなんと若手棋士に教わる事でスランプから抜け出したんだそうです。
若い棋士を酒の席に連れて行き、食事や酒を御ちそうして、会話の中からヒントを引き出すと言ったことをしたそうです。
すると、何度か通ううちに若い棋士から「先輩は自分の愚かさに気付いていないんですよ」と、指摘されたそうです。実際にその愚かさとは何を意味するのか分かりませんが、もしかしたら技術の進歩なのかも知れませんね。その指摘を正直に受け止めて、彼はなんと49歳史上最年長で「名人位」を取得したんだそうです。
かつて天才といわれた男が、若手に教えを請う。
普通じゃプライドが許さないですよね。
しかし、ここで言える事は、彼の場合、自分自身が努力をして誰にも負けない強さでビッグタイトルを総なめにするまで「独学」を貫き、四冠王と言う結果を出したこと。
そこに行くまで、誰の真似をする分けでもなく自分が信じた方法で成功を掴んだと言う事。
これを聞いた時に思った事は、最近の歌手は男子も女子もみんな同じような歌い方をしますよね。少し前まではそれぞれ個性があり、味があったのに。
簡単に言うと物まねから入って、個性が出せずに消えて行く歌手が多いように思います。あの武田鉄矢さんは歌手になり始めた当時、人まねと言われる事を相当嫌ったそうで自分の味を出す努力をしたそうです。
これってスポーツにも共通するのではないでしょうか。
やはり自分が考えた動きを身体で何度も覚えて、色々試したなかで自分が一番しっくり来る動きを出して行く。これが大事なんだと思います。その中で当然、他の人のあらゆるテクニックを試して自分のテクニックにして行く事も独学の内になるのではないでしょうか。
今年はそんなことを考えて取り組んで行きたいと思います。