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【推測憶測どんとこい】この日本に,臨床心理士は,いったい何人必要か:前編

2007-07-11 09:39:41 | 臨床心理学
「ハイ! いきなりですが,「この日本に,臨床心理士は,いったい何人必要か」というシリーズをはじめようかと思います。というか既に始まりました,いまここで。

ま,この件については,資格問題に関連して,既に心理系のいくつかのブログで取り上げられております。(withinにもbetweenにも)網羅的に挙げられなくて申し訳ないですが,

ロテ職人の臨床心理学的Blog
【ムカついて】で、国家資格化は必要なのか?【肝心なこと忘れてた】
つなでさんこと今井たよかさんへの質問

臨床心理職能メモ
梅雨らしい一日でした

他にも単発的に書かれている方もおられると思いますが(事実おられますが),比較的継続して書かれているのはこのお二方とお見受けします。敬意を表しつつ,議論が重なったり重ならなかったりするところもあると思いますが,どうぞお手柔らかにと思います。皆さんも適宜ご参照ください(ってもう読まれてることと思いますけどね)。

ま,で,シリーズといっても,まあこれ,そんなに書くことないんで,多分,前編後編の2回くらいで終わるだろうと思います。終わらなかったらゴメンナサイ。

このエントリはかなり荒っぽいといえば聞こえのいい,適当でぞんざいで不正確でドンブリ勘定な憶測に満ち溢れてますので,以下の注記をご参照の上,用法用量を守って,個人の範囲でお楽しみいただければ幸いです。

――――――

注1)臨床心理士はじめ心理系の資格など一切持たない門外漢が手前勝手に推測を展開してます。

注2)調べられる数字はなるべくWEB上あるいは紙媒体のソースをあげたつもりですが,もしかしたら正確さにかけるかもしれません。

注3)もしかしたら正確さに欠ける数字からpsy-pubバイアスによりドンブリ勘定で試算しているため,現状とかけ離れてる恐れがあります。

注4)日本臨床心理士会など関係機関で公式な市場調査は行なわれているものと思います(おそらくたぶんそうだろう)が,非関係者につき,それを読んだことはありません。公式調査(もしやってればの話ですが)の結果を知ってる方は,鼻で「フフン」とお笑いください。

注5)便宜的に(というものの含む問題も意識しつつ),「臨床心理士」という名称を用いますが,これは必ずしも,現行の一民間資格である「臨床心理士」のみ視野に入れたものではなく(規模数や実質的な面からいえばメインではありますが,すべてではない),海外との比較対照のしやすさや論旨の明快さという観点から,一本化しています。あしからずご諒承ください。

注6)なお,ここでいう臨床心理士とは,
(1)一定レベル以上の専門教育を受け自らの仕事に対する説明責任を果たせる
(2)職業倫理的・法律的・公共の福祉などなどもろもろの観点において害がなく
(3)かつ医学的のみならず臨床心理学的あるいは実践的観点において整合性のあるセラピーができる人

を意味します(ちょっと適当な定義ですが,ツッコミよろしく!)。

注7)それはもちろん,例外はあれども平均的に,ということです。教育っていうのはそういうことでしょう? たとえば,アメリカでは,臨床心理士=博士,学校心理士=修士という基準があるので,自然,修士以上というのがひとつの目安になるかと思いますが,これをどう考えるか,ですね。

――――――

なお,このエントリに関しましては,自説の正当性を主張したいわけではないので,異論反論大大大大歓迎(というかないと困る)なわけですが,自分が憶測推測重ねておいて,厚かましいんですが,反論に際しては「具体的なソースの提示」をお願いしたいと思います。

それはなぜかと言いますれば,推測に対して推測の反論をいただいたとしても,申し訳ないのですが,まったくナンセンスなのでありまして,先に申しましたが,自説の正当性を主張したいわけではない私としましては,コマッチャウわけですよ。

もちろん,ならオメエが先に具体的にソースを提示しつつ語れや,という話もありますけれど,まあそこは許してほしいス。ブログだし,本業でもない,門外漢なので。ゆえに「バカがなんか言ってるけど憶測だらけだから無視無視」といわれても仕方ないですし,そういう批判は甘んじて受けます。ただ,憶測論についての憶測の批判はナンセンスなので,御免被りたいと思ってます。批判の際にはソースを提示いただければ幸いです。

繰り返しますが,「psy-pubの推測は憶測だからゴミ以下無視無視」という批判は「無条件に喜んで受け入れます」が,たとえば,「psy-pubの推測は憶測でゴミ。心理士は役立たずで社会の役に立ってないからそんなに必要ない,今でも多いくらいだから減らせ!」と主張される場合には「その客観的根拠,お伺いしたい」と思います。いうまでもないですが,そんなに強くいうならば(仮の話だけど),個々の事例などではなく,量的なデータあるいは政府・行政機関の公式的な見解等をお示しいただくことになると思います。もちろんこれは「心理士が少なすぎるので100万人養成しろ」という類も同断です。

と,書くと,誰もコメントくれなさそうですが(まあ書かなくてもコメントなさそうですけど),自分の発言に自分で責任を持とうと思っていただける限りにおいては,憶測でも希望的観測でもなんでもどんとこいなんです

そして憶測,憶測などと書いて予防線張りまくりですが,本当に事実無根で荒唐無稽なデマゴーグを流布するのが目的とは,少なくとも主観的には思っていないので,もちろん私も,憶測といえども,自分の発言には責任をもっていることも最後に付け加えておきます。

以上の過程を通して,WEB上のなんとなくのコンセンサスが得られればなあと思ってます。そんなコンセンサス得てどうするのか? といわれれば,まあそうですけど,いいじゃないですか,面白ければ。もしそれが有害極まりないものだとしたら,コンセンサスも得られないでしょうしね,と,あくまでお気楽に。

…………

前置きばかりが長大になってしまいましたが,最初はオーソドックスに,アメリカとの現状の比較からまいりましょうか(なぜアメリカなのか,つうのはこの際,勘弁してね,数字が調べやすかったからです)。

まず,最初に両者の人口をサクッと確認しときますか。

――――――

アメリカ合衆国人口:2億8,142万人(2000年、50州)
●参照:アメリカ合衆国---外務省

日本国人口:1億2,776万7,994人(2007年)
●参照:総務省統計局

――――――

まあ約2倍ってところですか。面積を考えると意外と差がないのに改めてビックリ。日本がちょっと多いのかな。

で,ここで「アメリカ心理学会(通称APA)」の概要を申しますと,

――――――

アメリカ心理学会
・アメリカで最も歴史ある最大の心理学会 
・会員数:約15万人
・基礎・臨床の研究者が会員
・現在では実質的に臨床系の職能団体の色彩が強い
●参照:アメリカ心理学会---Wikipedia

――――――

アメリカでも臨床系が強いのね。まあ心理学研究者の就職先を考えれば当たり前の話ですが。日本でいえば,歴史的には日本心理学会現状としては日本心理臨床学会,というイメージでしょうか。

APAには基礎系の研究者も在籍しておりますが,どちらかというと基礎系は「科学的心理学会」に所属しているようです。会員数は約1万4,000人。APAの約1/10ですか。
●参照:科学的心理学会---Wikipedia

ハイ,じゃあ日本最大の心理学会といえば「日本心理臨床学会」ですが,その概要は,

――――――

日本心理臨床学会
・心理系で日本最大の学会
・会員数:約2万人
・臨床系の研究者・実践家が中心
・実質的に「臨床心理士」の職能団体として機能
●参照:日本心理臨床学会

――――――

まあいわずもがな,ですが,単純に比較できないですが,APAとは7.5倍の差があります。

一方,日本で最も歴史ある心理学会といえば「日本心理学会」でして,会員数は約7,000人。アメリカの科学的心理学会が1万4,000人と考えると,人口比でいえばまあ適正な人数ともいえましょう。
●参照:日本心理学会

まあこうやってみてみると,APAの突出ぶりがうかがえるわけですが,これはなんだろうか。科学的心理学会との重複等を鑑みた上で,APA所属の基礎研究者はおそらく2万人程度(推測),最大限多く見積もっても5万人としても(そんなにいないと思う),APAにおける臨床系は,少なくとも10~12万人(推測)いるわけで,全人口の0.06%にあたりますね。

これに臨床心理士や学校心理士(APA)以外のカウンセラーやソーシャルワーカーを加えると,かなりの数になりそうです(実数は調べられず)。

なお参考までに,英国(イギリス)人口は6,000万人で日本の約1/2ですが,英国心理学会(構成はAPAとほぼ同じ)会員数は3万7,000人と,心理臨床学会の1.85倍になります。英国は人口構成比でいえば,アメリカとほぼ同等で0.06%といったところでしょうか。
●参照;
認知行動アプローチと臨床心理学―イギリスに学んだこと認知行動アプローチと臨床心理学―イギリスに学んだこと
丹野 義彦

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…………

ハイ,じゃあいきなりだけど,これらを踏まえて,psy-pubの「日本における臨床心理士の需要についての試算」をとるもとりあえずあっさり開陳しちまいますか。

それは,ズヴァリ!

有資格者:6万人

実働:4万人

です。

その根拠および内訳は


…………


…………


残念,
次回に持ち越しだ!(全読者激怒!!)

↓↓↓↓↓↓

【推測憶測どんとこい】この日本に,臨床心理士は,いったい何人必要か:後編~マーケットは全人口?!


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3 コメント

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こんばんは (つなで)
2007-07-11 19:57:49
PSY-PUBさま
いつも楽しい記事をありがとうございます。
なかなかいい線のようですね!
(根拠なくてすみません。)
後編も期待しています。
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ちょっと誤解? (33)
2008-02-26 23:15:35
>APAの会員15万人

>APAにおける臨床系は,少なくとも10~12万人(推測)いるわけで,全人口の0.06%にあたりますね

というのは、学生会員の数も含まれていることを考えると、過大評価になり、ちょっと誤解だと思います。


最近数字ですと、修士以上の学歴を持つ会員は8万人程度、そのうち、臨床系の学位を持つメンバーは6万人弱ですので、実際の数字はもっと少なくなります。臨床系の学位があるからといってすべての人が臨床心理の専門家としてとして働いているわけでもないですしね。


http://www.apa.org/pi/wpo/wapa03.pdf
返信する
コメントありがとうございます (psy-pub)
2008-02-27 09:35:04
33さま

有益な情報ありがとうございます。
こういう資料があると随分いいですね。

またいい情報があったら教えてください。
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