心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

デカルトからテレパシーへ,そして岩波

2006-07-21 11:27:55 | 基礎心理
脳を鍛えようなんて思っているわけですが,まったく鍛えられません。手先はなんか器用になった気がする。うん。ゴマメも三枚におろせそう。
でも,ゲームでピコピコすんのと,難しい本をじっくり読むのって,どっちが脳力向上にいいんですかね。
ボケ防止にはゲームとマージャンと編み物,どれがいいんですかね。

ま,どうでもいいんですが。

唐突ですが,臨床心理学業界ですと,けっこうデカルトちゅうのは批判されがちです。デカルトちゅう人は,いろんなものをどんどん整理しちゃった天才でありまして,その考えはいまだにワタシらの心に根付いていますね。けれど,中庸というのを知らない潔癖さんでありまして,機械論的生物観でどんどん分別してしまった。わけても,心身二元論は臨床心理学業界で批判の的。こころとからだを分けたことで,心身医学的にも面倒が増えたと。「西洋的心身二元論はダメだ」というのは,河合隼雄先生の論文に書いてあったりしますね。
一方,東洋は,「心身一如」なんだそうで,西洋の「心身二元」とは反対だそうで。
でも,心身一如って「心身を一つにするのが理想」ってことだから,やっぱこころとからだバラバラだったんだよね。一緒だったら,「からだ」と「こころ」と分ける言葉なんかないはずだし。
と思うわけです。
別にどうでもいいのですが。

でも,どうでもよくなかったりするわけです。

なんで,そんなことを考えているかと言えば,

「意識・脳・身体の接続へ──デカルトの夢と最新脳科学」

なんていうものすごいタイトルを見つけちまったからですね。
すげぇ!

っていうのは,これは,岩波書店さんの「科学」の2006年3月号の特集のタイトル。

http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo200603.html

アマゾンじゃ買えないみたい。というか,そもそもこの号,見つからなかった……。

で,この目次のなかに神谷之康先生の「マインド・リーディング」なんて言葉を見つけたわけです。

なにそれ。「マインドを読む?」
それはテレパシーのことなのか,それともサイコキネシスなのか,あるいはサトラレなのか。あるいは天才的心理臨床家なのか。

とはいえ,さすがにそんな複雑な問題じゃなく。これ,認知科学の最前線の話なんですね。

被験者が図形を思い浮かべる→それをコンピュータで予測する

簡単に言えばそれが可能になった。

詳しくは,神谷之康先生のHPでどうぞ,お読みくだされ。
http://www.cns.atr.jp/~kmtn/

あ,ちなみに,これ,英語です。
全部。

えっと,英語が弱いって方は,こっちで簡略が書いております。

http://www.atr.jp/html/topics/press_050425_j.html

で,こっちに書いてあるように,神谷先生は,この手の研究成果をあちこちに投稿しておりまして,な,なんと,ネイチャー・ニューロサイエンスにも掲載。
で,ですよ,SCIENTIFIC AMERICANが選んだ2005年のベスト50研究に選ばれた! 2005年の発表なんで,いまごろ何やってんだオレ,という感じですが,いや,これは素晴らしい。何度も褒めよう。他に選ばれている日本人はあと1名しかおらんようです。

えっと,ちなみに

かみたに

って読みます。ワタシは「カミヤ」というので探しておりまして,非常に困りましたことをつけ加えておきます。
ニホンゴってムズカシイね。

で,まあ,だれか認知科学にお強い出版社の方は,神谷之康先生の本を出しておけ,という話でございます。50人だよ,50人。
やっぱ,「科学」つながりで,「岩波科学ライブラリー」がいいんじゃないっすかね。

「マインド・リーディング――認知科学の最前線」

なんて,どうですか?
「最前線」つうのがダサいかな。3年たったらどうするって話にもなり。

ところで,「岩波科学ライブラリー」って面白いですな。

以前,怪著

宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ
佐藤 俊哉

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を紹介しましたが,なんだか,こつこつと良書を発行し続けている感じです。
例えば,

研究者人生双六講義研究者人生双六講義
入来篤史

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すんげぇタイトル。「職業としての研究者」って感じです。

アフォーダンス-新しい認知の理論アフォーダンス-新しい認知の理論
佐々木 正人

岩波書店 1994-05
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ちょっと古いですが,これは入門書にいいかも。

意識とは何か―科学の新たな挑戦意識とは何か―科学の新たな挑戦
苧阪 直行

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無意識もわかんないけど,意識もちゃんとわかっていないのね。

心の理論―心を読む心の科学心の理論―心を読む心の科学
子安 増生

岩波書店 2000-04
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いろいろ賛否ある「心の理論」ですが,ま,正論であります。

日曜ピアジェ 赤ちゃん学のすすめ日曜ピアジェ 赤ちゃん学のすすめ
開 一夫

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親向けの本ですが,タイトルがいいね。日曜ピアジェ。ならワタシは日曜ヤスパースでいくで~。


しかし,「岩波科学ライブラリー」って申し訳ないですが,あんま本屋さんに置いてありませんね…。もったいない。ま,岩波書店さんをめぐる,さまざまな事情があるわけですが,もうちょっと置いてもいいのに,と思います。日本の文化を背負っているわけですから,もうちっと商売のやり方を変えたらどうかと,ワタシ如きがなんですが,言わせて欲しい。若い子,とくに若い田舎の秀才君がかわいそうだ!

「岩波科学ライブラリー」全体を見渡すと,まだ歴史も浅いためか,近年の生命科学系が多いのが特徴でしょうか。工学系はもはやブラックボックスじゃなくなっていて,人気ないのかな。これもある種の理系離れか。



ま,どうでもいいんですが。


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