心理学の本(仮題)

【職場に】心理学書編集研究会(略称:心編研)による臨床心理学・精神医学関連書籍のブックレヴュー【内緒♪】

【忘れろ草を】発達とはなにか,進化とは何だろうかPART2【君に】

2006-10-30 11:56:02 | 基礎心理

【タイトル後半】発達とはなにか,進化とはなんだろうか,生命とは,宇宙とはPART1【特に触れず】

ドラえもん髄一のトリップ挿話「忘れろ草を君に」。あの毒,あのトリップ感,忘れずにいたいもんですね。

さて,あたかもその忘れろ草をくらったかのような,忘れっぷりだったのが,この「発達」シリーズ。勿忘草をGive Me。思い出したように第二弾であります。



文化的営みとしての発達―個人、世代、コミュニティ文化的営みとしての発達―個人、世代、コミュニティ
バーバラ ロゴフ Barbara Rogoff 當眞 千賀子

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いやあ,大著,です。実に500ページ超。アメリカの心理学書の定評あるAWARD「2004-2005ウィリアム・ジェイムズ賞」を受賞しているそうです(こういうの,日本でもないかなあ……)。

個人的には,あくまで個人的になのですが,どうもヴィゴツキー系というか,言語発達系というか,そっちのほうが苦手でありまして,食わず嫌いというか,なんとなく「塊」として,うすらぼんやりと理解しているような気持ちにはなっているのですが,なんか全体像としては,明確にこれというのが(自分の中で)なかったのですが,こうやってまとめられると,好みは別として,うんなるほどという感じです。

ちなみに,説明に「人は文化の一員として生まれ、文化のなかで成長する、したがってその発達の仕方は文化によって大いに異なる――この当然の事実は、本書以前には明確に論じられてきませんでした。」とあるのですが,そうかい? 生物学ならいざ知らず,心理学において,natureとnurtureで言えば,教育的側面からも宗教的側面からも,nurtureのほうが強かったように思うのですが,日本だけなのかな?



心の発生と進化―チンパンジー、赤ちゃん、ヒト心の発生と進化―チンパンジー、赤ちゃん、ヒト
デイヴィッド プレマック アン プレマック David Premack

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人間とチンパンジーを同列に並べるな,というのは,はっきり口に出す人はそれほどいないですけど,やっぱりすんごく根強いですね。万物の霊長たるヒト様は,他の動物とは違うと。

でもさ,「万物の霊長」って,ヒト様が自分で言ってるだけですよね。自称ですよ。犬や猫が,「ヒト様は万物の霊長だワン(ニャン)」ってリスペクトしてくれてるわけでもありませんしね。閑話休題。

本書,最新知見とまではいかなくとも,非常によくまとまっており,発達方面に興味のある方で,進化心理学にあまり親しみのない人にとっては,大変お薦めです!


ま,そもそもこのシリーズを始めたのは,「発達」ちゅう言葉が,かなり広範な射程を持っているためでありまして,一体全体どぅ~なってるの? と思っていたからでありますが,


発達心理学の新しいかたち発達心理学の新しいかたち
遠藤 利彦

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これね。とにかく「生物・心理・社会」的視点としての「発達」を描き出そうという試みです。もうひと息か?と思うよりも,その心意気や良し,今後の展開が楽しみな一品です。こういう作業,直接的に研究を推し進めるものではありませんが,学問自体の発展には欠かせないものと思います。



社会不安障害とシャイネス―発達心理学と神経科学的アプローチ社会不安障害とシャイネス―発達心理学と神経科学的アプローチ
ルイス・A. シュミット ジェイ シュルキン Louis A. Schmidt

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最後に臨床的なやつをということでこれ。いやあこれ,すごいですね。こういう本で,きちんとした本,ほとんどないわけですが,是非ともおさえておきましょう。単に知識を入れるというのじゃなくて,発想そのものを理解しておく,これ重要なりけり,であります。


あとは雑談的に。

上記「ウィリアム・ジェイムズ賞」でありますが,これ皆さんご存じのウィリアム・ジェイムズさんの御名を冠たる賞なわけですが,哲学者としても著名ですが,歴史的には,心理学草創期の,ヴントの次あたり(機能主義?)に位置してたような気がします(うる覚え)。当然著作もありますですね。


ウイリアム・ジェイムズ著作集〈第1〉心理学について (1960年)ウイリアム・ジェイムズ著作集〈第1〉心理学について (1960年)

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ま,読んだことないけどさ。


ちなみに弟は,作家のヘンリー・ジェイムズですな。


ねじの回転ねじの回転
ヘンリー・ジェイムズ

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これ,良いやな。『シャイニング』みたい。装丁は,なんとなく「つげ義春」を連想させようとしている? つうのは邪推かな?


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