今、仙台に向かう新幹線の中です。
明日まで「日本精神保健福祉士協会基幹研修Ⅰin宮城」にお邪魔します。
はやて・はやぶさに乗れなくて、やまびこでのんびり各駅停車の旅になりました。
一昨日からあまり寝てないので、眠ってしまおうかとも思ったのですが。
この際、更新がなかなかできていないブログに充てることにしました。
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昨夜は、社会福祉専門職団体協議会の国際委員会がありました。
「社専協」って言っても、あまり馴染みがないですよね?
日本のソーシャルワーク4組織で構成する、専門職能団体の連絡協議会です。
国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)の日本国代表団体になっています。
国際組織のことなど、現場にいるワーカーにとっては、まるで雲の上の話ですが。
結構、今、とても大きなことが進行しています。
「ソーシャルワークの国際定義」が見直されようとしています。
一番大きな影響を受けるのは、専門職の養成教育をする学校側でしょうか?
これまで学生に伝えてきたことが、ガラッと変わることになります。
福祉現場の実践家にとっても、少なからず影響はあるでしょう。
自分たちワーカーの定義が、変わってくるのですから。
やはり、言葉は人々の意識を変え、新しい枠組みの社会を構成しますから。
現行の「ソーシャルワーク国際定義」は、よく目にする次のものです。
「ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく。
ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。
人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。」
これが、ガラッと変わることになります。
現在、提案されている定義案は、下記の三つです。
「人と環境の接点に介入する」という有名な言葉はなくなるでしょう。
ソーシャルアクション、ソーシャルチェンジが前面に出てきていることが特徴です。
背景には、もちろん国ごとの文化や政治状況があります。
当たり前のように欧米を中心としてきた、グローバル化への反発もあります。
西洋の概念が、どこの国でも共有されるはずもなく、ローカルな定義も必要です。
ソーシャルワークの定義のはずなのに、ワーカーの定義になってしまっていることや、
定義を学習することが優先され、思考停止に陥りがちな問題もあります。
詳しくは、日本精神保健福祉士協会のホームページをご覧ください。
片岡信之さんが訳してくれたものや、大塚淳子さんがまとめた経過の要約も載っています。
国内4協会それぞれが、本年末まで会員からの意見を求めることになっています。
それを年明けから「社専協」で集約し、討議検討していく予定です。
日本国のソーシャルワーカーとしての意見表明をしていかねばなりません。
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あ…、雪です。
もうすぐ、仙台。
宮城の皆さん、よろしくお願い致します。
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<現定義>
国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)のソーシャルワークの定義 (2000.7.27)
ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく。ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。
定義 第1案(IFSW事務局とNicolai Paulsen作成)
ソーシャルワークは、能力開発・人権・責任ある市民性に基づいた社会的に公正でインクルーシブなシステム、および個人・家族・集団・共同体などにとって公平な社会を促進するものである。ソーシャルワークの知識によって、実践家は、人々や共同体と協働し、その持続可能な相互依存をサポートすることができる。ソーシャルワーク専門職は、十分な資源と知識をもって相互依存する人々や共同体は自らの福利について最善の決定をすることを理解している。
定義 第2案(ラテンアメリカ地域作成)
ソーシャルワークは、その専門職的活動が置かれた様々な社会・歴史的状況において、社会的諸主体間およびその国家との関係の領域にある専門職である。
それは、社会変革という見地から、生活の物質的・社会的再生産に関わる社会的実践と社会・教育的アクションを展開する。それは、人権と社会正義の達成をめざし、自律、参加、市民性の擁護を強化することによって、民主主義に、そして社会的不平等との闘いに傾倒する。
定義 第3案(IASSWのVishanthie Sewpaul氏作成)
ソーシャルワーク専門職は、文脈依存的である(置かれた状況によって形が変わる)ものの、社会の安定、調和、結束、および人々のエンパワメントと解放を促進するとともに、社会の変革を促すものである。社会正義、人権と人々の権利、集団的責任、参加、持続可能な発展、相互依存、および多様性の尊重(そこでは「害をなさないこと」と人間の尊厳の尊重が重要となる)が、ソーシャルワークの中心的原則である。広範な社会科学の理論、実践、一連の社会・心理・教育的戦略、および土着の知識を利用して、ソーシャルワークは、人々や組織が生活上の諸問題に取り組み、福利を増進するように働きかける。
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「ソーシャルワークの世界定義」改訂作業の進捗状況に係る情報提供とお願い
2012年7月にスウェーデン・ストックホルムにおいて開催された2012年国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)総会におきまして、ソーシャルワークの世界定義(世界定義)に関する改訂3案と解説に係る資料が提示されました。
社会福祉専門職団体協議会(社専協)では、国際委員会が当該資料を翻訳し、代表者会議にて確認いたしましたので、構成員の皆さまに情報提供させていただきます。
なお、IFSWアジア太平洋地域のジョン・アン会長が作成した世界定義案も掲載しています。
今後の改訂作業において、現在の3案とは異なる世界定義案が提示される可能性もあります。
しかしながら、この間の進捗状況とその過程で浮かびあがった課題や国際的情勢を視野に入れて、日本あるいはアジア太平洋地域におけるソーシャルワークの課題や現状に引きつけ、最終的な改訂案が提示される時に向けて、現時点で提示されている世界定義案を多くの構成員にお読みいただき、ご意見等がございましたら、本協会事務局までお寄せください。
お寄せいただいたご意見等は社専協としてIFSWに意見提案する際の参考資料とさせていただきます。
【以上、日本精神保健福祉士協会のホームページより】
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