来年3月度の企業業績傾向が見え始めたので、色々な評論が出始めた。
内部留保についても、、財務省が1日発表した2016年度の法人企業統計によると大企業(資本金10億円以上)の内部留保が下図のように406兆2348億円。
上場企業の今年度上期(4~9月)決算では軒並み最高益を更新する企業が続出し、その多くは2018年3月期決算では前期比21%増の20兆9005億円だが一般労働者の賃金はアベノミクスが始まった2014年は前年比1.3%増の29万9600円、15年は1.5%増の30万4000円と微増傾向であった。しかし、16年は30万4000円と前年と同じ賃金にとどまった。
一方、国税庁調査の2016年における給与所得者の平均給与(年収)は約422万円と前年比0.3%増。15年の1.3%増を下回っている。うち正規労働者は前年比0.4%増の約487万円。非正規労働者は0.9%増の伸び率は大きいが、正規の半分以下の約172万円にすぎない。
17年3月期決算では上場企業の純利益が前の期に比べて21%増の20兆9005億円に達した。だが、2017年春闘の賃上げ平均額は定期昇給込みの5712円。賃上げ率は前年よりも低い1.98%と低迷している。
企業の儲けはどこに消えているのか。ひとつは上に示した企業利益の蓄積である「内部留保」、もうひとつは株主配当などの「株主等への分配」である。
株主等分配率は2004年以降上昇し続けている。2016年の株主への配当金の総額は20兆円を超え、純利益に占める割合は40%を超えている。つまり、給与を抑えて内部留保と株主への分配に回しているという構図である。
給与を上げるには内部留保を取り崩して給与に回すか、株主への分配率を引き下げるしかない。政府もため込んだ内部留保を賃金に回すように要請しているが、経済界の抵抗が強い。経営に対する株主の力が強くなり、株主への利益還元への圧力も年々高まっている。
しかし、日本企業の株主分配比率はドイツやアメリカに比べても低い。しかも日本の企業の経営者は株主に良い顔をして、地位を保全しようとするから、社員の給与は二の次になってしまう。