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世界のビジネス界はここ数年、評判の急降下に見舞われており、企業に対する信頼感は、2000年代後半のグレートリセッション(大不況)以来最も大きく低下している。この"信頼の危機"は、世界の大手企業とそのトップに立つリーダーたちの一部を揺るがしたのみならず、各国にも影響を与えている。

「企業や国家に対し、世界中で見られる課題を解決してほしいという人々の期待は、ますます高まっており、その期待は裏切られている」。米コンサルティング会社レピュテーション・インスティテュート(RI)のエグゼクティブ・パートナー、ニコラス・ジョージズ・トラッドは言う。

国や企業の評判に関する調査やマネジメントのサービスを提供する同社は、2008年から、国の評判に関する年次調査『Country RepTrak』を実施し、その結果を発表している。2018年版では、対象となる国々の評判が平均1ポイント下落した。

「過去1年半~2年の間、世界では多くの混乱が見られた」と、同社のスティーブン・ハーングリフィス最高研究責任者(CRO)は指摘する。「これは、地政学的緊張、ナショナリズム、根底にある社会不安が交錯する世界において、不安感の持続につながっている」

同社は各国の評判を数値化するため、今年3月〜4月にカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、英国、米国の主要8カ国5万8000人を対象に調査を実施した。ランキングの対象となったのは、国民総生産(GDP)が高く、主要8カ国での認知度が51%以上だった55カ国だ。

経済の安定性は常に国の評判を左右してきたが、経済大国でトップ10に入ったのはカナダと日本の2カ国のみだった。カナダは前年の1位から7位に落ち、日本は昨年から4位上昇し8位に入った。

また、国の大きさも評判とは関係ないようだ。トップ10には人口で最上位層にいる国はひとつも入らず、国土の広い国はオーストラリア(6位)とカナダ(7位)の2カ国のみだった。

国の評判を上げる主な要因は、美しい景観、フレンドリーな国民性、倫理的な政策などだった。「新たに見られる重要なトレンドは、利他的な幸福だ」とハーングリフィスは言う。「人々の幸福の追求を許している国々が、ランキングの上位へと浮上している」

この代表例が北欧のスウェーデンで、前年の3位から1位に躍り出た。同国はランキング上位の常連であり、2016年には初めてトップに立っている。スウェーデンの評判が高い理由のひとつは、同国が数十年に渡り続けてきた持続可能性向上の取り組みに寄与できる。

スウェーデンは1967年、世界に先駆けて環境保護庁を創設。同国では以来、環境への配慮が優先されており、その成果も表れているようだ。同国では全廃棄物の99%がリサイクルされ、エネルギー生産の52%が再生可能資源でまかなわれている。スウェーデンによる温室効果ガスの排出量が世界全体に占める割合は0.2%以下だ。

スウェーデンはまた、ホスピタリティーの国としても知られている。人口1000万人の同国は、移民を受け入れてきた長い歴史を持つ。最近では、16万3000人のシリア難民を受け入れた。これは、国民1人当たりの受け入れ数でみると欧州で最多となる。
 
2018年「評判の良い国ランキング」

1位 スウェーデン
2位 フィンランド
3位 スイス
4位 ノルウェー
5位 ニュージーランド
6位 オーストラリア
7位 カナダ
8位 日本
9位 デンマーク
10位 オランダ
11位 アイルランド
12位 オーストリア
13位 イタリア
14位 スペイン
15位 ベルギー
16位 英国
17位 ポルトガル
18位 フランス
19位 ドイツ
20位 シンガポール
21位 チェコ
22位 ギリシャ
23位 タイ
24位 台湾