藻類バイオナスエネルギーとは、藻類に含まれるオイルを抽出し、液体燃料化するもの。
太陽光発電、風力発電、水素エネルギー、穀物バイオマスエネルギーに比べ、優位性があるという。たとえば、耕地面積あたりのオイル生産能力で言えば、トウモロコシのような穀物エネルギーに比べ、藻には約700倍もの生産能力があるとされる。しかも、既存のガソリンスタンドをほぼそのまま使うこともできる。そんなポテンシャルある素材が注目を浴びぬはずもなく、この10年、世界各国で藻類バイオマスエネルギーの研究は急速に進んでいる。
日本で1980年代から藻類バイオマスの環境研究および藻類バイオ資源利用の研究をリードしてきたのは、筑波大学藻類バイオマス・エネルギ-研究所の渡邉教授は。大きく動き出すのは、2007年に入ってから。ニュージーランドのキスティという学者が、トウモロコシや大豆、綿花などの作物に比べて、微細藻類のオイル生産能力は数十倍から数百倍も高いということを発表しました。また、イギリスの総合学術誌『ネイチャー』に『藻類再び花開く』というタイトルで、『藻は将来のエネルギー資源として高い潜在能力をもつ重要な生物である』という記事が掲載されました。これをきっかけとして欧米で再び藻類の研究が盛んになり始めました」
マツダ「CX5」の実験でも成功。2011年には、マツダと協力して、抽出した藻類炭化水素を使った自動車の走行実験を行う。
藻の大量培養生産のためには広大な土地が必要だが、渡邉教授は、それには耕作放棄地をあてればいいと考えている。実際、福島では、耕作放棄地に培養地をつくった。1万ヘクタールから30万トンのオイルを生産するという試算に基づけば、40万ヘクタールあるとされる日本の耕作放棄地からは、1200万トンのオイルが生産できる計算になる。現在約2.5億トンの原油が輸入されていることを考えれば、5パーセントにすぎないが、この数字を将来さらに伸ばしていくことは可能だ。
藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター」内のパネル
ただし、大きな課題があって、成分は炭化水素なので、燃焼後、CO2が大量に発生する。ガソリン車をEV車に取って変えようとしているのはこの問題。