先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

中国EVは.世界で最も売れる?

2023年05月30日 13時34分21秒 | 日記

 WallStreet Journalが、2023 年 5 月 26 日 号で、中国は今年1-3月期、日本を抜いて世界最大の自動車輸出国となったと述べている。その一因は欧米の対ロ規制による、中国からのロシアへの輸出の急増にあるが、中国のEVエコシステムの強みも重要な要因となっている。公式統計によると、中国の1-3月期の自動車輸出台数は前年同期比58%増の107万台となった。一方、日本自動車工業会(自工会)によると、日本の1-3月期輸出台数は95万台だった。

 中国の急増の大部分はロシア向けが占めている。ロシアは制裁で西側諸国から多くの輸入品を断たれ、その穴を他国からの輸入品で埋めることを余儀なくされた。中でも影響が大きかったのが、ガソリン車だ。中国の公式統計によると、ロシア向けの自動車・自動車部品の輸出額は1~4月に61億ドル(約8500億円)と、前年同期の3倍余りに達した。中国自動車工業協会(CAAM)によると、1-3月期の自動車輸出先トップはロシアだった。中国のEVエコシステムの強みも重要な要因となっていると述べている。

また、先週Wedge-Onlineと日経クロステックが、中国のEV各社は、エネルギー効率の高いハイブリッドエンジン(HEV)開発にも力を入れていると報じている。HEVは、30年前にトヨタが発明したものだが、そのトヨタのHEVよりさ宇ぐれているのだろうか? しかしそこには触れていなかった。ともかく、中国EV各社はHEV開発に本腰を入れている。まず、WEdge Online誌で高口さんという方が、 販売台数が半減 岐路にある〝世界一〟EV市場中国の実情という記事を書いている。詳細はそちらを見ていただくとして、以下のシェアー推移は参考になる。

また、日経クロステック5月22号で古野さんという方が、EV大国に異変、中国BYD・GeelyがPHEV専用エンジン開発に本腰という記事で、以下の指摘をしている。要は、通常のEV(最近バッテリーEV、BEVと呼ぶことがある)は、充電時間がかかりすぎ、自宅・自社で充電するには、装置代が高すぎるし、価格も同じ大きさのガソリン車に比べると倍はして、車両価格が高い。HEVなら、電池容量が、精々10KWhと10分の一で済み車両価格もガソリン車の2割りま増しで済み、燃費もガソリン車の倍近く良く、HEVはBEV市場を下支えしているということであろう。

さて、その記事の要旨は以下の通り。

浙江吉利控股集団(Geely)や比亜迪(BYD)、長城汽車をはじめとする中国自動車メーカーは、電気自動車(BEV)だけではなくプラグインハイブリッド車(PHEV)の生産にも力を注いでいる。

 理由としては、中国全体で新エネルギー車(New Energy Vehicle、NEV)市場は加速度的に拡大しているものの、その中のBEVだけでは利益を出しにくく経営を圧迫しているからのようだ。特に、レアメタルなど資材の高騰や、過当競争で各社の車両販売台数が分散していることが大きい。

2022年11月29日、Geelyは、ハイブリッド車専用の高効率エンジンで画期的な進歩を得たと発表した。研究開発中の希薄燃焼(リーンバーン)ガソリンで最大正味熱効率46%を達成したという。リーン度合いを示す空気過剰率λの値を明らかにしていないが、超希薄燃焼領域で燃焼を安定させるのにアクティブ方式のプレチャンバー(予備燃焼室)点火システムを採用したものである。

 プレチャンバー点火とは、点火プラグギャップを囲うように多孔を有する小さな副室を構成し、点火により副室から主燃焼室(シリンダー内)へ複数の強力な火炎を噴出させ、主燃焼室のリーン混合気を安定して素早く燃焼を完了させるコンセプトである。また、アクティブとは、その小さな副室内に強制的に少量の燃料や濃い混合気を噴射して、副室内での点火で、より強力な火炎ジェットを形成する方式である。

 Geelyが開発したDHEはこれだけではない。2022年11月に発表したフラッグシップSUV(多目的スポーツ車)「星越L Hi・P」はPHEV仕様で、搭載するエンジン「DHE15」は、機械圧縮比13:1でミラーサイクルを採用していて、正味最大熱効率43.3%を実現した。将来は、前述のような先進燃焼コンセプトなども含めてさらに熱効率を向上していくという。


アメリカの大手ITのCEOはインド人!

2023年05月29日 23時20分31秒 | 日記

Alphabet(Googleの持株会社)のサンダー・ピチャイ(年収が300億円!!!)、マイクロソフトCEOのサトヤ・ナデラ、IBMのアルビンド・クリシュナ、そしてアドビのShantanu Narayen CEOと、アメリカの大手IT 企業で、続々インド人の米国大手IT企業のCEOが誕生している。

なぜ今になって、インド人 CEO が増えたのだろうか? まず、インドはそもそもがGlobe+誌が解説するようにディアスボラというインド人の海外居住者は2020年時点で3千万人にも達している。

しかもインド人のアメリカへの移民者は、他国へよりも多い。

また、移民の出身国は下記のように、欧州は少なく、インド人は多くはないが、中国人とインド人は教育レベルが高いと推測される。高学歴者で、またアメリカの著名大学卒業者も多く、アメリカでも高収入の職に就いている。

初期のころは医師とか一般の技術者であったが、IT産業の巨大化にともない、IT企業に就職し、IT企業で業績を上げ経営トップになったのだろう。では、中国人はアメリカのIT 企業のトップはあまり見かけない。中国人だけでなく韓国や日本人も優秀なアメリカ在住者がいるが、経営トップはあまり見かけない。東アジア人とインド人の違いは何だろうか?

東アジア人は、インド人ほど自己主張しないし、もしかしたら、英国の植民地だったからインドの人々は英語がペラペラだが、日中韓はそうはいかない。この2点がその理由だろう?


物つくり大国 日本 II

2023年05月22日 17時17分41秒 | 日記

日本は物つくり大国と感じたのは、最新のハイブリッド車を運転したとき。

最近のハイブリッド車体験

1997年に販売開始されたトヨタのハイブリッド車は、ガソリンエンジンで電気を起こし、蓄電。そしてモーターとガソリンエンジンで、駆動。ガソリン車に比べると燃費が50%良く、CO2排出が少なく、長年使えば、元が取れるが、ガソリン車に比べると3割くらい高いので、期待したほどは売れなかったとか。このハイブリッド・エンジンはまさしく、物つくり大国日本の象徴と思う。他にも驚いたのは、自動化が進んでいること、モーターは4,5百ボルトの高電圧で、三相交流で駆動とか、ハイブリッド車は物つくり“オンパレード”であった。

  • ハイブリッド車に3種類。今となっては、EVに脚光を浴びて、過去の遺物になりつつあるが、メーカーは、地球温暖化元凶のCO2排出が少なく、経済的であることや、日本独自の発明であることを訴求し、拡販に努めるべきだったのかと惜しまれる。

・ガソリンエンジンで電池充電し、モーターとガソリンエンジンで協調駆動

・ガソリンエンジンは飽くまで発電用で、駆動はモーターのみ

・基本はモーター駆動だが、トルクや速度が必要な時、ガソリンエンジンと協調駆動。

  • 4百ボルトの高電圧でモーター駆動

ガソリン車は、12ボルトのバッテリーでエンジンを着火したり、エアコンを回すのに、ハイブリッド車ひいてはEV車は、4百ボルト駆動という。一部のハイブリッド車は2百ボルト駆動。高級EV車は8百ボルトという。そのほか、気が付いたこと。

・モーターで、ガソリンエンジンと同じトルクを出すには、高電圧にするしかないとか。

・直流でなく、日本得意のパワー半導体のインバーターで、三相交流に変換して駆動

・充電可能2次電池は、高電圧ほど充電時間が短くなる。

・世界最大のLi電池企業の中国CATLは、中国のEV化対応には、Li電池だけでは、資源(LIやCo)が不足するので、枯渇心配のないナトリウムイオン電池を開発し、すでに一部車種に搭載しているとか。日本には、NaIBを研究・開発している企業は一社もない。

  • 夥しいマイコン制御( 〇 マイクロコントロールユニット  ✕ マイコンピュータ )

自動車にはマイクロコントローラがいっぱい組み込まれています。普通の車で30 個くらい、高級車になると80 個も積まれています。ネットに下記の図画出ていて一目瞭然。 そして、制御機器も、日本の得意な小型モーター、そして複雑多様な配線も、一括まとめるワイヤーハーネス、日本の物つくりがなせる業。

ついでながら、一時時期、半導体不足で、自動車生産が止まったというが、日本だけで数千万台の車があるから、車載半導体製造が、間に合わないからかと思ったら、車載半導体は単純で、生産は難しくないという。COVID19で、在宅勤務が増え、急に情報通信機器用の高額な半導体の需要が増え、簡単で価格の安い車載半導体にまで手が回らなかったためだと、半導体メーカーの知人が言っていた。

  • 車載半導体は低レベル

汎用半導体は、今や回路線幅が2nm時代だそうだが、車載半導体は20nmとか。しかも集積度が2桁違うとか。下記の図がLSIの構造。ただし、線幅が90nmの20年前のLSIの構造。

・iPhone14ProのLSIは160億個のトランジスタからなるが、車載用LSIは精々1億個。最近はLSⅠなる用語は使われず、VLSI/ULSI(Very/Ultra Large Scale Integration)とかSoC(Systen on a chip)といっているようだ。

・価格も前者は5~6万円だが、後者は5百円。

・というようなことでCOVID19の影響で、車載半導体は二の次にされた。その経験から自動車業界は一気呵成で5兆円調達して半導体会社アビダスを起こすという。半導体基盤は、高温と高電圧耐性が不可欠で、SiではなくSiC。しかし汎用半導体でも勝手の勢いはなくなっている。その教訓を生かして、自動車業界は、車載半導体で世界制覇狙いしているのだろう。

日本の半導体産業は勝手は背かい最大だったが、今や、新興国並み。

しかしながら、半導体作成に必要な、装置や技術は依然、世界一だし、日本製品がないと半導体生産ができないという。

・シリコンウエハー、半導体製造機械、微細パターン制作装置、シリコン基板洗浄装置などの半導体基礎技術は日本しか作れない、

・にもかかわらず、 日本では大規模半導体が作れないのは、数百億個の電子部品からなる電子回路を設計できるソフト(電子CAD)ができなかったことが最大の理由とか。 

・日本はインバーター/コンバーターなどの主としてSiC基板のパワー半導体には、歴史がある。

ゆえに、大規模回路設計ができる電子CADソフトを作れば、復活できるというのが日本の自動車工業界のよみか。

今後、自動運転や、MaaSやCASEの車作りの時代になれば、SiCベースのSoCが必要になる。そのために5兆円調達して、実現しようというのだろう。

  • しかしながら、ものつくりだけでは先がない?

日本は車作りでも秀でているが、依然、日本は大衆車、高級車は欧州と位置付けられている。欧州も日本も、ともに物つくりに優れているが、違いがあるように思える。欧州はビジョンつくりにも優れているという点である。

・前述のMaaSはフィンランドの都市研究者サンポ・ヒエタネンが2006年に発案したコンセプト。あらゆる公共交通機関やライドシェア、シェアサイクルといった運送サービスを、ICT(情報通信技術)を活用して予約や決済などをシームレスに結びつけ、マイカー以外の交通手段による移動を1つのサービスとして捉える概念。このような発想、中々、日本から出ない。

   

尚、XaaSなる用語は、X as a Serviceの略。SaaSはアメリカのSalesForce.comが1990年代終わりに顧客管理システムをWebサービスとして提供したのが始まり。以降、Platform as a Service(PaaS)、Infrastructure as a Service(IaaS)の概念が出された。

・CASE  CASEはもともと、2016年に開催されたパリのモーターショーで、ドイツの自動車メーカーであるダイムラー社が発表したコンセプトでした。CASEのCは(Connected:コネクテッド)してネット接続で車でいろいろなサービスを行い、AはAutonomousで自動運転を実現、SはShared & Serviceで車の所有から共有へ、そして、EはElectricで電動化で電気自動車(EV)の実現でCO2ゼロにより自然環境対応しようというもの。

MaaSもCASEも、自社や業界の戦略としてだけでなく、社会からの要請、社会への車社会提示を行うもので、欧州は物つくりが得意なだけでなく、ビジョンやコンセプトつくりなども得意なのかと感心させられる

 


物つくり大国 日本  I

2023年05月22日 16時47分22秒 | 日記

最近、日本は物つくりに長けた国と思ったことがいくつかあったのでまとめてみた。

  • 中国製ママチャリ修繕で思ったこと                               

5年間、乗って、あちこち傷んだ中国製ママチャリを、修理しました。2万円の簡素な自転車といえども、素人修理は無理ではないかという意見あったのですが、殆どの部品は通販サイトで入手できるし、修理方法も多くの日曜大工がSNSに投稿しているのであえて挑戦してみました。最初にびっくりしたのは、主要な部品はすべて日本製でした、しかもどの部品もひと工夫も、ふた工夫をしてありました。

 

  • 変速機:

ペダルの歯車と後輪の歯車の大きさの組み合わせで、トルクや速度を変えるのが変速機だが、これには驚かされました。複雑なのに、走行中でも簡単に正確に変速でき、雨や砂をかぶって錆だらけなのに、性能に経年変化が全くない。変速は、変速機に横棒がついていて、チェーンを指定の歯車まで誘導、歯車の大きさでチェーンの適切サイズが異なるが、これは最大長にしてあって、歯車の大きさで変速機の位置を変速機のばねで伸ばしたり縮めたりして自動調整。

  

  • ドラムブレーキ

従来は、車輪のフレームを、ペンチのような形の枠で、ゴムシューで締め付けるブレーキでしたが、雨や砂ですぐ効き目が落ちていた。新型は車軸に深皿のようなドラムを取り付け、その内部から、ゴムを押し付けて車輪を止める。ブレーキシューに砂や雨がかからないから、制動能力が高く、経年変化しないという優れもの。価格も1500円もしないから驚き。

  • 車軸内に発電機

従来は、ランプの点灯は車輪のタイアに発電機の軸を接触させるものでしたが、最近のは、発電機は、車軸に内蔵してあって、LED ランプを常時点灯。昼間の点灯は安全に多少役に立つかも位でしょうが、LED は最低4万時間持つので、1日4時間乗っても、1万日は耐えられるので気にする事は無いのでしょう。発電機も車軸内だから故障しない。其れよりも夜には、自動点灯しているから安心。

  • ワイアー取り付けに当たっての工夫

ネジとかワイアーなどにまで工夫がしてあって、作成が楽にできるようになっていました。

前述した部品は、通販で購入したものは日本製であったし、交換前の部品も日本製で、製造も面倒そうなものばかりで、重要な部品は依然として日本製が使われると判断しても良いと思う。手が込んでいない部品は、例えば、タイア、チューブ、サドルなどは通販サイト購入品も中国製であった。何億もの自国製自転車に乗っている中国の人は、基本部品は日本製でそれで堅牢、安全、高性能な中国製自転車となっていることは知る人は少ないだろう。日本においても然りである。日本人のもの作りに秀でた一例だろう。

自転車にめっぽう強いのは、本体でなく、部品のようだ。しかも特定の企業が、作っている部品、例えば、島野工業の変速機は、どこの国の自転車にも使われている。驚きの一言!