platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

God's Own Country

2006-03-08 | ビューティフル・ゲーム
 『ビューティフル・ゲーム』で、繰り返し歌われる"God's Own Country"(神の御国)。「私たちが住むのは神の御国/神が望まれたよりは汚れて貧しいけれど・・・」という歌詞は、432年聖パトリックによってこの国にキリスト教が伝わって以来、悲しい歴史を重ねても、信仰の絶えることのなかった長い歳月が感じられます。この時伝えられたのは櫻井翔さん演じるジョンの信仰するカトリックです。

そのカトリックの中心であるローマのサン・ピエトロ寺院、全てが最高の芸術で構成された一大建造物で、キリスト教信者であろうがなかろうが思わず膝まづかせるほどの壮麗さです。・・・一体どれだけの財と才能がつぎ込まれたのか、想像もつきません。
 才能はともかく、お金が自然に湧いてくるわけではないので、カトリック教会もたびたび資金繰りをしました。それが世界史の教科書でおなじみの「免罪符」の発行で、早い話が地獄の沙汰も金次第、この世での罪は教会にお金を納めることでチャラにしてあげましょう、というわけです。壷を買ったらどうにかなる、というのと似ているかもしれません。当時の人々の地獄への恐怖というのは大変なものでしたので、すぐに大金が集まったようです。
 
 プロテスタントは、こうしたカトリック教会の堕落を批判する形で生まれました。お金の力で魂が救われるなんてとんでもない、という出発点が示すとおり、プロテスタントの教会の造りは贅沢とは程遠い簡素なものです。

 『ビューティフルゲーム』でも、このふたつの宗派の対立を"God's Own Country”で、ストレートに歌っていて、ミュージカル初心者はかなり驚きました。「プロテスタントのマーチ」と副題がついているものには、「私たちが古の過ちを正さなければ"we must right an ancient wrong"」と、ルーツとなる純粋な気持ちを感じさせる部分もありますが、「荷物をまとめて神の御国から出て行け"Pack up and get out of God's Own Country"」という歌詞を聞くと、この作品の設定である1969年に起きていた、プロテスタント過激派の暴力によるカトリック住民の追い出し行為が思い出されます。『ビューティフル・ゲーム』同様、多くのティーンエイジャーが暴行に関わったといわれていますし、思わず耳をふさぎたくなるような歌詞ですね。(曲はいいんですけど・・・)

 『月刊ミュージカル』で『ビューティフルゲーム』日本版製作発表に寄せられたアンドリュー・ロイド・ウェバーとベン・エルトンのメッセージが紹介されていました。ロンドン公演が終わってわずか10日ほど後にニューヨークで9.11の悲劇が起きたことから、宗教的対立の愚かしさを伝える重要性を再確認されたそうです。この事件も実行犯は信心深い青年でした。
 『オペラ座の怪人』という宝石箱のような劇的空間の創り手が若い人たちに伝えたいことは、けっして「楽しい」ことばかりではないようです。でも『ウエストサイドストーリー』でたくさんの涙を流していた嵐ファンの方たちを思うと、ウェバーの願いは叶うような気がします。どんな形にせよ、こんな企画の通る日本っていいかもしれません。カオスの街、東京でどんな舞台が創りあげられているのでしょうか。 
 

『ビューティフルゲーム』照明:吉川ひろ子さん

2006-03-08 | ビューティフル・ゲーム
 ごまちゃんさんに頂いた情報で、吉川ひろ子さんのお名前を見つけて、喜んでしまいました。『ウエストサイドストーリー』『ボーイ フロム オズ』の照明も担当しておられたのですが、とくにWSSの体育館でのダンスパーティーの場面、「マンボ」終盤の照明は、青山さんの最高にかっこいいダンスが、パーティーの熱気をとじこめたような暗がりに浮かび上がって、動くモダンアートを観るようだったんですよね~。
 また『ボーイ フロム オズ』でも、「コンティネンタル・アメリカン」での闇の使い方が素敵でした。以前にも書いた、青山さんがラストでグランドピアノの蓋に横たわる曲なんですが、これもちょうどいいぐらいに暗くって、舞台にはないはずのものが色々と見えてくる感じなんです~。想像の余地のある光の当て方、ということなんでしょうか。音楽のノリを色彩と光と闇とで見せてくれる方なので楽しみです♪

現アイルランド大統領から子ども達へ

2006-03-06 | ビューティフル・ゲーム
 ざっと目を通すだけでもアイルランドの長い歴史に横たわる哀しみや重さは充分に感じられるのですが、現在のアイルランドは、下の記事のウォーターフロントの写真から垣間見られるように、モダンな建築物がつぎつぎと造られ、見違えるような経済的発展をとげています。現大統領は女性で、『ビューティフル・ゲーム』の舞台ベルファスト出身の元大学教授、メアリー・マッカリース氏です。北アイルランド出身としては初の大統領なのだそうです。
 昨年3月、日本を訪れ東京大学で講演を行っているのですが、そのときの質疑応答を読むと、歴史と未来とに正面から向き合う姿に心うたれます。
 
 世界中で深刻化している宗教間の対立の解決のために最も大切なことは?という質問に、「子ども達に早い時期から『違い』を尊重することを学ばせること」と答えるこの大統領は、実際の政策でも大学の授業料を無料にするなど、教育に非常に力をいれており、自身のサイトにも子供向けのページを設置しています。『ビューティフル・ゲーム』の"Finale"にも「憎むために生まれた子どもは一人もいない」という歌詞があり、大統領の言葉とつながっているような気がします。
 
 自分の属している文化と同じもの、似ているものだけを受け入れるのではなく、自分とは違う他者に敬意を抱きつつ、関心を持つことを子ども達に学ばせなくてはならない、という考えは、母親で教育者であった彼女ならではの強い信念のようです。・・・『おどろんぱ』で青山さんを知った小さな子どもを持つファンは、『ビューティフルゲーム』が、また今のアイルランドが待ち望む観客のようですね。
 
 2005年7年28日のIRA武装闘争放棄声明ののちも、プロテスタント側のIRA「解散」要求、またスパイ事件などにより、紛争完全終結とはいえない状態だということですが、高い経済成長によって政権の安定が続いている今、マッカリース氏の、政治家としてだけでなく「人の親、教育者としての願い」が少しでも現実のものとなりますよう。青山ファン、最強の協力者かもしれません。

アイルランド大統領 Web Site
 

「ごまちゃん」さんよりCAST & STAFF情報いただきました

2006-03-03 | ビューティフル・ゲーム
『ビューティフルゲーム』全アンサンブルキャストの名前を「教えてください」と私が泣きを入れて2時間足らずのうちにごまちゃんさんよりご投稿いただきました。本当に有難うございます~。いつものことですが、ご覧頂いている方のコメント、とても嬉しいです。以下は前記事に寄せてくださったコメントのコピーです。


名前だけならわかります。。。プロフィールなどは順次……
出演:
櫻井翔 安良城紅 山崎裕太 黒田勇樹 脇知弘 華原朋美 浜畑賢吉 
安倍康律 遠藤麻綸 青山航士 近藤大介 坂元宏旬 佐々木誠 下道純一 
野島直人 羽山隆次 原口勝 原田優一 宮川ギナ 横田裕市 横山敬 
浅野実奈子 五辻彩子 紀元由有 栗原由佳 谷合香子 樋口綾

作曲:アンドリュー・ロイド・ウェバー 
脚本・作詞:ベン・エルトン 
演出・振付:ジョーイ・マクニーリー

翻訳:黒田絵美子 訳詞:高橋知伽江 
音楽監督:清水恵介 演出補:寺秀臣 美術:土屋茂昭
衣裳:十川ヒロコ 照明:吉川ひろ子 ヘアメイク:田中エミ 
音響:実吉英一 振付助手:森本麻祐子
舞台監督:小林清隆  

こんな感じです。いかがでしょうか?

The Beautiful Game のアンサンブル

2006-03-03 | ビューティフル・ゲーム
 全キャストの名前のわかる公式発表がどうも見つけられないので(ご存知の方おられましたら教えてください)、たぶん半分ぐらいの方しか判明していませんが中間報告として・・・。レディファーストで女性から50音順、カッコ内はわかった範囲の出演作です。
 
浅野実奈子さん(『プロデューサーズ』、東宝ミュージカル多数)
紀元由有さん(『ボーイ フロム オズ』『ウェストサイドストーリー』、
        ETV「うたっておどろんぱ!」でもおなじみですね)
栗原由佳さん(『パウロ』『レ・ミゼラブルinコンサート』)
谷合香子さん(『ボーイ フロム オズ』)
樋口綾さん(『プロデューサーズ』『十二夜』)

青山航士さん(『グランドホテル』『テネシーワルツ』『ボーイ フロム オズ』『ウエストサイドストーリー』)
安倍康律さん(『ボーイ フロム オズ』)
坂元宏旬さん (『中川晃教 LIVE ACT himself』『熱海殺人事件』)
佐々木誠さん(『グランドホテル』『テネシーワルツ』『ボーイ フロム オズ』『ウエストサイドストーリー』)