『ビューティフル・ゲーム』で、繰り返し歌われる"God's Own Country"(神の御国)。「私たちが住むのは神の御国/神が望まれたよりは汚れて貧しいけれど・・・」という歌詞は、432年聖パトリックによってこの国にキリスト教が伝わって以来、悲しい歴史を重ねても、信仰の絶えることのなかった長い歳月が感じられます。この時伝えられたのは櫻井翔さん演じるジョンの信仰するカトリックです。
そのカトリックの中心であるローマのサン・ピエトロ寺院、全てが最高の芸術で構成された一大建造物で、キリスト教信者であろうがなかろうが思わず膝まづかせるほどの壮麗さです。・・・一体どれだけの財と才能がつぎ込まれたのか、想像もつきません。
才能はともかく、お金が自然に湧いてくるわけではないので、カトリック教会もたびたび資金繰りをしました。それが世界史の教科書でおなじみの「免罪符」の発行で、早い話が地獄の沙汰も金次第、この世での罪は教会にお金を納めることでチャラにしてあげましょう、というわけです。壷を買ったらどうにかなる、というのと似ているかもしれません。当時の人々の地獄への恐怖というのは大変なものでしたので、すぐに大金が集まったようです。
プロテスタントは、こうしたカトリック教会の堕落を批判する形で生まれました。お金の力で魂が救われるなんてとんでもない、という出発点が示すとおり、プロテスタントの教会の造りは贅沢とは程遠い簡素なものです。
『ビューティフルゲーム』でも、このふたつの宗派の対立を"God's Own Country”で、ストレートに歌っていて、ミュージカル初心者はかなり驚きました。「プロテスタントのマーチ」と副題がついているものには、「私たちが古の過ちを正さなければ"we must right an ancient wrong"」と、ルーツとなる純粋な気持ちを感じさせる部分もありますが、「荷物をまとめて神の御国から出て行け"Pack up and get out of God's Own Country"」という歌詞を聞くと、この作品の設定である1969年に起きていた、プロテスタント過激派の暴力によるカトリック住民の追い出し行為が思い出されます。『ビューティフル・ゲーム』同様、多くのティーンエイジャーが暴行に関わったといわれていますし、思わず耳をふさぎたくなるような歌詞ですね。(曲はいいんですけど・・・)
『月刊ミュージカル』で『ビューティフルゲーム』日本版製作発表に寄せられたアンドリュー・ロイド・ウェバーとベン・エルトンのメッセージが紹介されていました。ロンドン公演が終わってわずか10日ほど後にニューヨークで9.11の悲劇が起きたことから、宗教的対立の愚かしさを伝える重要性を再確認されたそうです。この事件も実行犯は信心深い青年でした。
『オペラ座の怪人』という宝石箱のような劇的空間の創り手が若い人たちに伝えたいことは、けっして「楽しい」ことばかりではないようです。でも『ウエストサイドストーリー』でたくさんの涙を流していた嵐ファンの方たちを思うと、ウェバーの願いは叶うような気がします。どんな形にせよ、こんな企画の通る日本っていいかもしれません。カオスの街、東京でどんな舞台が創りあげられているのでしょうか。
そのカトリックの中心であるローマのサン・ピエトロ寺院、全てが最高の芸術で構成された一大建造物で、キリスト教信者であろうがなかろうが思わず膝まづかせるほどの壮麗さです。・・・一体どれだけの財と才能がつぎ込まれたのか、想像もつきません。
才能はともかく、お金が自然に湧いてくるわけではないので、カトリック教会もたびたび資金繰りをしました。それが世界史の教科書でおなじみの「免罪符」の発行で、早い話が地獄の沙汰も金次第、この世での罪は教会にお金を納めることでチャラにしてあげましょう、というわけです。壷を買ったらどうにかなる、というのと似ているかもしれません。当時の人々の地獄への恐怖というのは大変なものでしたので、すぐに大金が集まったようです。
プロテスタントは、こうしたカトリック教会の堕落を批判する形で生まれました。お金の力で魂が救われるなんてとんでもない、という出発点が示すとおり、プロテスタントの教会の造りは贅沢とは程遠い簡素なものです。
『ビューティフルゲーム』でも、このふたつの宗派の対立を"God's Own Country”で、ストレートに歌っていて、ミュージカル初心者はかなり驚きました。「プロテスタントのマーチ」と副題がついているものには、「私たちが古の過ちを正さなければ"we must right an ancient wrong"」と、ルーツとなる純粋な気持ちを感じさせる部分もありますが、「荷物をまとめて神の御国から出て行け"Pack up and get out of God's Own Country"」という歌詞を聞くと、この作品の設定である1969年に起きていた、プロテスタント過激派の暴力によるカトリック住民の追い出し行為が思い出されます。『ビューティフル・ゲーム』同様、多くのティーンエイジャーが暴行に関わったといわれていますし、思わず耳をふさぎたくなるような歌詞ですね。(曲はいいんですけど・・・)
『月刊ミュージカル』で『ビューティフルゲーム』日本版製作発表に寄せられたアンドリュー・ロイド・ウェバーとベン・エルトンのメッセージが紹介されていました。ロンドン公演が終わってわずか10日ほど後にニューヨークで9.11の悲劇が起きたことから、宗教的対立の愚かしさを伝える重要性を再確認されたそうです。この事件も実行犯は信心深い青年でした。
『オペラ座の怪人』という宝石箱のような劇的空間の創り手が若い人たちに伝えたいことは、けっして「楽しい」ことばかりではないようです。でも『ウエストサイドストーリー』でたくさんの涙を流していた嵐ファンの方たちを思うと、ウェバーの願いは叶うような気がします。どんな形にせよ、こんな企画の通る日本っていいかもしれません。カオスの街、東京でどんな舞台が創りあげられているのでしょうか。