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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

『ビューティフルゲーム』と『ウエストサイドストーリー』は・・・

2006-03-11 | ビューティフル・ゲーム
 『ビューティフル・ゲーム』、青山さんが出て、演出・振付はマクニーリーさんで主演が櫻井翔さんで・・・と言うわけで当然思い出すのは『ウエストサイドストーリー』です。
 以前にも書きましたが、ユダヤ系アメリカ人であるジェローム・ロビンズはWSS発案当初、ユダヤ教徒とカトリック教徒の対立を背景にしていたそうです。12月23日付けの「メリークリスマスと言わないで」でも触れたように、金利を得ることをはじめとして、この二つの宗教は相容れないのですよね。
 でもこの時は、バーンスタインとローレンツが1920年代にすでに同じ設定のコメディがあるからと賛成しなかったそうです。そのコメディの題名は"Abie's Irish Rose"で、カトリック教徒はアイルランド系アメリカ人、というお話。ロビンズと、彼に直接指導をうけたマクニーリーさんは、この「対立」を超える師弟関係だったのですね~。マクニーリーさんがルーツであるアイルランドを舞台に、コメディではなくミュージカルで正面から宗教的対立を描くことになったのも、日本的に言うと「縁」なのかもしれません。
 
 アメリカは新しい国で、「伝統」や「継承」という言葉ではあまり語られていませんが、ヨーロッパのオペラハウスの歴史や、日本の伝統芸能の「家」による継承はなくとも、文化の違い、過去の傷跡を超えて「人」がテーマを受け継いでいく、その歴史を刻む1ページに立ち会えるようで嬉しいです。色々な人種を受け入れてきたアメリカには、それだけ人材を一から育てる力がある、ということなんでしょうか。アメリカでダンスを学んだ青山さんの創造のエネルギーも、かなり強烈ですものね。WSSがそうであるように、ミュージカルそれ自体の表現領域を広げるような作品を期待してます。