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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

青山航士は万人受けするのか玄人受けするのか

2006-04-24 | ビューティフル・ゲーム
 『ビューティフルゲーム』大阪公演真っ最中、さっさと更新するべきなんですが、あの「青の背番号11」を見た後では何を書いてももどかしいというか、あの素晴らしさを言葉で伝えられるわけない~、と浸っていたら、「水底のポール・ド・ブラ」にあゆあゆさんからコメントいただき、あゆあゆさんも漂っていたとのこと。そりゃ、あんなもの何回も見たら骨抜きにされますよね~。
 で、いつものごとくあゆあゆさんに触発されて書きますと(ホントに書けるかな~)、この「決勝戦」が色々な方から「面白い」と評されているのが、私はとても嬉しく、日本のダンスに新しい時代が来たんだな、とワクワクします。技術的にはバレエコンクールなどで披露される伝統的なものもたくさん使われているのですが、全体として見た時にはフィールドの興奮を写し取ったようで、エンターティンメントとして文句なしに楽しめます。ダンスやバレエファンでない人、とくに男性が見ても「面白い」といえる、バレエの技術を使ったダンスは本当にわずかしかありません。バレエファンとしては・・・あの大鷲が羽ばたき、急旋回するようなジュッテ・アントルラセは忘れられないです。
 NHK教育『うたっておどろんぱ! プラス』で現在放映されているシリーズ「三忍者」も、モダンバレエで使われているような技術が次々と披露されていますが、自然に、格好よく忍者の動きとして昇華されているので、いわゆる「バレエ」には拒否反応のあるお父さん達も楽しんでおられるのではないでしょうか。
 
 ・・・では青山航士は「素人受け」するダンサーなのか、というとそうではありません。ブロードウェイの演出家が『ウエストサイドストーリー』の難所を委ねることだけとっても充分かと思いますが、アカデミックな経歴がありありと読み取れる端正な動きには、口うるさいダンスファンでも眼を留めるでしょう。
 ヨーロッパやアメリカへ亡命したロシアのヌレエフ、バリシニコフら天才ダンサーは、新天地でバレエのファンを増やし、裾野自体を広げたといいます。もちろん青山さんは21世紀の日本に暮らすダンサーで、亡命などとは無縁ですが、日本にとっては全くの異文化であるはずのダンスをこれほど鮮明に、アイドルのファンにも「面白く」見せ、母子ばかりか父親/男性の視線も引き寄せる、それはやはり新時代を作っている、ということだと思います。

 青山さんの舞台に接するたび感じる、一回一回に傾けられる集中力・気迫と、観客の視線を読みきったようなクールな緻密さ-。一部の人以外には「愛されている」とは思えないバレエをここまで切り開いてみせるセンスは青山さんにしかないものだと思います。万人/素人だ、玄人だと「分ける」のではなくて、すべてを取り込まんばかりの表現者としての逞しさ、この人の「今」を見る機会を積み重ねていく観客は幸運ですよね。千穐楽、楽しみです


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2 コメント

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「誰が見ても完璧だ。最高の出来だ。」 (あゆあゆ)
2006-04-26 10:49:50
確かこんな感じの歌詞が、おそらく「決勝戦」のシーンで、スローモーション的な動きに合わせて歌われるところがありましたよね。「青色の11番」の方が舞台上で踊っている間は、他の歌詞はほとんど耳に入ってこない状態で(いいえ、そのときははっきりと聞こえていたと思うのですが)、未だに「決勝戦」のシーンに関しては、このフレーズしか頭のなかに残っていないのです(オドネル神父やバーナデットの印象的な台詞は覚えています・・・)。何度観たかは敢えて申しませんが、「今日こそは、歌詞を聞くぞ!」と意気込んでいっても、結局毎回無理でした。そんな状況のなかでも、何故かこのフレーズだけは、眼の前で繰り広げられる光景と言葉がぴったりと合致するような感じで、くっきりと聞こえてきたのを覚えています。とにかくあのシーンに関しては、「青色の11番」の選手が素晴らしくて、心のなかから「言葉が消える」ような感じ、とでも言ったらよいでしょうか。



このフレーズ、「誰が見ても完璧だ。最高の出来だ。」の部分に相当する、サントラCD盤収録のThe Finalの歌詞には、興味深い言葉が使われています。例えば、potion「毒薬・霊薬などの水薬、その一服」という言葉、これはpoison「毒」と同語源だとか。love potionとなると、「ほれ薬」という意味になるそうです。そして、pure testosterone、これは「テストステロン」という精神に作用するホルモンの一種だそうで、「人と闘って勝ち抜こうという意志を強く芽生えさせる」ものだとか。ときには「分別」というものをなくさせるものだそうです。なんだか、舞台上で繰り広げられるあの素晴らしさ、そしてそれに接してしまったがゆえに観客のなかに起こる状況に、ぴったりの言葉・・・、なんて独りで納得しています。



今日はとうとう『ビューティフル・ゲーム』千穐楽ですね。最高の舞台となりますように、東京より大阪に向けて熱きエールをお送りしております。へーまさん、どうぞ心ゆくまで楽しんでいらしてください!!!





申し訳ないです。上の意味不明な投稿は私、あゆあゆによるものです。ノートパソコンでマウスを接続しないで操作していたら、いきなり不完全なまま投稿完了になっていました。ごめんなさい~。へーまさん、お手すきのときにでも、削除してくださいませ。
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誰が見ても・・・ (platea/へーま)
2006-04-26 23:59:58
「お手すき」でアタマは飽和状態のときに削除いたしましたよ~。

千穐楽の「青の11番」しっかりと見てきました・・・といいたいところなんですが、私も「決勝戦」は見ているうちに一種のトランス状態に入ってしまうというか、夢うつつでした。

例えば青山さんがこのシーンで何回跳躍するのか、途中までは数えられるんですけどね~、どんなに冷静を保とうとしても、どこからかは「か!っ!こ!い!い!~!」と思考停止。今日やっと17回「以上」だというのはわかりました。凄い数字ですが、眼にうつるものはそれ以上に素晴らしかったですよね~

歌詞にいたっては、正直言って脳の片隅でちょっと引っかかってる程度。ベン・エルトンにも訳された方にもとっても申し訳ないと思いながらも、全身「眼」になってしまうような、「誰が見ても」これこそがBeautiful Game、ウェバーもベン・エルトンも納得でしょう(断言)。

ちょっと深呼吸して、記事のほうに千穐楽の客席の模様など書いてみます。なんて素敵な青の11番なんでしょう凄い乱文。タイプミスも激しいです。

でも幸せ
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