『TOMMY』東京千秋楽、おめでとうございます。
誰もが何かを言いたくなるこの作品、私も山ほど書くことはありますが、やはり青山航士ファンとしてはこの「押し付けがましい男/Eyesight to the Blind(The Hawker)」について書かずに前に進むことは出来ません。”Tommy”という作品の中で、唯一The Whoのオリジナルでないこの曲が、ゲーム半ばのジョーカーのように使われているのがよく分りました。
アルバムや映画版と違って、「アシッド・クイーン」の紹介としてこの曲が歌われるという曲順は、ピート・タウンゼントの最初のアイディアに基づくものです。アシッド・クイーンはいわずと知れた(?)ドラッグ中毒の娼婦、そして「俺の女」である彼女を売って歩くポン引き(The Hawker)が青山さんの役ですが、歌舞伎で言う「色悪(いろあく)=ワルの美男」の魅力が一杯でした。社会の底辺に落ちて暮らしている女と、夜の街にうごめいて彼女の生き血を吸って生きているバンパイアのような男、というストーリーは、やはり男性がこれくらい毒々しい魅力を持っていないと説得力がでません。中川晃教さんの無垢で透明感のある歌声と対照的な、心を突き刺すような、すべてをあざけ笑うような歌声も、R&Bナンバーらしい屈折した感じに良くあい、作品に奥行きのでる場面になったと思います。
これまで『ウエストサイドストーリー』や『森羅』などで、すさまじいほどの純粋さを踊りあげた青山さんが、その対極といっていい「人でなし」のようなキャラクターをこんなにも艶やかな仇花として表現するとは、その声を聞くまで想像できませんでした。何年たっても驚かせてもらってファン冥利に尽きます。
私のこんな感覚でいうと、アシッド・クイーン役のソムン・タクさんは、きっととても性格のいい方なんだと思うのですが、どこか健全なパワーを感じさせる方で、まだ「Hawkerに騙され始め」「ドラッグに溺れ始め」のアシッド・クイーンというところでしょうか。これから骨がボロボロになるまでHawkerに食い物にされる、そんな凄惨な未来が透けて見えるような演出もありじゃないかと思いますが、皆さんはどう思われたでしょうか。Hawkerは直訳すると鷹使いですが、「あの男に見込まれたらおしまい」とでもいうか、見透かすような目と、逃がしてはもらえない爪を感じさせる、街に巣食う鷹そのもののようなHawkerでした。
誰もが何かを言いたくなるこの作品、私も山ほど書くことはありますが、やはり青山航士ファンとしてはこの「押し付けがましい男/Eyesight to the Blind(The Hawker)」について書かずに前に進むことは出来ません。”Tommy”という作品の中で、唯一The Whoのオリジナルでないこの曲が、ゲーム半ばのジョーカーのように使われているのがよく分りました。
アルバムや映画版と違って、「アシッド・クイーン」の紹介としてこの曲が歌われるという曲順は、ピート・タウンゼントの最初のアイディアに基づくものです。アシッド・クイーンはいわずと知れた(?)ドラッグ中毒の娼婦、そして「俺の女」である彼女を売って歩くポン引き(The Hawker)が青山さんの役ですが、歌舞伎で言う「色悪(いろあく)=ワルの美男」の魅力が一杯でした。社会の底辺に落ちて暮らしている女と、夜の街にうごめいて彼女の生き血を吸って生きているバンパイアのような男、というストーリーは、やはり男性がこれくらい毒々しい魅力を持っていないと説得力がでません。中川晃教さんの無垢で透明感のある歌声と対照的な、心を突き刺すような、すべてをあざけ笑うような歌声も、R&Bナンバーらしい屈折した感じに良くあい、作品に奥行きのでる場面になったと思います。
これまで『ウエストサイドストーリー』や『森羅』などで、すさまじいほどの純粋さを踊りあげた青山さんが、その対極といっていい「人でなし」のようなキャラクターをこんなにも艶やかな仇花として表現するとは、その声を聞くまで想像できませんでした。何年たっても驚かせてもらってファン冥利に尽きます。
私のこんな感覚でいうと、アシッド・クイーン役のソムン・タクさんは、きっととても性格のいい方なんだと思うのですが、どこか健全なパワーを感じさせる方で、まだ「Hawkerに騙され始め」「ドラッグに溺れ始め」のアシッド・クイーンというところでしょうか。これから骨がボロボロになるまでHawkerに食い物にされる、そんな凄惨な未来が透けて見えるような演出もありじゃないかと思いますが、皆さんはどう思われたでしょうか。Hawkerは直訳すると鷹使いですが、「あの男に見込まれたらおしまい」とでもいうか、見透かすような目と、逃がしてはもらえない爪を感じさせる、街に巣食う鷹そのもののようなHawkerでした。
舞台を見終わった後、The Hawkerはその場にいる女性達をどんどん斡旋してるので全員のヒモor元ヒモ(か元締め)をやってるのだろう、色男だし説得力があるなぁ、AcidQueenが現在の彼の一番の上玉で(魔法も使えるし?)多分デュエット相手のジプシーNo.2は彼女が現れる前はNo.1だったんだろうなぁ等と考えながら帰宅しました。
なんかこう、青山さんが演じるとどんな小さなキャラクターでもしっかり生きて感じられるので背景についてどんどん想像が広がるのが魅力だと思っています。
この場面を観て、私もポン引きと娼婦の関係を綴ったフランス映画を見たことを思い出しました。最初は普通の女の子だった主人公が、恋をした相手がポン引き、男性はもちろん計算づくです。かなり前のことなので、細かいところは忘れてしまいましたが、娼婦に仕立て上げてからも、その男性が優しくするときは優しくするんです(悪い男でしょ~)。で彼女も離れることもなく・・・という関係だったのですが、あのHawkerを観ていると、アシッド・クイーンが彼に「行き着いた」ある種の到達感が伝わってくるぐらい「色男」なんですよね~。騙されて食い物にされていることなんかわかっている、でもあたしはもうこれでいいんだ、という恍惚さえ感じてしまいます。ううむ、本当に絵になる、現実なのに魔界のようなシーンでした。素晴らしいです。