platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

B.B.Kingの「押し付けがましい男」

2007-04-17 | TOMMY
 『TOMMY』大阪公演まもなく開幕、ということで頭の中では"Eyesight to the Blind"がエンドレス再生中です。あのイントロが劇場に響く瞬間が忘れられません~~。
 ところでこの曲、B.B.Kingが"Live in Japan(1971年3月6日収録)"でも歌っていました。知る人ぞ知る名曲という感じですね。アマゾンの試聴ページはこちらです。歌詞はSonny Boy Williamsonのオリジナル版(51年)のようです。
 ピート・タウンゼントが最初に耳を留めたのは、59年のMose Allisonによるカバー・バージョンなのですが、それぞれ歌詞が変更されているのが「彼女」と「父親」の関係です。

<Sonny Boy Williamson版>
"Her daddy must have been a millionaire/I can tell by the way she walks"
(父親は億万長者だったに違いない/彼女の歩き方を見りゃわかる)
<Mose Allison版> 
"Her daddy's got some money/....."
(父親はちょっとした金を手に入れて)
<The Who版>
"Her dadday gave her magic/....."
(父親は彼女に魔法を仕込んだ)

 億万長者から怪しげな妖術使い?へと父親像がかなり変わっていますね。曲想もB.B.Kingのゴキゲンな感じとは違って、The Who版は少しまがまがしい位に劇的です。アシッド・クイーンの紹介として歌われるというミュージカルでの曲順はアルバム制作当初のピート・タウンゼントのアイディアで、舞台版のこのシーンは、アルバムやライブ、映画版より"Tommy"のもともとのストーリーに近いと言えそうです。
 一概には言えませんが、ジプシーと呼ばれる人々の一部は、まっとうな仕事とはいえないことを親から子へと継いで暮らしているようです。父親に得体の知れない「魔法」を与えられ、居所を定めずに旅から旅へと生きてきたであろうジプシー、アシッド・クイーンが行き着いたのがあのThe Hawkerのいる街、ということです。彼女はもう旅をすることも、あの街を出て行くこともないでしょう。人生の奈落のようなその空間が、見えない罠のように強烈な磁場をはるサウンドと青山航士さんのドラマティックな歌声で、また劇場に拡がりますね。文字通り「劇的」な場を皆さんどうぞ堪能してください(ああ羨ましい・・・)。


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