platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

All Shook Up/大千穐楽おめでとうございます

2007-12-30 | ALL SHOOK UP
 大盛況のうちに『All Shook Up』全公演が幕を下ろしました。
 ある日はカーテンコールを終えた坂本昌行さんが袖に入る少し手前で立ち止まり、思い出したように客席に向かって「今、雨降ってます」と一言。「えええ~~~~」とリアクションが湧き上がったところで茶目っ気たっぷりに「うっそでぇ~~す♪」とスキップするようにして袖に入ったものですから、会場はまさにチャドが訪れた町状態で微笑みでいっぱいになりました。
 ノリのいいプレスリーの曲を立て続けに歌い踊るこの作品、出演者の皆さん本当にハードだったと思います。歌も踊りも実際の人数以上に厚みを感じて、一人一人の集中力とこの作品への愛情が心地よく伝わってきました。
 そんなロックンロール!なノリの中で時折、ほの暗い照明をまとうように、ゆったりとしたペアダンスがはさまれるのですが、この時の青山航士さんの動きの柔かさ、繊細さといったら、あの赤い悪魔と同一人物とは思えないほどです。歌は雄弁にそれぞれの恋を語りあげますが、このアンサンブルによるペアダンスは言葉にならないほのかな思いや密かなときめきを幻のように描いて素敵でした。いわゆるクラシックな端正な動きなのですが、それを浮き上がらせず、50年代のアメリカの空気の中で魅せてくれるダンサーというのはかなり限られていると思います。オタクがこういうの見ているとやはり『ウエストサイドストーリー』の振付家ロビンズの作品を踊る青山さんが見たくなりますね~。
 全公演終わってみると、いま日本で普通に連想される「愛すべきアメリカ」がふんだんにつまっている作品だったような気がします。自由と音楽を愛する男性、自分を信じて町を出て行く女の子、人種を超えていこうとする恋などなど、この島国の若い想いが遠くみつめて憧れてきたものなんじゃないでしょうか。客席の層も思ったよりずっと広く、お洒落な老夫婦もたくさん! その方たちもアンコールはスタンディングで楽しまれていて、プレスリー世代から十代まで、日本も見事にALL SHOOK UP!な公演でしたね。出演者、スタッフの皆さん、お疲れ様でした、どうぞよいお年を