platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

All Shook Up/It Hurts Me

2007-12-03 | ALL SHOOK UP
 恋に苦しむ女性を、ゆったりと優しい愛情で包むように見つめている、父性的な愛を歌ってサマになるシンガーってやっぱり少ないですよね。普通に歌うと、モテない男性が影でひたすら待っている、なんだかいじましい歌になるところを、プレスリーが歌うとカッコよくて艶っぽいから不思議です。ロックン・ロールのキングというだけでなく、こういうアコースティックな音が似合うバラードを歌うところが、やっぱりアメリカの国民的歌手なんでしょうね。
 この曲は、後にカントリー・ミュージックのカリスマ的存在になるチャーリー・ダニエルが、62年のクリスマス前、ちょうど今頃でしょうか、テキサスから東海岸へ車を走らせていたときに曲想を得たそうです。ほどなくプレスリーのスタッフと親交のある音楽プロデューサー、ボブ・ジョンストンにナッシュビルに呼ばれ、二人で書き上げたのがこの"It Hurts Me"。プレスリーはこの曲を一年ほど暖め、64年に発表となりました。プレスリーは気に入った曲があると録音してみて、それを聞きなおし再度ふるいをかけてから発表する、という手順を踏むので、曲の完成から発表まで間が空いたのだとか。チャーリー自身大ファンだったプレスリーと握手をするような機会には恵まれなかったようですが、当時28才、エルヴィスに曲を提供したのは、彼にとって人生最大の出来事だったそうです。
 36年生まれの彼は、現在では映画に出てくるようなアメリカの好々爺ぶりですが、そのサイトがまたいかにも「アメリカ」です。チャドの訪れるYou-never-heard -of-it町もツアー版サイト(どうやら削除されてしまったようです)で見ると、いかにもアメリカ中部の町、というセットでしたが、デビッド・スワン版の舞台はどんな感じなんでしょうか。チャーリー・ダニエルの公式サイトを見ていると、乾いたアメリカの土の匂いが漂いそう。"Museum"の巨大エレキギターの写真は必見です。プレスリー世代のアメリカのおじいちゃん達、ほんとに元気ですよね~