『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
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フルート奏者・白川真理

鯉口を切る

2021-10-04 09:47:45 | 気付き
「鯉口を切る」

という言葉も抜刀術の用語。

昔、稽古した時に御教えいただいていたはずなのに、ずっと忘れていた言葉。

刀の鞘の口部分が鯉の口に似ている、ということでの名前だそうです。

この折の人差し指の取り扱いをそのままフルートにすればよかったんだ!?

と18年経って、ようやく気付く。

とたんに、エコーがかかったようにブーンと響く音に。

狐につままれている、というのがぴったりの変化でした。

普段は大した反応を示さない辛口評論家の夫が「どうしたの?」と気付くくらいなので相当だと思う。

生徒さん達も同様で、皆様に驚かれる。

別に必死で出している訳ではなく、(いや、むしろ必死に吹いたら鳴らない)、演奏の実感からはより遠ざかる。

多分、天才というのは、身体からの要求といて、最初からこの左人差し指だったのかもしれないです。

・・にしても見た目では殆どわからない。

左人差し指のごく僅かな変化が全身に大きく影響し、響きが増す、ということに、本当に驚いています。

今までも動かしてはいたけれど、左薬指、小指の動きは、本当に反復練習によって培った「間に合わせ」だったことも身に染みています。

今まで使われていなかった、繋がっていなかった身体の奥の糸がピンと繋がり、特に左手の人差し指と小指はようやく血が通い出したような感じです。

抜刀術にはまだまだ楽器演奏に役立つ秘密が沢山あることを感じています。

先日、リサイクルショップで数千円で売られていた脇差を入手しました。

私の模擬刀は1メートル近くあるので、模擬刀とはいえ、重くて危ないし、多分、女性やお子さんが最初から抜くのは難しい。

せっかくなので、抜く楽しさも味わっていただきたいので、最近はレッスン時に携えて経験していただいています。

脇差でも、実際に柄に手を置き、鯉口を切り、身体を観音開きに割る真似事をするだけでも、一気にフルートの音が変化します。


脇差であればイカットの布で包んでトートバッグに入れて運べるのも便利。
それに誰にも呼び止められないのも、清々しい。

模擬刀を持ち歩いていると、結構、職務質問されて、目的地に到着するのが遅れてしまうことが多かったので、いつも30分余分に見て、出かけたりしていたものでした。

一日3回、お巡りさんに呼び止められたこともあった。

日本の治安はこうして守られているのだな、とは思うものの、先を急いでいる時は、本当に困る。

こうしたことも面倒くさくて、稽古を止めてしまった、という経緯もある。

時々自主稽古はしていたけれど、ここ数年はフルートが忙しかったので、ずっとしまいっぱなしでしたが、勿体ないことだった。

最近は楽しみつつ稽古しています。



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