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『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

逆S字の構え

2025-07-23 23:28:05 | 気付き
フルートの構え方は、本当に色々と変化してきていて、もう数えきれないくらい・・

それだけ未完成、ということでもあるのですが、今回は、気味悪いくらいの効用があり、この夏の暑さが吹き飛ぶくらい驚いた。

ゾクっとするくらいに。

甲野先生の刀の構え方が、逆になったSを下からなぞる感じとなった、というのは音楽家講座の中で、数か月前からうかがっていて、漠然とフルートの構え方のヒントにもなりそうとは思っていたものの、「でも、先生だからこその感覚ということもあるから、安易に取り入れようとか真似しようと思わない方が良いかもな」と思っていた。

なんとなく、ではあるけれど、今回のことに関してはそうだった。

4月末の本番があるまでは、安定させておきたかったというのもあるし、自分ならではの視線を使って首の位置を決めるやり方の気付きなどもあり、もうある程度満足していたというのもある。

でも4月の本番が終わってからは、いつもの事ではあるけれど、今の吹き方がもう嫌になっていて、フルートに関しては「なんだかなあ」というウツウツとした気分が続いていた。

きっかけは、笛吹き仲間のTちゃんが遊びに来てくれたこと。
「ピピ」に釣られて?もあるけれど、前回の音楽家講座に参加してくださっていて、その時の打ち上げで、なんとなく、じゃあお茶しきどうぞ、となっていたのでした。

「真理さんのシャコンヌの楽譜がもしあったら欲しい」と言ってくれたので、残り数冊となっていた楽譜を一部用意していた。

これは2014年頃にアルソ出版から出したもので、バッハのヴァイオリンパルティータ第2番のシャコンヌをフルート用に編曲したもの。

自分で吹きたくてフルート編曲用を探したけれど、原調ではあったものの、これはかなり原曲と違っていて使えなかったので、じゃあ自分でやるか、となったのがそもそものきっかけ。

他にもフルートで演奏しやすい様にと、調が違うものもあるけれど、やはりバッハは原調でやりたいと私は思うので。

植村先生はあきれながらも、良いご助言を沢山してくださったことも懐かしい。

色々大変な大曲だけれど、最も大変なのは15分間休符がなく吹きっぱなし、ということ。

だからこその持続力がある古武術奏法ということで、楽譜には2ページ使って、当時の私がやっている構え方や考え方なども書かせてもらった。

久々にそれを読んでいて、当時の構え方のところで閃いた。

このころは、右手に内旋をかけて、そのての甲にフルートの先端を載せて運ぶようにしていた。これは甲野先生が「肩がささないように」と一番最初に考えてくださったもの。

確か、音楽家講座第一回目の打ち上げの席で、先生が思いつかれたものだ。

その後、これがベースとなって、様々な進展があったのだけれど、すっかり遠ざかっていた構え方。

でも、改めてこれを見て気付いたことが。

当時は右手の方がささないこと、つまり右手のための構え方という認識しかなかったが、この構え方は、最近のっ逆S字の構え方が内包されていたのではないか?ということ。

21日はtちゃんと楽しいひと時を過ごし、色々なことを語り合って、とても元気付けられ、同時に「生きること、フルートを吹く事」ということを考えさせられずにはいられなくなっていて、珍しく、中々寝付けなくなっていた。

ふと、何かしらが降りてきた感じがして、横たわったまま、逆S字で手を挙げてみるとただ掬い手で揚げるより、すっと腕が軽い。

これで更に目が冴えてしまって、上半身を起こしてエアフルートでやってみるととても良い。

更に思いついたのは、「両手を使う」ではなく、右手で左手とフルートを運ぶということ。

翌日試してみたところ、本当に気味悪いくらいに何もかもが変化。

二頭上腕筋その他を今までは働かせすぎていて、そいつが色々と邪魔していたのだなあ、としみじみ。

本日、レッスンで生徒さんに試したところ、二人の方が大きく変化。

自分では、二の腕や首筋周辺が本当にラクになったなあ、と思っていたけれど、変化して生徒さんを見ると、外側からでは、とにかく肩がとても落ちている。

忙しくて読んでいなかった甲野先生のメルマガを読むと、なんと同じような気付きをされた稽古会の世話人Nさん(こちらは剣術であるが)のことが書いてあって、正に我が意を得たり。

人の身体というのは、本当に面白くて凄いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


明日は、御子息・陽紀(はるのり)先生による音楽家講座です。
久々の陽紀先生、とても楽しみです。

既に沢山のお申し込みをいただいておりますが、
広い会場ですので、お申し込みなしでも可能です。
どうぞお越しください!



アウィ~ン♪

2025-07-18 20:08:16 | 気付き
エースの舌打ち演奏にヒントを得てガラっと変化したのだけれど、レッスンでそれを説明しているうちに、段々「ホラ、志村けんのバカ殿みたいな顔で・・」となっていました。

とはいえ、さほどバカ殿を見ていた訳ではなく、なんとなくのあんな感じ、という曖昧なあくまでも個人の印象、意見なのですが。

でも、この「なんとなく」がどんぴしゃりの感覚であり、より明確な技法として定着したのは小学生の生徒さんKくんのお陰。

「志村けんって知ってる?」

「知ってます!これでしょ?」

と「アウィーン」をやってくれたのでした。

この「アウィーン」は知ってはいたけど、私の認識の中からは抜けていて、なんとなくのバカ殿だったのだけれど、確かに「アウィーン」というのはとても的確。

この「アウィーン」の効用は大きく、その一番の効果は、なんといっても「吹き過ぎなくなる」ところ。

実感を求めて大量の息を前に前にと吹いてしまうと、全く鳴らない。

だからこその「アウィーン」。

ついでに、上下の唇の位置が自然に揃う。
つまり上下の顎の位置が揃う。
結果上唇中央の突起をよりよけやすくなる。

「アウィーン」は本当に凄い。

このところアウィーン連呼のレッスンをしていますが、思わず社会人の生徒さんがこらえきれずに笑いだしてしまわれた。

「先生、すみません。もう耐えられなくて・・。もしこのレッスンを聞いている人がいたら、『アウィーン』って何だろう?って思うだろうな、と思うと、もう可笑しくなってしまって・・」

確かに、ちょっと外国語の学術用語っぽく聞こえないこともない。

・・・・・・・・・
(追記)
オリジナルはアウィーンではなくアィーンでした!

でもフルートではアウィーン。



岩城正夫先生 訪問

2025-07-14 23:17:49 | 日常
猛暑も台風の影響で少し和らぎほっとした本日・月曜日、
ウクレレの高橋重人さん、Nさんと一緒に岩城正夫先生を訪問しました。

奥様が逝かれてからは、とてもお疲れのご様子だったのですが、お会いするたびに、少しずつ元気を取り戻しておいでのご様子に安堵。

先日、御子息の岩明均さんが第49回講談社漫画賞総合部門を受賞した記念パーティーに参加されたとのことで、それがとても嬉しかったご様子で、本日は、より生き生きとされていました。

お土産の帝国ホテルのクッキーなども御馳走になりました。

毎回貴重なお話をうかがえるのですが、一番心に残ったのは

「歴史の蓄積が人間の身体」

という言葉。


だからこそ、文献のみ(人のいう事も!)に頼るのではなく、自分の身体で体験し、考えていかなくてはいけない、と改めて思う。

先生が実践されている「古代技術復元実験」は「実験」ではなく「体験」ということも仰っていた。

コンラッド・ローレンツのインプリンティングの話に付随した家族構成、唯物史観など、本当に95歳でただお元気というだけでなく、まだまだもう何冊か本が書けそうな知性と体力を保っておいでなことに本当に感服。

せっかくだから、と高橋さんのウクレレ、私のロット、先生とNさんは口琴でセッションしました。

「・・ん~~~、口琴には何が似合うかなあ~~~・・・」と数秒考えて思いついたのは

「コンドルは飛んでいく」

これが、もうぴったりで中々ご機嫌な仕上がりとなりました。

奥様が逝去されてから、ギターからもすっかり遠ざかってしまわれていたとのことでしたが、少しお気持ちも動いたようでしたので、「では次回は先生の好きな曲1曲をギターで」とお願いしてまいりました。

高橋さん持参の三脚で記念撮影



エラッツの帽子


エラッツに関してはこちらを
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhsj/31/181/31_43/_pdf/-char/ja





佐伯隆夫先生ご夫妻を囲んで

2025-07-10 22:58:03 | 音楽・フルート
7月6日は大学の3,4年生の時にお世話になった佐伯隆夫先生を囲むパーティーでした。

古希のお祝いの時は東日本大震災が起き、先生自らお祝いの会をご辞退され、
また、ご退官と名誉教授ご就任は 2 年前でしたが、コロナ禍のため開催が不可能でした。

今回、有志の実行委員の皆様のお陰で、先生ご夫妻を囲んでのパーティーが開催されることとなりました。

会場はアルカディア市ヶ谷(私学会館)。
しっとりと落ち着いた風情の良い会場で、お料理も美味しく、とても良かったです。

佐伯先生は、私の拙いコンサートにもよくいらしてくださって、川崎優先生門下だったこともあり、昨年の上野の旧奏楽堂でのコンサートも聴いてくださっています。
演奏に関しても過分なお言葉を頂きましたが、加えてコンセプト、企画力を褒めてくださった。
川崎作品のオリジナルとわらべ歌を交互に配置したこと、
旧奏楽堂で行ったこと。
年末の「振り返り」の時節に行ったこと。
我が意を得たりで、これもとても嬉しかったものでした。


とはいえ、大学3年生というのは、幾分音大生暮しにも慣れてきて、その上狐やタヌキ、ときには青大将に囲まれていて、もう練習するしかやることはない、という環境の陸の孤島・入間キャンパスから3年になって江古田に移り、ようやく「これが東京だ!」と練馬ではあったけど、「都会暮し」を満喫していて、遊びまわっていた時期。
多分、人生の中で一番遊んでいた時期だったと思う。

何度か二日酔いのままレッスンを受けてしまったことも・・

佐伯先生は本当にお優しくて穏やかで、気付いていたかいなかったかは不明ですが、そんなチンピラ学生の私にもとても良いレッスンを授けてくださった。
無事、卒業出来たのも佐伯先生のお陰です。

そして、何より姿勢、構え方を少し変えるだけで、ぐっとパフォーマンスが変化する、ということを初めて御教えいただいたのは、佐伯先生からだった。

80名程が集いましたが、年齢の幅も広く、初対面でも同門同士ということで、すぐに打ち解けることができました。

卒業以来、初めて会った先輩、後輩とも、あっという間に時空を飛び越えて、共にあの頃の江古田の地下練習室に戻れるのも楽しかった。

また川崎優先生の下組織された日本初・女性のみのプロフルートアンサンブル、「ムジカ・フィオーレ」で苦楽を共にした笛吹き仲間のTちゃんと久々にお会い出来たのも嬉しかったです。

そして佐伯先生のスピーチは奥様への愛と感謝に満ちた素晴らしいものでした。

岩間丈正さん他、実行委員の皆様、素晴らしい会を企画してくださり本当にありがとうございました。

皆、顔を出して仕事をしているので、大丈夫かとは思いましたが、やはり勝手に掲載するのはよろしくないので、写真は残念ながらなしで。

でも、皆、とても良い笑顔で写っています。

穏やかで心優しい佐伯先生の門下生はみな、先生の優しさを受け継いでいるのかな、と思います。

・・・私が青木先生から「ちょっと修行してきなさい」と3年になって佐伯先生の下へとやられたのも、このあたりを学んで欲しいと思われたのかしら?

と、今初めて気付く。



写真は先生からのプレゼントは特製チョコレート。
この暑さで溶けぬようにと保冷剤入りの袋で、自筆の御礼のカード付。
何十名もいるのに、こうしたところにも佐伯先生、そして奥様のお心遣いが。

CDケースに入っていて、包み紙には、演奏している先生のお写真が。

・・これじゃあビリっと破いて食べることは出来ません。

気を付けて、そっと慎重に紙を外し、他の台紙に貼り付けて保管。

とても美味しいチョコレートでした!






7月の設え

2025-07-08 00:08:24 | テーブルコーディネート
息子の旅に刺激されたので、エジプトで。



青い猫はイタリア・ビトッシのものだけれど、このリミニブルーは、カイロの博物館で見た青いカバの色にも似ているので、参加させる。

細かい物ばかりで、ちょっと寂しかったので、これまたネットで買って、ピピが来る前には、時々虫よけに焚いていたフランキンセンスも登壇。
300円ショップでみつけたエアプランツが良く似合う。

それ以外は全て2019年に行ったエジプト旅行の時に買ったものばかり。

テーブルクロスだけは、帰国後ネット・・

木彫りのネックレスと猫はファルーカに乗った時、ヌビアの少年から買ったもの、白い鰐はギザのお土産屋さん、小皿と螺鈿の箱は空港で、ともう6年も前なのにその時のことが蘇ります。

クッションカバーは2018年にポルトガルに行く途中、トランジットで寄ったイスタンブールでサクサクっと買い込んだもの。




本日夜、息子がお土産を持ってきてくれました。





劇甘のトルコのお菓子を食べながら、小さなスマホの画面を3人でのぞき込んでいると、その向こう側に、しっかりとピピ。