思いつくまま

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根井雅弘著『サムエルソン『経済学』の時代』(中央公論社)を読む。

2012年03月17日 22時22分22秒 | 読書
ポール・A・サムエルソン(1915年~2009年)の書いた『経済学』、自分の学生時代、経済学部の学生はみんな都留重人さんの訳されたこの分厚い上下2冊の物語のような本を買わされて読んだんだよなぁ。大学に持っていくのも重かったなぁ。英語の原書を読まされていたところもあったなぁ。

この本のタイトルを見て、すごく懐かしくなって、ついつい手に取ってしまった。
もうあの頃勉強したことはすっかり忘れてしまったけど、この本を読んでいると、あぁそうだったなぁと思い出しながら読んでみた。
MIT(マサチューセッツ工科大学)という大学の名前もその頃知って、経済学者なのに工科大学かぁなどとも思ったりした。

理論経済学では、当然のことながら数学を扱うのに、私立文系の経済学部だと国語・英語・社会の3科目しか入試にないところがほとんどだよな。
自分は文系だったけど、もちろん入学試験のために数学も数ⅡBまで勉強したし、大学も一般教養では数学は必須だった。
それでも、この本に微分・積分などが出てくると、微分・積分ってそもそも何をやるものだったのかさえすっかり忘れてしまって、内容には専門性もあってさすがに難しかった。難しいところは飛ばし読みした。
新古典派総合とか、マクロ経済学(ケインズ)とミクロ経済学(新古典派)の統合などということも検討されていたようだ。

サムエルソンの理論にからむ経済学者も多く紹介されており、最初は、やはりジョン・メイナード・ケインズ、『雇用・利子および貨幣の一般理論』通称「一般理論」、J・A・シュンペーター、ケインズとは対立していた自由主義哲学のハイエク、ヒックス=ハンセン図のヒックス、反ケインズで「マネタリズム」のミルトン・フリードマン(『選択の自由』を読んだなぁ)、『ゆたかな社会』や『不確実性の時代』のジョン・ケネス・ガルブレイス、「合理的期待形成仮説」のルーカス、ケインズの愛弟子のジョーン・ロビンソン女史(この人のマクロ経済学の本を教科書でもないのに、自分で買って勉強したなぁ)、カレツキなどの経済学者の理論などもわかりやすく解説されていた。
アメリカのケインジアンは財政面から、不況時には減税や政府支出を増やして財政を赤字にして景気回復させる財政政策を導入したが、景気が回復して財政赤字を増税によって黒字に戻そうと思っても、選挙民や政治家がそれを阻んでしまって実行不可能だというブキャナンや、1980年代に流行った「サプライサイド・エコノミックス」(供給重視の経済学)、これをアメリカの当時のレーガン大統領も取り入れ「レーガノミックス」という言葉さえ使われていたが、結局は巨額の財政赤字だけが残って大失敗だった。

サムエルソン『経済学』、自分の持っているのは第10版、第12版以降はウイリアム・D・ノードハウスとの共著となっているとのことだが、時間があれば再び全篇読破にトライしてみたいものだ。

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