『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)がベストセラーになった素粒子物理学者の村山斉さんって、お笑い芸人の「ハイキングウォーキング」の鈴木Q太郎にそっくりだなぁ。http://q-chan.laff.jp/
ベストセラーの本の方は本屋で立ち読みしたが、自分にはイマイチだったのでこちらの本にした。
がっ、相対性理論などの基礎知識が多少あっても、素粒子論なんて全く素人の自分にはやはりむずかしかった。
それでも、宇宙や素粒子に関するいろいろな理論、ノーベル物理学賞を受賞した人の理論などもちりばめられて紹介されたりして、現在の最先端の物理学の研究内容がわかって、なかなか面白かった。
あとでこのブログを読んだら何か少しは思い出せるかと思って、ちょっと内容を書き留めておく。
第1章 宇宙に終わりはあるのか?
宇宙は0.5%の星や銀河、水素やヘリウムといった4.4%の原子、0.1~1.5%のニュートリノ、22%の暗黒物質、73%の暗黒エネルギーからできている。
宇宙の歴史はビッグバンから始まって今は137億歳頃、38万歳頃に出てきた光は観測できる。それ以前に登場するのが暗黒物質。
ニュートリノは毎秒何十兆という数で私たちの身体を通り抜けている。暗黒物質は地球をスルスルと通り抜けている・WIMP(ほとんど相互作用しない重い粒子)・ビッグバンの時にできた粒子。目には見えないが、実験室で作ることができる。
宇宙は70億年前から加速しながら膨張している。宇宙が広がるとエネルギーが薄まる・エネルギーが減るので宇宙の広がり方が遅くなるはずなのに、実際には早くなっている。これには暗黒エネルギーが関与している。
宇宙の終わりはビッグクランチ(膨張が減速して止まり、収縮を始めて最後はグシャッと潰れる)か、ビッグリップ(膨張速度が無限大になって、銀河も星も引き裂かれて原子レベルに、原子も引き裂かれて電子と原子核に、とにかくすべてがバラバラになって宇宙が空っぽになって終わる)か、それとも永遠に普通(加速も減速もせず)に膨張し続けるという3つの仮説がある。
結局、この本のタイトルの答えを見つけることができなかった。ヲイヲイ。
第2章 素粒子と宇宙
大きな宇宙を知るには小さな素粒子を知ることが必要
「アインシュタインの夢」、物事の根本には単純な真理があって、それで自然界の現象は全部説明できるはずである。
力学の法則&重力の法則・マックスウェルの理論(電気と磁気は同じ力)・特殊相対性理論・一般相対性理論・量子力学・電弱理論・大統一理論・ひも理論
重力・電磁気力・弱い力・強い力の4つの力を統一するための研究が続けられている。
素粒子には「クォーク」と「レプトン」がある。それぞれ6種類があり、2種類ごとにペア「世代」になっている。量子力学と相対性理論の融合、一般に電子や陽子は粒で光や音は波と習うが、量子力学では「粒は波・波は粒」という考え方をする。
どんなものにも反物質があるという予見、重さは同じだが電気が陰と陽で反対になっている。宇宙には反物質がない。
重さとエネルギーは同じE=mc2、光速に近いと時間が遅れ、距離が縮み、重くなる。
ハイゼンベルグの「不確定性関係」、少しだけエネルギー保存則を破って、エネルギーを借りても良い、借りるエネルギーの量が大きければ大きいほど、返すまでの猶予期間が短くなる。
第3章 宇宙原始のスープ このあたりからむずかしくなる。
宇宙の始まり→2700℃・38万年・晴れ上がり→10億年・クエーサーや宇宙マイクロ波→100億年・銀河→現在137億年
21cm線
「ラザフォード実験」、ティッシュペーパーに弾丸を撃ち込んだら弾丸がはね返ってきた、この結果、原子の中は電気の固まりが中心にギュッと詰まっている。
原子=電子+原子核 ←電磁気力で結びつく
原子核=陽子+中性子 ←「強い力」で結びつく、ネーミングにセンスが無い。
2つの中間子=パイオン(パイ中間子)、ミューオン
クォーク=アップクォーク・ダウンクォーク・ストレンジクォーク・チャームクォーク(1974年の11月革命で見つかった)
グルーオン(糊の粒子)、ジェット(粒子の束)、トリスタン実験
クォークの色が元になってグルーオンを出しており、グルーオンにも色があって反応している。
宇宙が始まって最初の10万分の1秒ほどはクォークとグルーオンの液体だったが、温度が下がるとエネルギーも下がり、強い力がとても強くなってクォークが閉じ込められ、陽子、中性子、パイオンの世界になる。さらに宇宙年齢が1秒くらいの頃に、陽子と中性子が結びついて原子核ができた。
太陽よりも大きな星が寿命の最後にグシャっと潰れた反動で大爆発を起こす「超新星」のおかげで、大きな元素ができた。私たちは「星のかけら」。
第4章 型破りな「弱い力」
β崩壊を引き起こす力が「弱い力」、こちらもネーミングにセンスが無い。
β崩壊が起きて、原子核から電子が出てくる時には「ニュートリノ」が出て、エネルギーを持って運んで逃げている。
太陽はただ燃えているわけではなく、弱い力を使って核融合を行っている。太陽はエネルギー(=質量)を放出しながら毎秒43億kgずつ軽くなっている。そこでニュートリノができている。ニュートリノも私たちの身体を毎秒何兆個も通り抜けている。
スーパーカミオカンデでは、太陽から出たニュートリノをとらえることができた。(小柴さんがノーベル物理学賞)
強い力はグルーオンという粒子が飛ばしている。そして、弱い力はW粒子が飛ばしている。パイオンは宇宙線の中で割りと簡単に作られるため、高い山に登れば見つけることができたが、W粒子はCERN・欧州原子核研究機構でエネルギーをつぎ込んで人工的に作ることができた。
重力や電磁気力、強い力などどんな力にも左右の区別が無い物理法則・「パリティの保存」、このパリティが破れていることが発見された。ニュートリノはすべて左巻き、鏡に映しても右向きにならない。
粒子と反粒子を入れ替える「C変換」とパリティの「P」で「CP」、CPの破れを理解するためには、素粒子が3種類ずつあるべきだ。「小林・益川理論」
素粒子には、①電子・ミューオン・タウオン&②ダウンクォーク・ストレンジクォーク・ボトムクォーク&③アップクォーク・チャームクォーク・トップクォークという3種類が3世代ずつある。この存在がすべて確認されて、CPが確かに破れていることが確認され、2008年のノーベル物理学賞となった。
結局、クォークには、アップuとダウンd・チャームcとストレンジs・トップtとボトムbの3世代、レプトン(「軽い粒子」という意味)では、電子eとミューオンμとタウオンτの3世代があり、さらにそれぞれにはニュートリノである電子ニュートリノveとミューニュートリノvμとタウニュートリノvτが付いている。
さらに、光の粒子である光子、強い力を運ぶ粒子のグルーオン、弱い力を運ぶ粒子のZ粒子とW粒子がある。
重力を運ぶ粒子はまだ見つかっていないが、「重力波」という名前が付いており、あと5年くらいで見つけられるのではないか。
弱い力は遠くまで届かない。南部陽一郎さんが2008年にノーベル物理学賞を受賞した「対称性の破れ」では説明できるが、実験的に証明されていない。
宇宙はヒッグス(暗黒場)で満ちている。これがW粒子の行く手を邪魔している。ヒッグスの粒子もまだ見つかっていないが、2015年頃には観測できると期待される。
私たちの身の回りは、すべて6つのクォークと6つのレプトンで作ることができ、その間に重力・電磁気力・強い力・弱い力が働いている。「標準模型」
第5章 暗黒物質と消えた反物質の謎
「標準模型」にほころびが出てきた。なぜあるはずの反物質が無いのか。
暗黒物質がキセノンにぶつかると光を発するが、この暗黒物質を確認するために神岡にあるXMASSで観測を行っている。
私たちのいる空間は3次元だが、実は目に見えない別の次元があって、暗黒物質は異次元を動いているのではないか?
太陽ニュートリノ問題、カムランド実験、ニュートリノ振動
(仮説)宇宙の本当の始まりには、物質と反物質が同じ数だけできた。ところが、反物質の中にある10億個の反ニュートリノのうち1個だけがニュートリノに変わってくれたおかげで少しずれが生じた。その後で物質と反物質が出会って消滅すると、物質がほんの少し余る。これが私たちだ。
暗黒物質とは一体何なのか?反物質が消えたのは一体どういう仕組みなのか?ということは、まだわかっていない。
第6章 宇宙に特異点はあるか?
ブラックホールとビッグバンは特異点
宇宙の特異点の性質は、「無限に曲がっている」ということ。特異点ではエネルギーが無限大になって、ふだん使っている物理法則はすべて破綻して、役に立たなくなる。
ブラックホールからは光が出てこないので、ブラックホール自体は見えず、真っ黒だ。
ホーキング博士が、1974年にブラックホールには熱があると言い出し、暗黒の天体だと思われていたブラックホールから、少しずつものが噴き出していることを発見、これを「ホーキング輻射」と呼ぶ。
ひも理論=粒子は粒ではなく、実はゴムひものように広がったものという考え方
IPMUの佐藤勝彦先生の「インフレーション」理論、宇宙の最初には急に引き伸ばされる時期があった。
特異点を解消するためには、数学者の研究が必要
http://blog.goo.ne.jp/piopure/e/cd8d1e093c4cc3d61b7bb3d1bef529cf
ベストセラーの本の方は本屋で立ち読みしたが、自分にはイマイチだったのでこちらの本にした。
がっ、相対性理論などの基礎知識が多少あっても、素粒子論なんて全く素人の自分にはやはりむずかしかった。
それでも、宇宙や素粒子に関するいろいろな理論、ノーベル物理学賞を受賞した人の理論などもちりばめられて紹介されたりして、現在の最先端の物理学の研究内容がわかって、なかなか面白かった。
あとでこのブログを読んだら何か少しは思い出せるかと思って、ちょっと内容を書き留めておく。
第1章 宇宙に終わりはあるのか?
宇宙は0.5%の星や銀河、水素やヘリウムといった4.4%の原子、0.1~1.5%のニュートリノ、22%の暗黒物質、73%の暗黒エネルギーからできている。
宇宙の歴史はビッグバンから始まって今は137億歳頃、38万歳頃に出てきた光は観測できる。それ以前に登場するのが暗黒物質。
ニュートリノは毎秒何十兆という数で私たちの身体を通り抜けている。暗黒物質は地球をスルスルと通り抜けている・WIMP(ほとんど相互作用しない重い粒子)・ビッグバンの時にできた粒子。目には見えないが、実験室で作ることができる。
宇宙は70億年前から加速しながら膨張している。宇宙が広がるとエネルギーが薄まる・エネルギーが減るので宇宙の広がり方が遅くなるはずなのに、実際には早くなっている。これには暗黒エネルギーが関与している。
宇宙の終わりはビッグクランチ(膨張が減速して止まり、収縮を始めて最後はグシャッと潰れる)か、ビッグリップ(膨張速度が無限大になって、銀河も星も引き裂かれて原子レベルに、原子も引き裂かれて電子と原子核に、とにかくすべてがバラバラになって宇宙が空っぽになって終わる)か、それとも永遠に普通(加速も減速もせず)に膨張し続けるという3つの仮説がある。
結局、この本のタイトルの答えを見つけることができなかった。ヲイヲイ。
第2章 素粒子と宇宙
大きな宇宙を知るには小さな素粒子を知ることが必要
「アインシュタインの夢」、物事の根本には単純な真理があって、それで自然界の現象は全部説明できるはずである。
力学の法則&重力の法則・マックスウェルの理論(電気と磁気は同じ力)・特殊相対性理論・一般相対性理論・量子力学・電弱理論・大統一理論・ひも理論
重力・電磁気力・弱い力・強い力の4つの力を統一するための研究が続けられている。
素粒子には「クォーク」と「レプトン」がある。それぞれ6種類があり、2種類ごとにペア「世代」になっている。量子力学と相対性理論の融合、一般に電子や陽子は粒で光や音は波と習うが、量子力学では「粒は波・波は粒」という考え方をする。
どんなものにも反物質があるという予見、重さは同じだが電気が陰と陽で反対になっている。宇宙には反物質がない。
重さとエネルギーは同じE=mc2、光速に近いと時間が遅れ、距離が縮み、重くなる。
ハイゼンベルグの「不確定性関係」、少しだけエネルギー保存則を破って、エネルギーを借りても良い、借りるエネルギーの量が大きければ大きいほど、返すまでの猶予期間が短くなる。
第3章 宇宙原始のスープ このあたりからむずかしくなる。
宇宙の始まり→2700℃・38万年・晴れ上がり→10億年・クエーサーや宇宙マイクロ波→100億年・銀河→現在137億年
21cm線
「ラザフォード実験」、ティッシュペーパーに弾丸を撃ち込んだら弾丸がはね返ってきた、この結果、原子の中は電気の固まりが中心にギュッと詰まっている。
原子=電子+原子核 ←電磁気力で結びつく
原子核=陽子+中性子 ←「強い力」で結びつく、ネーミングにセンスが無い。
2つの中間子=パイオン(パイ中間子)、ミューオン
クォーク=アップクォーク・ダウンクォーク・ストレンジクォーク・チャームクォーク(1974年の11月革命で見つかった)
グルーオン(糊の粒子)、ジェット(粒子の束)、トリスタン実験
クォークの色が元になってグルーオンを出しており、グルーオンにも色があって反応している。
宇宙が始まって最初の10万分の1秒ほどはクォークとグルーオンの液体だったが、温度が下がるとエネルギーも下がり、強い力がとても強くなってクォークが閉じ込められ、陽子、中性子、パイオンの世界になる。さらに宇宙年齢が1秒くらいの頃に、陽子と中性子が結びついて原子核ができた。
太陽よりも大きな星が寿命の最後にグシャっと潰れた反動で大爆発を起こす「超新星」のおかげで、大きな元素ができた。私たちは「星のかけら」。
第4章 型破りな「弱い力」
β崩壊を引き起こす力が「弱い力」、こちらもネーミングにセンスが無い。
β崩壊が起きて、原子核から電子が出てくる時には「ニュートリノ」が出て、エネルギーを持って運んで逃げている。
太陽はただ燃えているわけではなく、弱い力を使って核融合を行っている。太陽はエネルギー(=質量)を放出しながら毎秒43億kgずつ軽くなっている。そこでニュートリノができている。ニュートリノも私たちの身体を毎秒何兆個も通り抜けている。
スーパーカミオカンデでは、太陽から出たニュートリノをとらえることができた。(小柴さんがノーベル物理学賞)
強い力はグルーオンという粒子が飛ばしている。そして、弱い力はW粒子が飛ばしている。パイオンは宇宙線の中で割りと簡単に作られるため、高い山に登れば見つけることができたが、W粒子はCERN・欧州原子核研究機構でエネルギーをつぎ込んで人工的に作ることができた。
重力や電磁気力、強い力などどんな力にも左右の区別が無い物理法則・「パリティの保存」、このパリティが破れていることが発見された。ニュートリノはすべて左巻き、鏡に映しても右向きにならない。
粒子と反粒子を入れ替える「C変換」とパリティの「P」で「CP」、CPの破れを理解するためには、素粒子が3種類ずつあるべきだ。「小林・益川理論」
素粒子には、①電子・ミューオン・タウオン&②ダウンクォーク・ストレンジクォーク・ボトムクォーク&③アップクォーク・チャームクォーク・トップクォークという3種類が3世代ずつある。この存在がすべて確認されて、CPが確かに破れていることが確認され、2008年のノーベル物理学賞となった。
結局、クォークには、アップuとダウンd・チャームcとストレンジs・トップtとボトムbの3世代、レプトン(「軽い粒子」という意味)では、電子eとミューオンμとタウオンτの3世代があり、さらにそれぞれにはニュートリノである電子ニュートリノveとミューニュートリノvμとタウニュートリノvτが付いている。
さらに、光の粒子である光子、強い力を運ぶ粒子のグルーオン、弱い力を運ぶ粒子のZ粒子とW粒子がある。
重力を運ぶ粒子はまだ見つかっていないが、「重力波」という名前が付いており、あと5年くらいで見つけられるのではないか。
弱い力は遠くまで届かない。南部陽一郎さんが2008年にノーベル物理学賞を受賞した「対称性の破れ」では説明できるが、実験的に証明されていない。
宇宙はヒッグス(暗黒場)で満ちている。これがW粒子の行く手を邪魔している。ヒッグスの粒子もまだ見つかっていないが、2015年頃には観測できると期待される。
私たちの身の回りは、すべて6つのクォークと6つのレプトンで作ることができ、その間に重力・電磁気力・強い力・弱い力が働いている。「標準模型」
第5章 暗黒物質と消えた反物質の謎
「標準模型」にほころびが出てきた。なぜあるはずの反物質が無いのか。
暗黒物質がキセノンにぶつかると光を発するが、この暗黒物質を確認するために神岡にあるXMASSで観測を行っている。
私たちのいる空間は3次元だが、実は目に見えない別の次元があって、暗黒物質は異次元を動いているのではないか?
太陽ニュートリノ問題、カムランド実験、ニュートリノ振動
(仮説)宇宙の本当の始まりには、物質と反物質が同じ数だけできた。ところが、反物質の中にある10億個の反ニュートリノのうち1個だけがニュートリノに変わってくれたおかげで少しずれが生じた。その後で物質と反物質が出会って消滅すると、物質がほんの少し余る。これが私たちだ。
暗黒物質とは一体何なのか?反物質が消えたのは一体どういう仕組みなのか?ということは、まだわかっていない。
第6章 宇宙に特異点はあるか?
ブラックホールとビッグバンは特異点
宇宙の特異点の性質は、「無限に曲がっている」ということ。特異点ではエネルギーが無限大になって、ふだん使っている物理法則はすべて破綻して、役に立たなくなる。
ブラックホールからは光が出てこないので、ブラックホール自体は見えず、真っ黒だ。
ホーキング博士が、1974年にブラックホールには熱があると言い出し、暗黒の天体だと思われていたブラックホールから、少しずつものが噴き出していることを発見、これを「ホーキング輻射」と呼ぶ。
ひも理論=粒子は粒ではなく、実はゴムひものように広がったものという考え方
IPMUの佐藤勝彦先生の「インフレーション」理論、宇宙の最初には急に引き伸ばされる時期があった。
特異点を解消するためには、数学者の研究が必要
http://blog.goo.ne.jp/piopure/e/cd8d1e093c4cc3d61b7bb3d1bef529cf