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ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】モーツァルトと量子力学

2007年10月06日 22時21分23秒 | 読書記録2007
モーツァルトと量子力学, 糸川英夫, PHP文庫 イ-5-2, 1990年
・なんとも心ひかれるタイトルに思わず手に取ってしまった一冊。糸川英夫のエッセイ集。『ロケット博士』として有名だったようですが、私が氏の存在を知ったのは『トンデモ本の世界』での紹介によります。読んだ印象では、『ものすごく元気なおじいちゃん』。好奇心旺盛です。チェロを弾くとは知りませんでした。読み進むと、話があちこちに飛んで一体何をテーマにした文章なのか分からなくなったり、それってホンマかいな? と疑いたくなるようなところもありますが、自分と同じ弦楽器を趣味に持つという事で、音楽の話題も多くそこそこ楽しめました。
・「ロケット研究をやった「糸川先生」は今の私にとって「他人」なのである。  だから「過去は他人である」。」p.3
・「だけど私はヴァイオリンは弾けない。チェロを弾く。  弾き始めて50年以上もたっているのに、一向上達しない。退歩しないのがせめてものなぐさめである。  去年は、永い間の懸案だったマックス・ブルッフの「コール・ニドライ」を何とか弾いた。」p.7
・「スミヤカでなかったのは「演奏」の内容である。  (アイネクの)テンポが、最大の論争点になった。  メトロノーム記号で、132にするか、128にするか、126にするかを議論した時間が、実際の「音合わせ」より長かったような具合である。  さすがに「工学博士」カルテットだけのことはある、と私は、ただただ感心するばかりであるが、何しろカルテットの胴元役を背負っているので、これで本番までに「まとまる」のかどうか、まことに心痛の限りであった。」p.32
・「日本のクラシックコンサートが「音楽会」ではなくて「音学会」だという批判は、前から随分ある。ピアニストの宮澤明子さんになると、もっと手きびしくて、日本の「音楽」は「怨餓苦」と書いたほうがよい、と言われる。」p.35
・「とにかく音の配列に「きまり」があるので、次の「フレーズ」(楽句)はこうくるだろう、と思うと、そう来るから、何となくいい気持になれるようになった。」p.38
・「批評家とか、審査員は、プレーガイドに足を運んで、S券かA券かB券を、自前のオカネで買うべきである。  そこがコンサートの原点なのだから。」p.41
・「プロというものは、そういう存在だと思う。つまり、プロは「みてくれる人」「聴いてくれる人」のために存在しているから、プロなのである。  アマチュアは、自己満足でよい。ナルシシズムでも構わない。プロは「相手」の信任の上に成り立つ。」p.44
・「敗れたときの反省は誰でもする。  勝った時の反省を、人が落とすなら、それを拾い上げることで差がつくだろう。」p.53
・「ヨー・ヨー・マという風変わりな名前のチェリストが、1982年の年頭の日本のあちこちで話題になった。(中略)何が気になったのだろうか。  第一に、「風格」である。  もっと、そのものズバリで言えば「顔」なのである。  つまり「顔が悪い」のである。(中略)彼のマイナスは、演奏中に、天井を向いて目をつぶるのはいいが、口を半分あけて、今にもよだれがたれそうな感じを与えるところである」p.77
・「冬になってカゼを引いたり、相変わらず空調のおかしい新幹線のグリーン車に乗ったり、たばこの煙もうもうという空気の悪いところに行くと、急性アレルギーは時々おきる。  しかし、直ちに、洗面所にかけこんで、この鼻孔ウガイを二回やれば、立ちどころに正常な状態に戻る。」p.119
・「地球は消耗性の物質のかたまりで、元に戻らない。  リサイクルという言葉は、物理的には成り立たない。石油でなくても、ウランでも、重水素でも、銅でも、チタンでも同じことで、一度使ったら、あとは必ず有用性が減少する。  有用性の減少の法則を、エントロピー増大の法則、というのである。」p.134
・「名古屋駅のホームに「ホームでのクラッカー、コメットの使用、及び胴上げを、固くおことわりします」という掲示板があった。」p.144
・「「道交法」では常識的になっているこの「前方不注意」も、対人関係になると、そう気にされていない。」p.151
・「すべて「ごうまん」という行為は、受けた人だけわかって、与えた人には存在しない感情なのであるから。」p.153
・「ところが今度「発明されつつある」素子はシリコンでもガリウムでも砒素でもない、生物を構成している細胞の素子である「タンパク質」なのだそうである。  つまり生きている細胞の一部の中で、電子とプロトン(水素原子または陽子)がついたり離れたりというより、二つのタンパク室の間の電子のくっつき方が変わる、という現象を利用して、ON、OFF、のサイクル、つまり二進法を展開させようという新発想である。」p.157
・「ワトソンに強大な影響を与えたのは、この両教授の学説でも学識でもなく、この二人のもっていた「ライフ・スタイル」であった。  一言で言えば「他人に遠慮しない率直さ」といっても、無遠慮とか、迷惑をかける言動、ということではない。  前項のテーマにのべた言葉を、再び使わせて頂ければ「君子は鬼を語る」のである。  多くの教授たちは(アメリカの大学でも)「あまりに紳士的」であった。  つまり「君子は鬼を語らず」で、正統派と世の中から「認知されている」仮説、法則、理論しか口の端にのぼらせないのに反して、この二人は「どんなつまらないと思われることでも」異説、異論、珍話の類に熱狂していたのである。」p.160
・「この一冊の本(シュレーディンガー『生命とは何か』)との出会いは、クリックに強烈な衝撃を与えた。  まだ30歳の若さで、クリックは、彼にとって理想的といってもよいぐらい、よい環境であった海軍省に、アッサリ辞表を出す。新しい人生を目指して、成功する確率は一万分の一ぐらいしかない新しい人生を目指して。  彼の興味は「脳の中の細胞を構成する分子」に向かった。  脳は、遺伝子よりはるかに、複雑な対象である。」p.166
・「ワトソンは後日語っている。  「栄光は、X線結晶撮影でDNAの写真を撮った、ロザリンド・フランクリンの頭上に下ってもよかったのに。ただ、ロザリンドは、ワトソンとクリックよりあたまがよく、同時に、柔軟性を欠いていただけだ」」p.171
・「サイエンスもクラシック音楽も、人生を美しく感動させるのが本質ではないだろうか。」p.178
・「(アメリカの物理学者ワイスコフ)「私が学生に、口癖のようにいう文句がある。  自分の人生を価値あるものにしてくれるもの、つまり自分の生きがいを支えてくれているものが二つある。  モーツァルトと量子力学である」  この報告を読んで、私は涙が出るほどうれしかった。  この世に同じことを考えていてくれる人がもう一人いるのだ、といううれしさである。」p.180
・「規則どおりに動かない、時によると、後ろ向きに戻ったりする。この星の一群は、はなはだ、ケプラーの心を惑わすものであったので、これに惑星という名がつけられた。」p.185
・「こういうところ(ヨーロッパの教会や古城)を頭において作曲されたクラシック音楽を、残響時間を極力抑えた現代のテレビスタジオやラジオスタジオで演奏したら、音楽の中身が全くちがったものになるだろう。」p.200
・「糸川英夫氏、つまり、この連載の筆者は、  「人間は(A+BX)という式で表現できる。(中略)」  という学説(?)を十五年くらい前から言い続けている人間である。」p.214
・「クリエーティビティというのは、ある日突然、世間の目にさらされると、不連続的な、飛躍的なしろものに見えるが、実は世に出る間は、連続的に少しずつ階段を上ったのであって、突如、一階から二階へジャンプしたものではない。  B.F.スキナーの説によれば、天才とは、階段を登るところを、人目から隠すことがうまかったのだ、という。」p.217
・「で、私共は、目だけギラギラさせて、指先だけを動かす「宇宙人」と化しつつある。そこで、これではならじ、とばかりに「目的なき」体の運動を生活の中に取り入れることになり、「体操ブーム」が起きた。」p.232
・「「日本人に独創性がない」とキメツケるより、「日本人が、日本という国土のなかにいると、独創性が発揮しにくい」といったほうが現実に沿っている。」p.238
・「日本人の海外ツアーが「団体さん」にたよることが多いのは、つとに有名である。(中略)団体さんのほうが「安くて」「気楽だから」というのがその背景であろう。  しかし、私自身の経験によれば、一人旅のほうが安上がりで気楽で、みのり豊かなものになると断言できる。(中略)だいいち、言葉の分からない日本人が一人で、心細そうにウロウロしていると、どこの国でも親切な人がいて、面倒みてくれるばかりでなく、ホテルなんかに泊まるより、「ウチ」へ来ないか、と誘われて、宿泊代がタダになることが多い。  食事もタダになることが多い。  それに、現地に「友人」が出来る。  不慣れな土地を、アッチにブツカり、コッチで失敗するうちに「土地カン」が出来上がる。」p.243
・「左右の脳理論と、古い皮質、新しい皮質に私がこだわるのは、「音楽」は「理性より情動的」であり、理性や言語系のロジックより「本能」に根を下ろしている、と思うからである。  音楽を演奏する前に、聴き手に何か話しかけるのを、割と平然とやる人と、演奏してからではないと、口をきかない人がいる。」p.247
・「それに、現代のように、テクノロジーが氾濫して、コンピューター一色の社会生活になると、どうしても「古い皮質」<の働きが鈍くなって、生命力のレベルの低下をきたすから、テクノロジー氾濫社会になればなるほど、「音楽」や「美術」を盛んにして「古い皮質」に栄養をやったほうがよいと思うのである。(中略)かくいう私も、本職の組織工学や種族工学の時間をさいても、チェロ音楽に「ウツツをぬかして、狂う」ことになり、バランスをとっているのではないだろうか。」p.249
・「故湯川秀樹氏は、この日本人独特の脳の構造が、将来、西洋人がつくれない「独創的」なものを生みだすはずだ、とおっしゃっておられる。  私も同感である。」p.254
・「「テクノロジーはハートを減少させる」  という法則を立てて、この落とし穴に陥らぬ用心が必要なのであろう。」p.279
・「ところが、こういう舞台芸術から人間が得た「感動」は、半永久的に残るのだ、という大発見を、最近私はしたのである。」p.281
・「1960年代、70年代の、イノベーションはLSI(大型集積回路)とDNA(遺伝子)であった。  この二つからいくつかのノーベル賞が生まれ、ノーベル賞から、生産、市場への出現は極めて速かった。(中略)80年代、90年代の、イノベーション、ブレーキスルー(壁を破る新発見)は「脳」であろう、という予測がある。  私もそう思う。」p.281

《関連記事》
ロケット博士も花粉症に四苦八苦
http://news.livedoor.com/article/detail/1798158/
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携帯ホルダー物色中

2007年10月05日 22時07分17秒 | 日記2005-10
 皆様こんばんは。そろそろ来年のカレンダーのことを考えなければならない時期であることに気づき愕然としたぴかりんです。

 写真はわかりずらいですが、携帯ホルダーです。ベルトに取り付けて携帯電話を収納するものです。おそらくもう5年以上は使っているのでボロボロで、最近は皮が裂けてきて使用不能の一歩手前。ポイントは車のリモコンキーがついているチェーンです。これのおかげでいちいちポケットを探すことも無く、とても助かっていました。ここまで長く買い換えることがなかったのも、この機能によるところが大きいです。
 しかし、それもそろそろ限界にきているので新しいものを探すことに。電器屋においてあるものはバリエーションに乏しいので、ネットだと色々あるのではないかと検索してみると、やはりいろいろ出てきます。
 そんな中、目に付いたのが ↓コレ↓

特許申請中!待望のNEWモデル!!携帯プロテクター の通販 - 携帯ストラップの専門店ストラップヤ!本店
http://www.strapya.com/categories/12_34_3169.html

こ、これは…… かなりソソられます。趣味悪いかなぁ~… 三色あるけど、買うなら "金" でしょうか。ブラブラしている状態なので、マナーモード着信時の振動に気がつくかどうかが気にかかります。
 他には、皮の手作りで凝ったデザインなんかもよいかな、と思ったり。

http://item.rakuten.co.jp/silver-ya/wfc-156/
http://shop.yumetenpo.jp/goods/d/two-spirits.com/g/HC0004/index.shtml

しかし、これらはどうも右腰につけることを前提に作られているようですね。私の場合は、利き腕のせいか、つけるのは左なのです。
 で、行き着くところは結局無難なこの辺になるのかも。

http://store.yahoo.co.jp/keitai/119-lv-043-bk.html
http://www.rakuten.co.jp/homedecor/453802/500301/

 ホルダーの前に、肝心の携帯本体の機種変がまだです。なかなかその暇がありません。うかうかしてると来年になっちまう~
コメント (5)
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【論】Hayasaki,2007,Analysis of pharmacological effe~

2007年10月05日 19時03分02秒 | 論文記録
T.Hayasaki, M.Sakurai, T.Hayashi, K.Murakami and T.Hanawa
Analysis of pharmacological effect and molecular mechanisms of a traditional herbal medicine by global gene expression analysis: an exploratory study.
Journal of Clinical Pharmacy & Therapeutics, Volume 32, Number 3, June 2007, pp.247-252(6)
[PDF][Web Site]

・漢方薬の香蘇散(コウソサン;Kososan)が人体に与える影響を、DNAマイクロアレイを用いて調べる。
・データ:被験者14名(健常者)、2週間薬を投与、投与前と2週間後の血液を採取しDNAマイクロアレイを作成。Agilent Whole Human Genome Oligo Microarray G4112A
・結果
1.投与前後の健康状態についてのアンケート結果により、被験者を次の三群に分けた。Responders (6名)、Non-responders (4名)、 Ineligible (4名)。
2.Respondersの遺伝子発現量変化
 2倍以上だったものが通常値(?)まで下がった遺伝子 → 70個
 2分の1以下だったものが通常値まで上がった遺伝子 → 24個

・概要「We examined the pharmacological effect and mechanism of action of a traditional herbal medicine (Kososan) with grobal gene expression analysis using a DNA chip.
・問題点「Although the effects of traditional medicines are recognized worldwide, the scientific bases and the mechanisms of action are not well understood.
・効用「Kososan is commomly used for: (i) for the common cold, and continuous ingestion is said to decrease the chances of chatching a cold, (ii) gastro-intestinal distubances linked to food poisoning and (iii) allergic disorders such as urticaria, and (iv) alleviation of depression.

・ガンのような盛んに研究されている疾病ではなく、これまで手をつかずの分野にマイクロアレイを応用したという点で、ここまで読んできた論文とは毛色の違う内容。
・予備実験ということで、とりあえずデータを取ってみたところまでで、データ解析法や抽出された遺伝子リストの解釈などは、まだまだこれからの段階。
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ニュースより ~室蘭市ハザードマップ配布

2007年10月04日 22時05分23秒 | 日記2005-10
 皆様こんばんは。いつもお世話になっている某食堂にて、今日のご飯は『栗ご飯』だったのでちょっと季節と幸せを感じたぴかりんです。

■室蘭市のハザードマップが完成、きょうから全世帯に
【2007年9月27日(木)室蘭民報 朝刊】
 室蘭市が室蘭工業大学と共同で研究してきた災害危険区域予測図「ハザードマップ」(A3判、23ページ)が完成した。室蘭で発生の可能性がある津波や土砂災害などの自然災害を想定。室蘭の地図上に、災害危険が予測される区域や避難場所などを表示した。27日から、市内の全4万8000世帯に配布する。
(以下略)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2007/09/27/20070927m_01.html より

 という訳で、先日、うちにもハザードマップが配られました[写真]。その名を耳にはしていましたが、実際見るのはたぶん初めてです。A3版なのでかなり大きく感じます。本棚なんかにしまうには折らないと入りません。
 早速、普段いる大学周辺を見てみると、土石流の危険区域(ピンク色)がもろにかぶっています。すぐそばが急斜面なので、やっぱりか、という感じです。大学はマップ作りに関わっているくらいなのだから、その対策もきっと万全! …とはとても思えない。
 室蘭に住んで15年ほどになりますが、自然災害といえば、有珠山の噴火とかあちこちの屋根が飛んだ数年前の台風が記憶にあるくらいで、そう大変な思いをしたことはありません。
 マップの使い方としては、災害が起こってから開くのではなく、災害の起こる前から目を通しておいて、情況をある程度頭にたたきこんどけ! という主旨なのでしょうね。もしも、のときに少しでも役に立てばよいのですが。
 このハザードマップ、PDFで配布してないのかな? と検索かけてみるとPDFは見つからない代わりに、別な地図がひっかかりました。こんなものがあるとは知りませんでした。

室蘭警察署・不審者情報 Hazard Map 平成19年版
http://www.muroran-syo.police.pref.hokkaido.jp/kakuka/seian/h_map/19/h_map.html

さらにこんな標語があるとは知りませんでした。

「イカのおすし」
http://www.muroran-syo.police.pref.hokkaido.jp/kakuka/seian/h_map/19/hint_01.html

そんなこと言われると、「イカのおすし」食べたくなってしまうではないか!

以上参考マデ
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【本】1を調べて10を知る科学 標本調査入門

2007年10月03日 22時03分36秒 | 読書記録2007
1を調べて10を知る科学 標本調査入門, 鈴木義一郎, 講談社 ブルーバックス B-902, 1992年
・統計学の入門書。"クイック・リファレンス" を意図して記述したとのことで、一項目につき1ページ読み切りの形。最初から順番に通して読むには少々疲れる構成です。もっとくだけた内容を想像していたが、読んでみるとわりと真っ当な内容。
・結局、1を調べて10を知るためには、それに必要な質の良いデータを得るための100の努力が必要らしい。
・「「統計」は 情報をうまく (まと)めあげ 正しい判断を る術なり」p.28
・「統計という語に対する英語は statistics ですが、この中に含まれている "state" は州とか国を意味しています。つまり歴史的には、イギリスの「政治算術」とかドイツの「国勢学」といったものの流れをくんでいます。」p.30
・「データ解析の場合も、分析するデータが粗悪品だったとしたら、もはやお手上げである。初歩的な方法でうまく解けないから、何か高級な理論を使うともう少し調子のいい結論が出るのではないか、といった相談を受けることがよくある。(中略)錬金術まがいのことでもやらない限り、結果らしきものは出てくるはずがない。つまりデータ解析の場合も、データの品質とかセンスが問題なのであって、どういう手法で分析を行うかは、さほど問題にはならない。」p.33
・「ともあれ パーセント とは、100につき(per cent)という意味に過ぎません。ところが一度パーセントをとるや、報告書は威厳を帯び、同時に親しみやすくなるから不思議なものです。「○○企業で25%の労働者が解雇!」といったセンセーショナルな表現の中身が、たった4人の従業員を抱える会社が不始末をした1人をクビにした、というのが真相だったということもあり得るのです。」p.36
・「ところで分散の値は、偏差を平方しているためデータの単位とは異なる。そこで、分散の "平方根" をとれば単位がそろう。分散の平方根のことを標準偏差といい、"s" で表す。」p.43
・「日本人はまた、風景より景色を愛でると指摘されている。風景とはある地域全体の景観を意味するが、景色とはある枠組みで限られた一部分の景観をさす。庭園や盆栽のようなミニチュア芸術を得意とし、外国へ出かけてもどんな景色を背景に写真を撮るかに気を使う。」p.66
・「一般に統計調査では、調査票・調査法・調査員の3つを十分に吟味することが大切になります。これら3つの中でも、特に調査票、とりわけ質問の内容が肝心です。」p.68
・「回答者は神様です!」p.73
・「たとえば、チョコレートを買ったかどうかを聞くのに、「今日買ったか」と聞けばはっきりします。これを「1週間以内に買ったか」と聞くと、記憶をたどることになります。「ふだんチョコレートを買うか」と聞くと、さらに答えにくくなります。」p.76
・「一般に日本人の回答パターンは、両極化しにくく、まん中に集まる傾向(セントラル・テンデンシー)が強いのです。(中略)さらに国際比較をする調査では、英語圏の「イエス・ノー」と日本語の「はい・いいえ」とは微妙に違うことがあり、注意が必要です。」p.78
・「必ず当たる情報をもってたら、誰が皆に知らせたりするものか。こう競馬新聞発行元に開き直られると、反論の余地がない。」p.102
・「また一部の回答に、真理を語りたがらない回答者が含まれることも、避けられない事実なのです。国勢調査のいずれの調査でも、"妻ある夫の数よりも夫のある妻のほうが多い" という結果になるのです。同様に学歴についても、高いほうに偏った答えの出る傾向があります。」p.112
・「以上みてきましたように、調査員の犯す誤差から調査対象者に起因する誤差、その他、調査環境の影響などによって生じる誤差まで考えていきますと、正に誤差の洪水です。」p.116
・「この確率のことをEが起こったときのFの条件つき確率といい、記号で P(F|E) と表します。」p.126
・「実力が互角の2人で8回勝負をし、結果が4勝4敗となる確率は27.3パーセントと算出され、結果が5分5分とならない可能性のほうが、むしろヨクアルコトである。」p.147
・「つまり、ある集団の平均的な意見をとりまとめるときに、単純なくじ引きがよいのは、その集団の特性がよくわからないことが前提になる。この裏を返せば、対象集団についての何らかの予備知識がある場合には、単純な無作為抽出よりも、もっとうまい方法を工夫する余地が残されているということになる。」p.163
・「統計的仮説検定の問題とは、母集団のあるパラメータに関する帰無仮説とよばれる仮説を立て、これを棄却することによって、ある種の仮説を検証することである。」p.197
・「1936年の大統領選挙では、ザ・リテラリィ・ダイジェストという雑誌が200万人の模擬投票をもとに、ランドン候補の当選を予想した。これに対し、ギャラップという社会心理学者は、たった3000人を調査しただけで、ルーズベルトの当選を予想し、みごと的中した。ダイジェスト誌の失敗は、調査対象を電話帳と自動車所有者名簿に限ったため、対象者が上流の高年齢男性の層に偏ったためである。」p.222
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【論】Dettling,2002,Supervised clustering of genes

2007年10月02日 22時07分32秒 | 論文記録
Marcel Dettling and Peter Buhlmann
Supervised clustering of genes
Genome Biology 2002, 3:research0069.1-0069.15
[PDF][Web Site]

・マイクロアレイサンプルの教師付きクラス分け法の提案。
・データ
1.Leukemia dataset [Golub]
2.Breast cancer dataset [West]
3.Colon cancer dataset [Alon]
4.Prostate cancer dataset
5.SRBCT dataset [Khan]
6.Lymphoma dataset [Alizadeh]
7.Brain tumor dataset [Pomeroy]
8.National Cancer Institute (NCI) dataset [Ross]
・クラス分け法(比較法?)
1.Nearest-neighbor classification
2.Aggregated trees
・識別結果の評価法
1.Leave-one-out cross validation
2.Random splitting

・目的「The identification of these functional groups is crucial for tissue classification in medical diagnostics, as well as for understanding how the genome as a whole works.
・問題点「but as with all other unsupervised techniques, it usually fails to reveal fuctional groups of genes that are of special interest in tissue classification. This is because genes are clustered by similarity only, without using any information about the experiment's response variables.
・方法「Here we present a promising new method for searching functional groups, each made up of only a few genes whose consensus expression profiles provide useful information for tissue discrimination. Like PLS, it is a one-step approach that directly incorporates the response variables Y into the grouping process, and is thus an algorithm for supervised clustering of genes.
・方法「Our approach is algorithmically similar and also relies on growing the cluster incrementally by adding one gene after the other.
・方法「In summary, our cluster algorithm is a combination of variable (gene) selection for cluster membership and formation of a new predictor by possible sign-flipping and averaging the gene expressions within a cluster as in Equation 2.
・「We assume that problem-dependent solutions that utilize deeper knowledge about the biological relation between the tissue types could be even more accurate for reducing multicategory problems to binary problems.
・結果「In all eight datasets we analyzed, comprising a total of 24 binary class distinctions, the average cluster expression xc always perfectly discriminates the two response classes (in multiclass problems, this is one class against the rest).
・展望「An important task that remains to be addressed in future research is the generalization of the supervised clustering algorithm to quantitative response variables and to censored survival data.

・アルゴリズムがよくわからず。
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【演】弦楽オーケストラ:クラシック・ポピュラーの調べ

2007年10月01日 22時05分39秒 | 演奏記録
平成19年度厚別区民センター特別事業 厚別区民センターファミリーコンサート
弦楽オーケストラ:クラシック・ポピュラーの調べ
2007.9.30(日)14:00開演, 札幌厚別区民センター2階 区民ホール, 入場無料(整理券)
演奏 北広島弦楽合奏団, 指揮 島崎洋, パート 1st Violin

第一部 クラシック
・モーツァルト アイネクライネナハトムジーク K525(全4楽章)
・ヤナーチェク 弦楽の為の組曲(全6楽章)
第二部 ポピュラー 編曲:島崎洋
・新井満 千の風になって
・G.ホルスト ジュピター(平原綾香バージョン)
・BEGIN 涙そうそう
・A.ピアソラ リベルタンゴ
・パク・ヨン・ウォン 『冬のソナタ』より マイメモリー
・ビートルズ ビートルズメドレー(ハードデイズナイト~抱きしめたい~イエスタデイ~ガール~ノルウェーの森~オブラディオブラダ~……)
アンコール1 J.S.バッハ G線上のアリア
アンコール2 新井満 千の風になって

・開演前に食事を買ってこようと、会場そばの新札幌駅周辺へ。「たしかロッテリアがあったはず」と行ってみるとない。「あそこにコンビニがあったはず」…やっぱりない。以前このあたりに住んでいたことがあったのですが、何せ昭和の時代の話なのでその頃とはすっかり勝手が違っていました。そもそもこの区民センター自体無かったし。
・事前の話では、入場整理券は早々と配りきってしまったとのことで、出演者ですら手に入らないような状態でした。聴衆の期待の高さが窺えます。そのため開場30分前にはすでにホールの前に行列ができはじめました。このような光景を見ると緊張感が増します。
・開演時には立ち見が出るほどの人のいりでした。まずは厚別区長の挨拶から。厚別区と北広島市は隣接していることと、合奏団の団員には厚別区民が多くいること、そして演奏が上手い(←プレッシャー)とのことで今回のイベント開催に至ったそうです。また、合奏団にとっては初めての札幌での演奏会で、これが札幌デビューだとか。
・アイネク:今年弾くのは何度目でしょうか。。。緊張の第一音。集中しているせいか、他のパートの音も明確に聴こえてきました。そして2楽章。問題の、短調になる中間部で事故発生。我が1stVn、2拍先に出てしまいました。出てしまったものはしょうがないので音譜を少々増量サービス。ど、ど、ど、どうするんだろう!? と足が震えそうになるぐらい動揺してしまいました。あの瞬間は客席から見ていると、どうだったのでしょうか。案外、「なんか変だな…」くらいで済んでいるかも。楽観的すぎる? 残る3,4楽章は、緊張感と前日の演奏会の疲れがゴッチャになった、ある種の恍惚感に浸って弾くうちに終了。
・ヤナーチェク:アイネク全楽章の次に続けてこれは。。。お、重い。独特の響きで美しく、渋くてよい曲だとは思いますが、高音の音程をとるのが大変です。ただでさえ1stVnは7名の少人数で、div.(パート内分割演奏)になるとさらにごまかしがききません。「オレの音程おかしい?」なんて弱気な考えが少しでも浮かんでしまうと、もうお終いです。大事故はありませんでしたが、細かい部分でチラホラと危ない個所が。前半の神経戦から解放されたときには心からホッとしました。拍手と同時に、深い息をついて座席の背もたれに身を投げ出すような状態です。客席からは楽章ごとに拍手がありましたが、6楽章もあるとちょっと大変そう。
・前半のクラシック曲のプログラムとは一転し、後半はポピュラー曲を演奏。前半に比べると気持は全然楽です。指揮の島崎さんの司会により進行。弾いたのはいずれも島崎さんが編曲した楽譜。弦楽合奏の場合は特に、このような編曲者がいてくれると大助かりですね。
・千の風:この曲だけちょっと拍手が大きめで、お客さんの反応がよい感じ。流行っているということですが、まだオリジナルを(きちんと)見聴きしたことがありません。
・ジュピター:いやらしいリズム。どうにか完奏。
・リベルタンゴ:後半の中では一番心拍数の上がった曲。飛び出し注意。いやらしいリズムの合いの手に苦しむ。
・冬ソナ:曲紹介によると『カスケード奏法』という手法をとりいれた編曲だそうです。"カスケード"ときくと直列(⇔パラレル(並列))という意味しか知りませんでしたが、"滝" とか "滝のように落ちる" などという意味もあったのですね。演奏前に各パートを抜き出してデモを行なう。
・ビートルズ:目まぐるしく曲調・調性が変わるうえに、この曲数、さらには前日はビオラをずっと弾いていたのでハ音記号の楽譜がダブり、頭の中はてんやわんや。
・少人数の弦楽合奏のみで、休憩をのぞくと正味1時間半の演奏会、これはしんどい。終わってみると、普段使わない筋肉が鍛えられたような感じです。
・客数約300名[目測]:座席はびっちりで立ち見が出る状態。もし整理券による入場制限が無ければまだまだ人が集まるような雰囲気で、集客に勢いがあります。特に必死に客をかき集めたふうでもなく、他の区民センターでの無料演奏会ではここまでの勢いではないのに、どうしてこんなに集まるのか不思議です。曲の開始時、指揮者が棒を振り下ろし、さあ弾くぞ、というタイミングで、毎回、客席から「ピロピロリ~ン♪」というようなカメラのシャッター音(?)が聴こえて気になりました。これはカンベン。
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