ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】1を調べて10を知る科学 標本調査入門

2007年10月03日 22時03分36秒 | 読書記録2007
1を調べて10を知る科学 標本調査入門, 鈴木義一郎, 講談社 ブルーバックス B-902, 1992年
・統計学の入門書。"クイック・リファレンス" を意図して記述したとのことで、一項目につき1ページ読み切りの形。最初から順番に通して読むには少々疲れる構成です。もっとくだけた内容を想像していたが、読んでみるとわりと真っ当な内容。
・結局、1を調べて10を知るためには、それに必要な質の良いデータを得るための100の努力が必要らしい。
・「「統計」は 情報をうまく (まと)めあげ 正しい判断を る術なり」p.28
・「統計という語に対する英語は statistics ですが、この中に含まれている "state" は州とか国を意味しています。つまり歴史的には、イギリスの「政治算術」とかドイツの「国勢学」といったものの流れをくんでいます。」p.30
・「データ解析の場合も、分析するデータが粗悪品だったとしたら、もはやお手上げである。初歩的な方法でうまく解けないから、何か高級な理論を使うともう少し調子のいい結論が出るのではないか、といった相談を受けることがよくある。(中略)錬金術まがいのことでもやらない限り、結果らしきものは出てくるはずがない。つまりデータ解析の場合も、データの品質とかセンスが問題なのであって、どういう手法で分析を行うかは、さほど問題にはならない。」p.33
・「ともあれ パーセント とは、100につき(per cent)という意味に過ぎません。ところが一度パーセントをとるや、報告書は威厳を帯び、同時に親しみやすくなるから不思議なものです。「○○企業で25%の労働者が解雇!」といったセンセーショナルな表現の中身が、たった4人の従業員を抱える会社が不始末をした1人をクビにした、というのが真相だったということもあり得るのです。」p.36
・「ところで分散の値は、偏差を平方しているためデータの単位とは異なる。そこで、分散の "平方根" をとれば単位がそろう。分散の平方根のことを標準偏差といい、"s" で表す。」p.43
・「日本人はまた、風景より景色を愛でると指摘されている。風景とはある地域全体の景観を意味するが、景色とはある枠組みで限られた一部分の景観をさす。庭園や盆栽のようなミニチュア芸術を得意とし、外国へ出かけてもどんな景色を背景に写真を撮るかに気を使う。」p.66
・「一般に統計調査では、調査票・調査法・調査員の3つを十分に吟味することが大切になります。これら3つの中でも、特に調査票、とりわけ質問の内容が肝心です。」p.68
・「回答者は神様です!」p.73
・「たとえば、チョコレートを買ったかどうかを聞くのに、「今日買ったか」と聞けばはっきりします。これを「1週間以内に買ったか」と聞くと、記憶をたどることになります。「ふだんチョコレートを買うか」と聞くと、さらに答えにくくなります。」p.76
・「一般に日本人の回答パターンは、両極化しにくく、まん中に集まる傾向(セントラル・テンデンシー)が強いのです。(中略)さらに国際比較をする調査では、英語圏の「イエス・ノー」と日本語の「はい・いいえ」とは微妙に違うことがあり、注意が必要です。」p.78
・「必ず当たる情報をもってたら、誰が皆に知らせたりするものか。こう競馬新聞発行元に開き直られると、反論の余地がない。」p.102
・「また一部の回答に、真理を語りたがらない回答者が含まれることも、避けられない事実なのです。国勢調査のいずれの調査でも、"妻ある夫の数よりも夫のある妻のほうが多い" という結果になるのです。同様に学歴についても、高いほうに偏った答えの出る傾向があります。」p.112
・「以上みてきましたように、調査員の犯す誤差から調査対象者に起因する誤差、その他、調査環境の影響などによって生じる誤差まで考えていきますと、正に誤差の洪水です。」p.116
・「この確率のことをEが起こったときのFの条件つき確率といい、記号で P(F|E) と表します。」p.126
・「実力が互角の2人で8回勝負をし、結果が4勝4敗となる確率は27.3パーセントと算出され、結果が5分5分とならない可能性のほうが、むしろヨクアルコトである。」p.147
・「つまり、ある集団の平均的な意見をとりまとめるときに、単純なくじ引きがよいのは、その集団の特性がよくわからないことが前提になる。この裏を返せば、対象集団についての何らかの予備知識がある場合には、単純な無作為抽出よりも、もっとうまい方法を工夫する余地が残されているということになる。」p.163
・「統計的仮説検定の問題とは、母集団のあるパラメータに関する帰無仮説とよばれる仮説を立て、これを棄却することによって、ある種の仮説を検証することである。」p.197
・「1936年の大統領選挙では、ザ・リテラリィ・ダイジェストという雑誌が200万人の模擬投票をもとに、ランドン候補の当選を予想した。これに対し、ギャラップという社会心理学者は、たった3000人を調査しただけで、ルーズベルトの当選を予想し、みごと的中した。ダイジェスト誌の失敗は、調査対象を電話帳と自動車所有者名簿に限ったため、対象者が上流の高年齢男性の層に偏ったためである。」p.222
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