ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】岩波新書の50年

2005年12月26日 22時24分57秒 | 読書記録2005
岩波新書の50年, 岩波書店編集部 編, 岩波新書(新赤版) 別冊, 1988年
・「今茲に現代人の現代的教養を目的として岩波新書を刊行せんとする。」p.145 の言葉とともに1938年に発刊され、50周年に達したところで、それまでの歩みを振り返ってみようという企画本。半分が読み物で、残り半分は資料(総目録・索引)。
・その歴史を簡単に書くと、
1938年 赤版 元祖"新書"として創刊。日中戦争。
1949年 青版 敗戦後再発足。
1977年 黄版 青版1000点出版達成。
1988年 新赤版 創刊50周年
色の変化に何か法則があるものと思っていたが、「なんとなく区切りのいいところ」で変えているだけのようだ。
・「これらの本は、数年の生命しか期待できないテーマであったが、新書は本来、それほど長い生命をもたなくても時代の課題に応えることがまた重要なのである。」p.26
・「出版社にとって重要なのは何といっても企画力である。企画をどのようにたてて、時代の社会状況に対するかが問題なのである。」p.33
・「(1967年)第一回の建国記念日が二月一一日に実施された。各地で反対の集会がおこなわれ、東大・教育大などの学生は、記念日の制定に反対し、同盟登校をおこなった。」p.82
・「一九七二年の後半から七三年にかけての日本は、どこか狂っているように見えた」p.98 ちょうど私が生まれたころ。。。
・「やさしく書くということは、ただ平易に噛みくだくということではなく、読む人の心の動きを絶えず念頭に置くことなのだということに、おそまきながら私は気がついた」p.100
・「ちょうど、このころ政府のインフレ政策で、硬貨が欠乏し、見るからに安っぽい五十銭紙幣が発行されていました。この紙幣と並べると、定価五十銭の新書は誰の目から見ても、値段に比してりっぱに見えたにちがいありません。」p.139 当時の作り手、読み手の熱気が伝わる。
・まとめの文章→「岩波新書はいずれにしても、現代と未来への積極的対応を発想の基本においている。青版一〇〇〇点はいずれも、筆者と選ばれたテーマ、筆者と読者、その間を媒介する編集者、それぞれの間の密度の高い緊張のもとに歩んできた。その努力の結果が新書の一点一点に凝縮し、ひろく読者に受け入れられ、長い生命をもって読みつがれる多くの書を生んできたといえるであろう。」p.110
・とくに岩波新書ヲタというわけでもなく、これまで読んだのはせいぜい50冊程度。本書中で紹介されていたなかで、ソソられた本を以下に。
<青版>
武谷三男編『死の灰』1950年
E・シュレーディンガー/岡小天・鎮目恭夫訳『生命とは何か』1951年
梅棹忠夫『モゴール族探検記』1956年
堀田善衞『インドで考えたこと』1957年
石母田正『平家物語』1957年
松田道雄『私は赤ちゃん』1960年
森嶋恒雄『魔女狩り』1970年
<黄版>
中山典之『囲碁の世界』1986年

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1 コメント

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ゲット (ぴかりん)
2006-01-01 20:17:35
『インドで考えたこと』『私は赤ちゃん』『魔女狩り』ゲット
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