ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】サバイバル英語のすすめ

2011年06月16日 19時00分41秒 | 読書記録
サバイバル英語のすすめ, 西村肇, ちくま新書054, 1995年
・日本人が英語を使いこなすうえでの勘所をまとめた所。単なる「英語入門書」と思って手にとってしまうと、肩透かしを食う内容です。本書の想定している読者の英語のレベルは「日常的に英語でスピーチを行うことができる」程度で、私にとってはついていけないレベル。それでも、「なるほど」と思える記述が随所に見られ、読み物としては楽しむことができました。しかし、その実用性となると??
・「これからの国際競争にサバイバルするための英語とはどうあるべきだろうか? 「書くこと」と「議論すること」がもっと注目されなければならない。「サバイバル」とは、シンパシーのない人をつかまえて、自分の考え方を相手に理解してもらうことなのだからだ。本書はLとRの発音の不正確さ、冠詞の使い形の目茶苦茶、論理展開の弱さなどの日本式英語の弱点を克服し、国際競争を果敢に生き抜いていくためのノウハウの開示、実戦的英語のすすめである。東大駒場の名門授業「サバ英」における最近三年間の講義のエッセンスと魅力を一挙に大公開!」カバー
・「この日本式英語の「くせ」は英語に慣れれば、だんだん緩和されるのだが、最後まで残る致命的欠陥は三つある第一は r と l が聞きわけられず、発音しわけられないことである。第二は冠詞の使い方が目茶苦茶なことである。第三は、一番重要な点だが、自分の考え方を、相手に納得させるような具合に論理的に展開することができないことである。つまり、エルとザと論理が日本式英語の泣きどころである。」p.9
・「日本人は l は発音できず r しか発音できないと思っているが、これはまったくの迷信である。r の時もあるし、l の時もある。」p.18
・「r と l を正しく発音することはたいしてむずかしいことではない。基本に忠実に頭を上げたり下げたりすれば、まちがいっこない。さらにスムーズにやるにはアクセントに気をつければよい。」p.29
・「指摘したい基本的なことは、英語と日本語では、言語の中に占める音の重要性がまるでちがうということである。もう少し一般化していうと、これはヨーロッパ語と漢字圏語の根本的なちがいである。基本的には漢字圏語が目で見て読む言葉であるのに対し、ヨーロッパ語はしゃべる、聞くという音によるコミュニケーションを主体にした言語である。」p.45
・「成功した原因は、話をだんだんもり上げようなどと考えず、つねに一番関心があり興味深い話題をアタマにもってきて話しつづけたこと、必ず具体例、具体的データをあげて話したこと、それがデータの羅列にならないよう、ライバルの対比というしっかりした骨組みをすえて話をすすめたことであろう。」p.62
・「英語がトップへヴィーなら日本語はテイルヘヴィーである。自分が言いたいことは最後にもってくる。」p.69
・「1拍見送ってリズムを取るくせがついている日本人が、1拍目から出るのは相当の努力と勇気を要する。生来的なリズムを否定し、すべて意識的にやる必要がある。」p.71
・「しかし彼らの「ナンセンス」「ミーニングレス」は単純に、文章を読みくだした時、著者のいわんとするところがはっきりとしたイメージとして見えてこないということである。」p.76
・「私はこの時に気がついた。文の末尾がつぎの文の頭をひきだすこと、思考が切れないで流れること、これが彼らがロジカルということではないか。  これに対し、日本人が論理的にしゃべろうとすると、必ず第一に、第二にとやる。」p.84
・「「自分が一番言いたいことをいつでも最初にもってくる」というゴムゾーリ氏のアドヴァイスは、その通り実践してみるとおどろくほど自分の英語が生き生きとしてくる。英語表現のゴールデンルールであるといえよう。しかし、なんでもそうだが、ルールの言葉にとらわれるぎるのはよくない。」p.
・「このようにパラグラフは、叙述、指摘、主張など著者が伝えたいメッセージの単位、それ以上は分解できないまとまり、ユニットである。」p.100
・「いちいち質問者の声は入らないが、聞こえてくる質問に答えて何か言う、それに対しまた聞こえてくる質問に答えるという形で展開するのが英語のスピーチと考えるとわかりやすい。」p.103
・「つまり接続詞というようなものは、日本的名文を書くのには不要かもしれないが、文章表現の重点が事実の正確な記述ではなく、思考過程の忠実な表現であるならば、なくてはならないものであろう。そのためか欧米語での接続詞の重要性は高く、使用頻度も高い。」p.108
・「英語の本のほうが面白いといったのは英語の本のほうが面白く読める表現になっている、そのために努力が払われているという意味である。翻訳するとその魅力はかなり減ってしまうのだが、その翻訳でさえ面白いならば、英語の原文は確実に読み出したらやめられない傑作と考えてよい。」p.123
・「その点で安心なのは店の奥にある Penguin Books である。これは岩波文庫と岩波新書を合わせたような性格をもっていて、文学から化学までプラトンから最近のベストセラーまで真面目な本で話題になるような本はたいてい入っている。」p.124
・「the を正しく使えるようになることは、l を正しく発音したり、ロジカルな英文を書けるようになるより格段むずかしいことのような気がする。」p.155
・「the というのは、著者と同じイメージが正しく読者の頭の中に喚起されているという確信があった時だけ使える冠詞である。」p.175
・「このように固有名詞に the をつけるかつけないかは相当にややこしい問題である。」p.187
・「しめくくりの目的は、別れの場合と同じく、その話の内容を忘れがたいものにすることにつきる。スピーチの場合は話の内容を一言であらわすイメージでもよいし、内容を思い出すための手掛りとなるアネクドートでもよい。」p.202
・「つまるところ、専門家は極めて観念的に外国語とつきあってきたのです。それに対して、西村先生の言葉とのつきあい方は、徹底して実践的です。必要から生まれる知恵があるのです。」p.212

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