FC piaZZista

”セールスマン”が結成したフットサルチーム「FC piaZZista」の軌跡とキャプテンの私生活。

東野圭吾「カッコウの卵は誰のもの」

2010年05月15日 06時34分41秒 | 小説
本日、東野圭吾「カッコウの卵は誰のもの」を読み終わりました。

「親子の愛情に、揺さぶりがかけられる。覚悟を決めた父親は、試練にどう立ち向かうのか。父と娘、親子二代続けてのトップスキーヤー。娘の所属チームの研究者は、二人の遺伝子パターンを調べさせてほしいと考える。しかし、了承するわけにはいかない。父には、どうしても知られたくない秘密があった。娘が生まれた19年前からの忌まわしい秘密が」

以前、NHKスペシャルでカッコウの生態を見たことがある。
カッコウは托卵で雛を育てる。
ホオジロやモズの巣に卵を産みつけ、子育てを任せてしまう。
カッコウは、孵化するまでに10日間位と速いためこの技がなせるのだろう。
この番組では、孵化した赤ちゃんが一生懸命巣から他の卵を捨てるのである。
地肌剝き出しの体で必死に卵を落とそうとする姿は、まさに悪魔である。
なんともおぞましく恐ろしいのである。
生まれた後に更なる驚きが。
成長も速いのか雛は、急速に成長し巣から体がはみ出してしまう。
それなのに、里親のホオジロは、一生懸命餌を運ぶのである。
<参考写真>
そんな鳥の習性を生かした物語である。
幾分、”托卵”の意味合いが違うような感じもするが、カッコウの生態を知る人間がこの本を手に取った時、題名の「カッコウの卵は誰のもの」を見ると期待せざるを得ない。
冒頭のシーンでは、元スキーのオリンピック選手が娘に同じ道を歩ませ、子供もそれなりに才能を発揮している。
東野圭吾お得意の”遺伝子”やら”秘密”やら”絆”などのキーワードがてんこ盛りである。
こんな展開、マンネリを通り越しなんと例えれば良いのだろうか?
途中の謎解きの場面で、「(どうせ、双子だろ・・・)」「(奥さんは、離婚した後の後妻だろ・・・)」など小生の浅はかな推理を巧みに交わすあたりは、まだペンが衰えていない証拠だろう。
また、真犯人の犯行動機があまりにも短絡的で幼稚。
19年前の犯行も短絡的でご都合主義のオンパレードである。
それから、最近の東野圭吾は、映像化を意識し過ぎているのか、書き急ぎ、以前のようにメッセージ性に乏しい。
当然、この内容も瞬時に映像化されるだろう。
冬季オリンピック開催に合わせるように刊行されたスケベ心も如何にもである。
あの、作品を読む程読む程他の作品を読んでみたいと思った頃の東野には、もう出会えないのだろうか?