休日の目覚め方

　子どもが生まれて嬉しいことや楽しいことはたくさんあってどれが一番かなんて決めることはできないけれど、とりあえず一つ挙げろと言われれば、ずばり「休日の目覚め方」です。

　子どもが生まれるまでは、若かったせいもあるのか、とにかく休日は泥のように寝ていました。昼近くになってぼんやり起き上がることも珍しくはなかったように思います。子どもが赤ん坊の時は朝も昼も夜も関係なくよく泣く子だったので、毎日ヘロヘロでほとんど覚えていません。たぶん泣き声で起こされていたんでしょう。

　ところが最近は息子がそっと頬にキスして起こしてくれます。最近彼の中で流行っているディープなヤツじゃなくて、かるーくチュッと。何故だか「ねえねえ、お母さん起きてよ～！」などと腕を引っ張ったり、蹴飛ばしたりどついたり決してしない優しいヤツなんです。これが。

　あくまで遠慮がちに「そろそろ起きてほしいなあ」の言葉の代わりにそっと私の頬にキスしてくれます。私はすぐさま彼の腕をつかんで布団の中に引きずり込み、むぎゅーと抱きしめます。うまく言えないけどこういう瞬間が一番幸せかなと思ったりします。「休日の目覚め方」としてはこれ以上完璧な形はありえないと思う今日この頃です。