ピアノ連弾 2台ピアノの世界

世界中のピアノ連弾、2台ピアノ作品を演奏しています!

2つの2台ピアノの楽譜

2010-09-06 14:15:38 | 日記
今日も暑いですね。コンサート前日にレイセク氏の楽譜についての問い合わせがありました。楽譜に関するお問い合わせには回答していないことは何度も申し上げておりますが、レイセク氏の楽譜はチェコの通信販売サイトで購入できるので、そのサイトをお知らせしました。「どうやってそんなに楽譜を見つけるんですか?」との質問は数多くありますがコツはただ一つ「見つかるまで探す!」です。

昨日のコンサートの余韻も冷めやらない今日は嬉しい楽譜をご紹介します。
いずれの楽譜の前文が素晴らしいので、ここに全文ご紹介します。

1冊目は昭和60年に東京音楽書院から発売された坪根春枝さん監修の「2台のピアノによるグルリットアルバム」です。

はじめに

発表会も終りに近づいて、高学年の方達が、二台ピアノやコンチェルトを弾かれるのを、うらやましく、又、一寸退屈しながら聞いた方は、多いのではないでしょうか。
この本は、ピアノをはじめたばかりの方でも、音楽界でできるように、ツェルニー100番
程度の曲を集めてみました。
二台ピアノは、連弾よりもずっと華やかな音で楽しめます。相手に迷惑をかけないように
、一生懸命に練習をするでしょうし、演奏者が離れているので、よく聞き合わなければならず、二台の音がぴったりとあった時のよろこびで、ピアノの練習も楽しくなると思います。
この本では、今、ピアニスト、ピアノの先生として活躍中の方々が、10~20年前、中学・高校時代に、二台ピアノ用に書いて楽しんだ曲もまぜて出版することにしました。音楽的には、幼い面もあるかわりに、心から楽しんだ若さがあると思います。
皆さんも、ピアノのレッスンに通い、宿題だけをするのではなく、仲間と好きな時に、もう一台分を書き添えて、楽しんでみたらいかがでしょうか。
ピアノが二台ない場合は、近頃売られている電気のキーボードを使うことをお勧めします。
せまいところでも使うことができる上に、色々な音色も楽しめます。あなたの今後の発表会にお役に立てば幸いです。
                                坪野春枝

この本に作品をのせた方は須田さゆりさんです。

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2冊目は昭和57年に共同音楽出版社から出版された酒田富治さん監修の2台のピアノの為の「こどものピアノ二重奏曲(3)」です。



まえがき

ー2台のピアノによる合奏の楽しさをー

ピアノ連弾の楽しさを経験したこどもは、2台のピアノで演奏する合奏に強い興味を示します。この機をとらえて、合奏をさせますと、音楽に対する喜びと楽しさは、一段と深くなります。
こどものそうした欲求に応じ、初期の中から巾広い演奏経験をもたせたいと念願していましたが、いままでに出版されているものには、国の内外を問わず、初期での二重奏曲は、連弾以上に見当たりません。
そこで、連弾曲の場合と同じように、初歩の段階から弾ける、易しくて面白い二重奏曲と念願して編曲したものの中から、更に厳選し、整理編集したものが本書です。
本書では次のことに留意しました。
(1) 大譜表を使用する段階の程度から演奏できます。
(2) I(第1ピアノ)と II(第2ピアノ)が同じ程度に編曲したもの。ーこれらの曲は、連弾と同じように、I ・II交代で演奏します。
(3) I ・IIが同じ程度でなく編曲したものーこれは、程度が少し違う子供でも二重奏が楽しめるようにとの配慮からです。
(4) 1つの楽曲を独奏で、連弾で、二重奏でといろいろな形を通して味わえるようにと、「こどものピアノ曲集」や「和音から入るピアノの本」「子供の連弾」などの曲を多数取り入れました。

昭和57年 早春
                             酒田富治

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こんなに素晴らしい言葉が1980年代の日本の音楽の世界では語られていたのですね。
どれだけの生徒さんが連弾ピアノや2台ピアノ作品を楽しまれていたことでしょう。
私たちの活動もこれらの言葉を知る前から、同じような感じ方を持ちながら続けてきました。

さまざまな縁の巡り合わせで、同じ時期にこの2冊の楽譜が手元に届いた幸運に喜んでいます。そして、すっかり忘れられた素晴らしい言葉をこうして皆さんにお知らせすることができて、連弾ピアノ、2台ピアノの音楽に魅せられた人間として光栄に思います。

2台のピアノの午後 ブルグミュラーとチェルニー

2010-09-06 02:13:17 | 日記
暑い暑い9月5日の昼下がり、無事に第123回目のコンサート終了しました。
ブルグミュラーとチェルニーの作品が見事な2台ピアノの芸術になった至福のひと時でした。




プログラムより

第 一 部

1. ヨハン・フリードリヒ・ブルグミュラー
JOHANN FRIEDRICH BURGMULLER [1806-74]

25の練習曲 作品100
(アルフレッド・バトラー編曲 2台ピアノ版)

25 EASY STUDIES OP. 100
(ARRANGED FOR TWO PIANOS BY ALFRED BUTLER)

I. CANDOR / 素直な心
II. ARABESQUE / アラベスク
III. PASTORALE / 牧歌
IV.      THE GAME PARTY / 子供の集会
V. INNOCENCE / 無邪気


VI. PROGRESS / 進歩
VII. THE LIMPID BROOK / 清い流れ
VIII. GRACE / 優美
IX. THE HUNT / 狩
X. THE DELICATE FLOWER / やさしい花


XI. THE WAGTAIL / せきれい
XII. THE FAREWELL / さようなら
XIII. CONSOLATION / なぐさめ
XIV. THE STYRIENNE / スティリアの女
XV. BALLADE / バラード


XVI. LITTLE COMPLAINT / 小さな嘆き
XVII.     THE BABBLER / おしゃべり
XVIII.     RESTLESSNESS / 心配
XIX.     AVE MARIA / アベマリア
XX.     TARANTELLA / タランテラ


XXI.     ANGELIC HARMONY /          天使の声
XXII.     BARCAROLLE / 舟歌
XXIII.     THE JOYOUS RETURN /            帰り道
XXIV. THE SWALLOW / つばめ
XXV. MY LADY’S RIDE / 貴婦人の乗馬

ブルグミュラー,チェルニーの練習曲集は,学習者の広い支持を集めています.ブルグミュラーは,各曲のタイトルと共に,なつかしく思い出される方も多いことでしょう.おさらい会の定番として皆さんの耳に長くなじんでいる曲も,2台のピアノがあれば,驚くほど新鮮に生まれ変わることをご存知でしょうか.ブルグミュラーの原曲を第一ピアノとし,第二ピアノのパートを加えた2台ピアノ版はいくつか種類がありますが,今回は,アメリカのアルフレッド・バトラー版をお届け致します.優れたピアニスト・指導者であった たなか すみこさんの尽力により,1970年代に日本に紹介され,現在でも広く親しまれているバトラー版は,芸術性に富む本格的な2台ピアノ版として,高く評価されています.

第 二 部

2. カール・チェルニー
CARL CZERNY [1791-1857]

初級速度教本 (24番練習曲) 作品636
(フレデリック・コーダー編曲 2台ピアノ版)
[第2ピアノパートは「24の性格的小品集」として独奏曲としても演奏可能]

PRELIMINARY SCHOOL OF VELOCITY (24 STUDIES) OP. 636
(ARRANGED FOR TWO PIANOS BY FREDERICK CORDER)
[The second piano part can also be played as “24 Characteristic Pieces” for piano solo]

I. ALLEGRO / ROMANCE / ロマンス
II. ALLEGRO / LULLABY / 子守歌
III. ALLEGRO VIVACE / MARCH / 行進曲
IV. ALLEGRO / FROM NORWAY / ノルウェイより
V. ALLEGRO / HUNTING SONG / 狩の歌


VI. ALLEGRO / FROM SCOTLAND / スコットランドより
VII. ALLEGRO MODERATO / LOVE SONG / ラブソング
VIII. ALLEGRO MODERATO / MINUET / メヌエット
IX. ALLEGRO VIVACE / HUNGARIAN (CZARDAS) / チャルダッシュ
X. ALLEGRO / GAVOTTE / ガボット


XI. ALLEGRO COMODO / PASTORAL / 牧歌
XII. ALLEGRO LEGGIERO / ORPHEUS WITH HIS LUTE / 竪琴を弾くオルフェウス
XIII. ALLEGRO VIVACE / AIR DE BALLET / バレエの情景
XIV. ALLEGRO VIVACE / CACHUCA I / カチューカ第一
XV. ALLEGRO VIVACE / CACHUCA II / カチューカ第二


XVI. ALLEGRO MODERATO / MELODY / メロディ
XVII. ALLEGRO SCHERZOSO / FROM THE NEW WORLD / 新世界より
XVIII. MODERATO / PRAYER / 祈り
XIX. ALLEGRO MOLTO / STORM / あらし
XX. ALLEGRO VELOCE / THINKING OF MOZART / モーツァルトのように


XXI. ALLEGRO VIVO / VALSE I / ワルツ 第一
XXII. ALLEGRO COMODO / VALSE II / ワルツ 第二
XXIII. ALLEGRO MOLTO / BARCAROLE / 舟歌
XXIV. ALLEGRO / TARANTELLA / タランテラ

チェルニー24番練習曲(初級速度教本)は,敏捷性の鍛錬や左手の重視に特色のある,まとまりのよい曲集です.日本でも,チェルニー30番・40番練習曲の併用教材として,近年あらためて注目されています.今回は,近代イギリスの作曲家,フレデリック・コーダーの作曲した第二ピアノのパート(「24の性格的小品集」として独奏曲としても演奏可能)を付けて演奏致します.コーダーは,青年期にドイツに留学,ケルン音楽院でフェルディナント・ヒラーに師事したほか,イタリアではヴェルディにも面会しています.帰国後は,英国王立音楽院で後進の育成にあたり,門下からはヨーク・ボウエン,アーノルド・バックスらの俊英を輩出しました.ワーグナーのオペラのイギリスでの紹介者としての功績も高く評価されています.チェルニーの原曲のよさを生かしながら加えられた第二ピアノパートは変幻自在の面白さで,コーダーの持ち前の卓抜なセンスがいかんなく発揮されたものといえるでしょう.

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残暑の中いらしてくださったお客様も、2台のピアノの織りなす音楽の素敵な世界を楽しんでくださったようです。休憩時間にも、終演後も作品や楽譜や演奏者についての質問をたくさんいただきました。どなたにもなじみのメロディーを2台ピアノの芸術作品として皆さまにご紹介出来たことを嬉しく思います。