いよいよ本番の時間が近づいてきました。お客様も少しづつ増えてきます。今夜の譜めくりをNatさんの娘さんのPinnareeさんが務めてくれることになりました。フランスに留学されてピアノとハープを学ばれたそうです。本番直前の打ち合わせにも関わらず、前半のややこしい譜めくりも見事にこなしてくれました。
入口で正装をされたNatさんとSugarさんがポーズを取ってくださいました。
Natさんご一家はクリスチャンですので、コンサートの前にSugarさんのスピーチと1分間の黙祷が行われました。その関係もあって、ブラジル音楽の世界に入る前と終演後にバッハの作品を1曲づつ演奏するプログラムとなりました。
25日のプログラムです。
J.S. バッハ (イシドール・フィリップ編曲)
いと高きところには神にのみ栄光 あれ BWV663
エルネスト・ナザレー (フランシスコ・ミニョーネ編曲)
ブレジェイロ(ならず者)
ネーネ(赤ん坊)
頑張れ、カバキーニョ
エスパリャファトーソ(大騒ぎ)
トラヴェッソ(わんぱく)
バンビーノ(少年)
フランシスコ・ミニョーネ
ヴァルサ・ショーロ第11番
ユーモラス・セレナーデ
ピシンギーニャ(ラダメス・ニャタリ編曲)
カリニョーソ
ラダメス・ニャタリ
オブリガード・パウリーニョ
A. A. ピント(ラダメス・ニャタリ編曲)
ココナツでひと休み
エルネスト・ナザレー(ラダメス・ニャタリ編曲)
マトゥート(無骨者)
エレガンティッシマ(最も優雅な)
ヴィトリオーソ(勝利)
カリオカ(リオ生まれ)
ディーゴ
J. S. バッハ(ビクター・バビン編曲)
羊は安らかに草を食み BWV208
***
演奏が始まると、お客様の息を詰めて演奏に聴き入る様子が譜めくりで壇上に座っている私の許にも届きます。作曲家別にピアニストが挨拶をするたびに、気持ちのこもった熱い拍手が会場を包みます。今回は休憩なしで最後まで演奏するプログラムでしたが、終演後にSugarさんから「あっという間の1時間でした」とのお褒めの言葉もいただきました。
「ブラジルの魂」、「ブラジルのショパン」と呼ばれるエルネスト・ナザレーの小品を中心に20世紀のブラジル音楽界をリードしたミニョーネとニャタリ、ピシンギーニャとピントという、ブラジルでは知らぬ人のいない5人の作曲家の作品をタイ王国にご紹介できたことはとても意義あるものだと思います。日本でもナザレーの一部の作品が紹介されているに過ぎない状況ですし、もっともっとアジアでもこの南米の珠玉の作品群が広く知られるようになるきっかけになってくれれば嬉しいです。
このプログラムにはミニョーネ夫人のマリア=ジョセフィーナ・ミニョーネさん、ニャタリ夫人のネリー・ニャタリさん、ピントのご令息のGeorges Miraultさん、エルネスト・ナザレーの研究家であり、ピアニスト、音楽家で生誕150年の今年ブラジルのみならずポルトガルでも演奏会を開催し、ナザレーのウェブサイトを管理しているAlexandre Diasさん、ポルトガル在住のブラジル人プロデューサーのAlan Romeroさんのご協力と応援をいただいています。日本を飛び越えてタイ王国でのエルネスト・ナザレーの生誕150年コンサート開催を皆さんが自分のことのように喜んでくださったことで、ブラジルにおけるナザレーの存在感の強さをあらためて感じられました。いつかブラジルでもこれらのナザレーの作品を演奏する機会を持ちたいものです。
この夜の会場には残念ながら日本人はいらっしゃいませんでしたが、在タイ王国ポルトガル大使Mr.Luis de Sous氏と奥様のMariaさん、同じく在タイ王国メキシコ大使Jorge Chenのご令嬢がお友達とご一緒にこの南米の音楽を楽しみに来てくださいました。ブラジル大使は会議のためにお越しいただけませんでした。この中南米からのお客様は終演後、特に熱心にピアニストのふたりに話しかけてくださり、ブラジル音楽を心から楽しんでいただけたことを光栄に思います。
演奏の終了後、再びSugarさんによるスピーチがありました。「タイ王国でこうしてブラジル音楽が演奏された今宵に居合わせた皆さんは幸運です」とこちらが恐縮してしまうほどの言葉を身振りを交えて熱く熱く語ってくださいました。この会場に私たちがタイ王国での演奏機会を持つきっかけとなったMay Parichart Kosoltrakulさんがご一家でいらしていました。Mayさんのご子息のKantとKrit兄弟は欧州、米国、そして日本でもコンクール入賞の常連です。10月中旬に行われた大阪のコンクールでも兄弟そろってファースト・プライズの栄冠を勝ち取りました。Sugarさんは兄弟二人を壇上に呼び、私たちとの関わりをお客様に紹介してくださり、「あなたたち二人は世界中にタイ王国の国旗を紹介してくれている」との感謝の言葉をかけていらっしゃいました。このスピーチのすべてを日本の皆さんにも聞いていただきたかったです。
夜も更けてきたのですが、ホールからレセプション会場に移動して、立食パーティの始まりです。ここで、お客様の感想を直接伺うことができました。多くの西洋人のお客様がいらっしゃっていたのですが、ブラジルに以前住まわれていた方が「ピシンギーニャの曲が好きだったのだけど、ニャタリがテーマを自由に展開させていて面白く聴きました」との感想もいただきました。この方は10月5日に開催されたチェンマイ在住の日本人ピアニスト瀬田敦子さんのヒナステラのコンサートにもいらしていたそうです。「今夜の音楽はリラックス出来ました」と仰ってくださいました。
ご家族3人でいらしていたご高齢の男性がとてもにこやかに話しかけてくださるのですが、フランス語しかお出来にならないらしく、英語で会話をしていた私たちとは直接感想を伺えなかったのが残念でした。
ここには書ききれないほどの感想を聞かせていただきました。またカメラマンがいらしていたので、ふたたびホールに戻り終演後のフォトセッションもありました。この日会場にいらしていた皆さんに心より感謝の言葉をお伝えします。ありがとうございました。
握り寿司は一番になくなってしまいました。
KantとKrit兄弟をコンクール入賞常連に育て上げたIrina Novikovaさん。彼ら一家がモスクワに滞在中から長く指導にあたり、今はバンコクで音楽教師をされています。彼女自身も昨年の大阪で優秀指導者賞を受賞されています。
時計ももう10時半を指しています。皆さんとご一緒に。
こうして、無事にバンコクでエルネスト・ナザレーの生誕150年を記念するコンサートを終えることができました。天国のナザレーと4人の作曲家が喜んでくださると思います。
続きます。
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