材料にはいろいろなパラメータがあって、強度部品として使うときは強度硬さなどが重要になってくる。剛性がほしい場合はヤング率も求められるが、ヤング率はもうベース金属に依存するので材料を選んだら必然的に決まる。
勘違いしているとを時々見かけますが、ヤング率は材料の弾性領域でのばね定数で、原子間のバネの力が見えているものです。原子間のバネの力なので、原子に依存し、鉄なら200-210GPaくらい、アルミなら70-75GPaと相場が決まってます。Cr NiはFeに近いので、ステンレスもだいたい200GPaくらい。
材料の硬さ、強さというのは塑性域での特性なのでヤング率とはまた異なったものです。塑性変形は転位の移動がキモなので転位をいかに移動させないかが材料強度に繋がります。鉄を焼入れしてマルテンサイトにする、アルミなら銅やらマグネシウムやらを添加して転位を動けなくするのが強度に影響します。
転位の移動を阻害するのは多量の転位を存在させるとお互いに邪魔しあって動けなくなるものがあります。加工硬化がこれにあたります。例えば、アルミなどは、H記号がつくと加工硬化により固くしたものとの意味です。A1050みたいに不純物が0.5%以下(アルミ純度99.5%以上)のアルミは加工硬化で固くする以外に方法がありません。
針金を曲げると、曲げた部分が固くなるのもこの加工硬化です。低融点金属では生じにくく、鉛では常温では加工硬化しません(転位が常温で抜けてしまう)。
転位をたくさん入れて固くした材料は、耐熱性が低めで、軟化もしやすい。温度が微妙な範囲のものだと実測するしかないので実測するのだが、やってわかった。面倒くさい。