1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

12月16日・アーサー・C・クラークの人類観

2014-12-16 | 文学
12月16日は『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』のSF作家フィリップ・K・ディックの誕生日(1928年)が生まれた日だが、同じくSF作家のアーサー・C・クラークの誕生日でもある。小説『2001年宇宙の旅』の作者である。

アーサー・チャールズ・クラークは、1917年、英国イングランドのサマセット州マインヘッドで生まれた。父親は郵便局の技術者だったが、辞めて農場をはじめた。アーサーは4人きょうだいの一番上だった。
アーサーが14歳のとき、父親が没した。母親は女手ひとつで農場経営を続け、収入を得るために、乗馬教室を開き、テリア犬を育て、宿泊客を泊めた。
農場で天体観測とSF小説に熱中する少年だったアーサーは、17歳のころには英国惑星間協会に入会。19歳でグラマースクールを卒業し、教育委員会の年金の監査係になった。
彼が22歳の年に、英国はドイツに対して宣戦布告し、第二次世界大戦がはじまった。大戦中゛クラークは英国空軍でレーダーシステムの開発にたずさわり、早期警戒システムの構築に尽くした。
戦後、ロンドン大学に入学。物理学と数学を修めた。彼が28歳のときに書いた論文のなかで、人工衛星による電気通信のリレーのアイディアを提出し、これは静止衛星の通信に生かされた。
大学卒業後、大蔵省に勤めたが、戦前から書きだしていたSF小説書きが本格化して退職。32歳のころからSF雑誌の編集を手伝うなどした後、34歳ごろから専業作家となった。
『太陽系最後の日』『前哨』『幼年期の終り』『2001年宇宙の旅』『楽園の泉』などを書き、ロバート・A・ハインライン、アイザック・アシモフらとともにSF界のビッグ・スリーと呼ばれた。
39歳のとき、当時セイロンと呼ばれたスリランカへ移住。趣味のスキューバダイビングをしながら執筆を続け、81歳のとき、英国女王からナイトの称号を授与された後、2008年3月、心不全と呼吸困難のため、スリランカのコロンボで没した。90歳だった。

SF映画の最高傑作とも呼ばれるスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」は、クラークの短編『前哨』をもとに、監督と二人三脚で連絡を取り合いながら双方でストーリーを書き進めて仕上げたものらしい。キューブリックの映画が先に発表され、クラークの小説がその3カ月後に発表された。映画と小説とではだいぶ異同があり、小説のほうがより説明的である。

宇宙のどこかに高度に進んだ文明があり、文明の進んだその宇宙人たちが人類の進化を見守っているというのが『2001年宇宙の旅』のコンセプトであり、『幼年期の終り』になるともっとすごくて、文明の発達した宇宙人によって人類は養育されている、という構図になっている。
人類は、自分たちの考えでああでもないこうでもないと試行錯誤しているけれど、案外、オリのなかで飼われている二十日ネズミみたいなものかもしれない。そう考えるとおもしろい。
(2014年12月16日)



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