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『ねむりの町』ほか

8月17日・デ・ニーロの献身

2024-08-17 | 映画
8月17日はルーマニアの女流作家、ヘルタ・ミュラーが生まれた日(1953年)だが、ハリウッド俳優、ロバート・デ・ニーロの誕生日でもある。

ロバート・デ・ニーロ・ジュニアは、1943年、米国のニューヨークで生まれた。父親は画家だった。ロバート・ジュニアは、父方からイタリア、アイルランドの血を、母方からイングランド、ドイツ、フランス、オランダの血を引いている。
ロバートはマンハッタンのグリニッジ・ヴィレッジで育った。彼が2歳のころ、両親が離婚。母親に引き取られた彼は、近くに住む父親の家と自宅とを行ったり来たりしながら成長した。
10歳のとき、学校の劇で「オズの魔法使い」の臆病なライオン役を演じたころから俳優志望だったデ・ニーロは、16歳で高校を中退して俳優養成学校に通いだし、20歳のとき、ブライアン・デ・パルマ監督の「結婚パーティー」に出演して俳優デビュー。
29歳のとき公開されたフランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザーPART II」で、アカデミー助演男優賞を受賞した。デ・ニーロはこのとき、出演に先立ち、イタリアのシシリアまで行ってイタリア語を勉強したという。
そして33歳のとき、マーティン・スコセッシ監督の名作「タクシードライバー」に出演。この作品でタクシーの運転手役を演じるにあたって、デ・ニーロは3週間、ニューヨークでほんとうにタクシー運転手をした。
35歳のときの作品「ディア・ハンター」では、撮影に入る前に、映画の舞台であるピッツバーグに引っ越し、偽名を使ってしばらく暮らしていた。
37歳のとき、「レイジング・ブル」で、アカデミー主演男優賞を受賞。このとき、太った元ボクサーを演じるために、猛烈に食べて20キロも体重を増やした。
また、44歳のときの作品「アンタッチャブル」では、実際に髪の毛をぬいてアル・カポネを演じるなど、徹底的な役作りで知られる現代の名優である。

デ・ニーロの特徴は、出演作品に駄作がないことである。
ハリウッド映画のなかには、観終えて、
「ああ、おもしろかった」
というだけで、後になにも残らない作品がけっこうあるけれど、デ・ニーロの出演作はちがう。観た者は、かならず、なにか重たい何か持たされて日常生活にもどることになる。

その昔、友人がデ・ニーロの「タクシードライバー」を観てきて、興奮して言った。
「あれは、おれのことを映画にしたんだ」
それからすこしたって顔を合わせたら、その友人はこう言って笑った。
「映画雑誌を読んでいたら、『タクシードライバー』は自分を描いた映画だっていう投書がいくつもあって、いやになった」
その友人はまちがっている。「タクシードライバー」は彼でなく、わたしのことを映画化したものである。
(2024年8月17日)



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